あなたを始めて見た時、どこか私と似ているような気がして。だから、だからこそ私は貴方を忘れられなくて。
だから、私「東條希」は決心して、貴方「絢瀬絵里」に声をかけた。
「希、一緒に帰りましょ」
えりち、私は絵里のことをえりちと呼んでいる。昼過ぎの放課後、えりちは私と帰ろうと声をかけた。
あの日、えりちに声をかけてから、すぐに私とえりちは心を開いて絆を深めた。あの出来事は運命と言っても過言ではない。
雰囲気も正確も異なる私達だけど、一つだけ共通点がある。「孤独」だ。私は転勤族の親を持ち、転校ばかりで友達もろくに出来ない生活をしており、えりちはプライドの高さから人を避けていた。
でも、こうして出会ったことで私たちはお互いに救われた、きっとそうなんだ。
えりちと一緒に過ごすようになって、色んなことを知った。えりちの事をたくさん知ったのは当然として、他人と関わる楽しさ、人の暖かさなんて事w知った。
今まで、「どうせ友達なんて出来ないんだからぼっちでもいいや」なんて思っていたけどそれは大きな間違いで、誰かと一緒にいることは私にとって人生を華やかなものにする要因であった。
私達は下駄箱を抜け、校門まで歩く。その時、甲高い声でなにか叫んでる人を見つけた。
「アイドル研究部! よろしくお願いしまーす!」
黒髪のツインテールで、高校生とは思えない小柄な少女。確か名前は矢澤にこと言ったはずだ。同じクラスで、ちょっと目立たない感じではあるが、私はかなり注目している。
彼女はアイドルになりたいと言っているが、私の推測ではかなりアイドルの素質がある。別にアイドルについてそんなに詳しいわけではないが、直感で分かるのだ。
「アイドル研究部、頑張ってるみたいやね」
私は、どこで身につけたから分からないエセ関西弁でえりちに話しかける。
「変わった人もいるのね。成功すればいいけど」
えりちは興味のなさ気に言ったので、この話はここまでにしておくことにした。
でも、えりちのあの目。矢澤さんを見る時のあの目は、興味を引かれている……そういう風にも取れたのは何ヶ月もあとのことだった。
あの時の私もえりちも、矢澤さんの姿を忘れられなかったのだろう。私達が3年になった時、廃校を救うために突如として現れた「μ’s」を名乗るアイドル。彼女らと関わり、私が全力で応援でき、最終的にえりちとメンバーになったのも、この時の矢澤さんの姿に心打たれたからだろう。
私は高校の3年間で色んな人と触れ合い、大きく成長した。それは、えりちを忘れられなかったから、にこっちを忘れられなかったから……。
そして、μ’sを忘れられなかったから。