設定に関しましては、原作で語られていない部分については独自解釈、独自設定です。
それと、「なんか自分の思っていた〇〇(キャラ)と違う…」こんなこともあるかもしれません。
それでもOK!という方は、はりきってどうぞ
「この世に生を受けたからには、一人ひとり何かしらの役割があるんじゃない?」
いつかのどこかで、誰かが言ったそんな言葉。
私は、僕は、俺は…自分が何者であるのか、何者であったのか。思い出せない。
意識がひどく混濁している。
自分の顔が、目が、どこにあるのかも分からないまま、辺りを見渡す。
何も見えない。闇があるだけ。
そしては、どこまでも続くような、それでいてとても窮屈に感じるような、そんな空間だった。
―自分は、何故こんなところにいるのだろうか
そんなことをいくら考えても答えが出ることはない。
ふと、ニュースでは株価がどうのだとか、芸能人がどうの、だとか、そんな他愛もないことを放送していたと記憶が語りかけてくる。
部屋の電球がきれかかってたなあ、パソコンの電源を切るのを忘れてたなあ。
まるで何でもないような事が、湧き上がってきた。
そして数刻ほど。
―いつまでここを漂っているのだろう
すると突然、一面深い闇であった空間が、ぼんやりと赤みを帯び始めた。
そして更に、どこからか眩い光が差し込んでくる。
何かが、聞こえる
最初はほんの小さな雑音のようだったソレは、やがてはっきりとした声となった。
誰かが、呼んでいる
行かなくちゃ、そんな気がして、差し込んできた光に向かって手を伸ばす。
意識が、途切れた。
◆ ◆ ◆ ◆
「おおお!元気な女の子だ!」
「あなた、少しは落ち着いて……」
眩しい。眼球が焼けるように錯覚する。
意識がはっきりとしない。自分は先ほどまでどこにいたのか、なにをしていたのか。
「決めたぞ。この子の名前は、フレーティアだ」
「フレーティア……フレーティア・スカーレット。いい名前ね」
視界が鮮明になってきた。首が上手く動かないが、なんとか周囲に目を凝らす。
どうやらここはとある建物の一室のようである。古めかしい洋室のような佇まいだ。
そして、自分の一番近くには、女性が一人。その近くに男性が一人いて、なにやら嬉しそうに話し込んでいる。
先ほどの声はこの二人だろう。
顔に目を向けると、二人とも血で染め上げたような赤い瞳を宿していた。
何者なのか。疑問が生じるが、とにかく現状の把握が先だ。
二人に声を掛ける。
がしかし。
「うーあー、おぎゃああああああっ」
確かに自分は声を発したはず。それなのに聞こえてくるのは赤ん坊の声だ。
状況が理解できない。
「ふふ、よしよし」
先ほど男性と話していた女性が、自分のことを柔らかな手つきであやすように撫でてくる。
自分はそのようなことをされる年齢ではなかったはずだが……不思議と安らかな気分を覚える。
「良い産声だ。きっと誇り高き吸血鬼に育つだろうな!」
「ふふ、そうですねえ……」
今、何と言った?自分の聞き間違いでなければ、吸血鬼という単語が出てきたはずである。
少なくとも、自分の知っている常識では吸血鬼などという存在は架空の生き物だ。
よくこの二人を見ると―何故今まで気が付かなかったのか。背から黒き翼のようなモノが見えるではないか。
「ほら、レミリアも妹に挨拶しなきゃね」
驚きで思考が混乱状態にあるなか、女性が誰か別の存在に話しかける。
女性の目線の先を追いかけると、そこには同じく真紅の眼の、青みがかった髪の毛が特徴的な女の子が立っていた。
もちろん、蝙蝠の羽のような翼を身に纏っている。
「……フレーティア?私があなたのお姉ちゃんの、レミリアよ」
ここまで来てようやく理解した。自分は先程から言われている、フレーティアと名付けられた赤ん坊なのだ。
とすると、この男女二人組は自分の親で、今自分に話しかけた女の子は言葉の内容通り自分の姉になる存在。
わけがわからない。しかし、突然の事態についていくことのできない自分がいる一方で、どういう訳かすんなりと事態を飲み込めてしまう自分もいた。
唐突に倦怠感が身体を襲う。感覚としては睡魔に近いが、そんなに生ぬるい物ではなく、絶対に抗うことのできないような意識を刈り取るような感覚だった。
景色が遠くなっていく。
一話目なので短めです