艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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土曜日に東京ゲームショウ2016に行ってきました、午前中から中に入ったんですけど、人の多さに昼前にバテるという情けない状態に…

物販コーナーで響のつままれラバーストラップをお土産にしました、可愛かったんですけど、三日月が無かったのが悔やまれます。


第101話「篝の場合3」

『暁型5番艦の篝?』

 

 

「はい、俺の記憶では、史実の暁型駆逐艦は4隻しか存在していなかったと思ったので…」

 

 

『あぁ、あれは造船所が考案したオリジナルだよ、海原くんの言うとおり、篝という艦は存在しない』

 

 

榊原は海原の質問にそう答える。

 

 

『艦娘の名前は歴史上存在した軍艦から取られているけど、実在しているモノである以上いずれネタ切れを起こすからね』

 

 

「随分とメタな発言ですね…」

 

 

海原のつっこみに榊原は事実だから、と悪びれもせずに答える。

 

 

『そんなわけだから造船所では架空艦の建造も行っているんだよ、今の暁型駆逐艦なら3体、金剛型戦艦なら2体架空艦が建造されてるよ、今言ったモノ以外にも色々あるし』

 

 

「何か俺の知らない所で色んな事が進んでるんですね…」

 

 

時代に取り残されたような気分になる海原だった。

 

 

『それはそうと海原くん、架空艦以外にも聞きたいことがあったんじゃないかな?』

 

 

榊原の言葉に海原はそうだったそうだった、と思い出す、というかこっちが本題だったのに忘れてどうする。

 

 

「実は、佐世保鎮守府に所属している川内型軽巡洋艦の川内について知りたいんです」

 

 

『川内…?それはまた唐突だね、君がそうやって聞いてくるということは…』

 

 

「はい、実は今言った篝の“面影”を持った駆逐棲艦とDeep Sea Fleetが接触しまして、佐世保に確認をとったら川内が関係していると言われたんですよ」

 

 

『そうだったのか、でもそれなら佐世保の奥村くんに聞けば済む話だろう?何か造船所に聞かなければいけない事情があるのか?』

 

 

榊原にそう聞かれると、海原は先ほどの奥村との電話でのやりとりを思い出しながら話す。

 

 

 

 

味方誤射(フレンドリファイア)ってのは一体どういうことだ?」

 

 

『川内と篝はとある夜戦任務で敵の中枢艦隊を撃破する任務についてた、その途中で川内は近づいてきた篝を敵と誤認して撃っちまったんだよ、大破していた篝はそのまま轟沈…てわけさ』

 

 

「そりゃいくら何でも川内がマヌケ過ぎるだろ、最近の電探は僚艦の電探とリンクさせて味方の位置をモニタリング出来る仕様になってるし、なにより敵味方の判別をハッキリさせずに撃つのは危険すぎる」

 

 

『確かにそれはそうなんだけどな、問題は川内の性格にあるんだよ』

 

 

「性格…?」

 

 

奥村の言わんとしていることが分からずに疑問符を浮かべる海原。

 

 

『あいつは、川内は夜戦が…夜が嫌いなんだよ』

 

 

 

 

 

 

『…夜が嫌い?』

 

 

「はい、昼前は何ともないみたいなんですけど、夜になると急に不安がったり怯えたりするみたいなんです、まるで見えない何かから逃れようとするみたいに」

 

 

海原がそう言うと、榊原はふむ…と言ったきり無言になる、キーボードを叩く音がかすかに聞こえるので電子書庫(データベース)を使っているのだろう。

 

 

『…海原くん、川内とは話を聞く予定はあるのか?』

 

 

「えぇ、明日台場に来てもらう予定です」

 

 

『そうか、ならすまないが、川内を連れて造船所まで来てくれないか?』

 

 

「造船所まで…ですか?」

 

 

『うん、ちょっと気になることがあってね、直接会って話したい』

 

 

「了解しました、川内が台場に来たら話をしてみます」

 

 

『助かるよ、それじゃあ明日』

 

 

互いに挨拶を済ませると海原は電話を切る。

 

 

 

「…夜戦嫌いの川内…か」

 

 

 

 

 

 

 

「…はじめまして、川内型軽巡洋艦1番艦の川内と言います…」

 

 

その翌日の午前中、川内が台場鎮守府にやってきた、黒髪のセミショートをツインテールにしており、服装はオレンジ色のセーラー服に花びらを思わせるデザインのフレアスカートだ、活発そうな見た目とは相反しておどおどしている。

 

 

「台場鎮守府提督の海原だ、遠路遙々すまなかったな、早速中に案内するよ」

 

 

「あ、あのっ…!」

 

 

海原が川内を連れて提督室へ向かおうとすると、川内が気弱そうな声を出す。

 

 

「どうした?」

 

 

「…えぇと、篝に会えるかもしれないって提督から聞いたんだけど、本当?」

 

 

不安を隠しきれないといった様子で川内は聞いてくる、諸々の事情は奥村から聞いているらしいが、まだ半信半疑といったところなのだろう。

 

 

「あぁ、確実ではないかもしれんが、可能性は高いと思うぞ」

 

 

「…そう」

 

 

それを聞いた川内は提督室に通されるまで口を開くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「…本当だったんだね、混血艦(ハーフ)の話」

 

 

川内は提督室にいるDeep Sea Fleetの面々を見て、驚いたように言う。

 

 

「川内さんが驚くのも無理はないですよ、こんな突飛な話、そう簡単に信じられるようなモノではないですし」

 

 

吹雪は苦笑しながら川内に言う。

 

 

「それじゃお前ら出かける準備しとけ、俺は川内連れて玄関で待ってるから」

 

 

「もう準備万端ですよ」

 

 

「司令官のご命令があればいつでも」

 

 

吹雪と雪風が諸々の持ち物を入れたバッグを掲げて誇らしげな顔をする、他のメンツも同様のようだ。

 

 

「準備が良いことで、じゃあ行くか」

 

 

「…へ?どこに?」

 

 

「川内の夜戦嫌いを克服するための協力者のとこ…かな」

 

 

「?」

 

 

川内はただ首を傾げることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「すまなかったね、急に来てほしいなんて言って」

 

 

「いえ、Deep Sea Fleetの定期検査もありましたのでちょうどよかったです」

 

 

互いの挨拶を済ませると、榊原は川内の方を向く。

 

 

「久しぶり…と言っても覚えてないか、造船所所長の榊原だよ」

 

 

「生みの親の顔を忘れるわけ無いじゃん、私が建造されてから佐世保に配属されるまで食事の用意とか色々してくれた人だよね?あのときはありがとう、また会えてうれしいよ」

 

 

川内が笑いながらそう言うと、榊原は嬉しそうな顔をして海原たちを中へ招き入れる。

 

 

「それじゃあ早速本題に入るけど、川内は夜が怖いんだよね?」

 

 

榊原は応接室に海原と川内を通すと、川内に事情を聞くために早速本題へ入った(Deep Sea Fleetは風音に預けて検査中)。

 

 

 

「…うん、昼間は何ともないんだけど、夜になると途端に得体の知れない怖さが身体の奥底から沸き上がってきて、何て言ったらいいのか分かんないけど、見えない何かに追いかけられてるような、そんなよく分かんない感覚」

 

 

川内は何とか言葉にして説明しようとしているが、自身の中にあるモノが曖昧すぎて言葉にする事すらままならない。

 

 

「奥村から聞いてた話とほぼ合致するな」

 

 

「それはいつ頃からか覚えてる?」

 

 

「建造されてすぐの頃からだよ、最初は単に私がビビりなだけかと思ったんだけど、佐世保に来てからはより“怖い”って感情がより実体化されてきてるって言うか…」

 

 

川内自身もよく分かっていない“恐怖”の話を聞いていた榊原は、おもむろにバッグから取り出した書類と川内の顔を交互に見る。

 

 

「…川内、最初に君の覚悟を聞いておきたい」

 

 

「…え?」

 

 

覚悟…という単語を急に出された川内は身を強ばらせる。

 

 

「これから川内の夜戦嫌いについて俺なりの考察を話すけど、場合によっては君を混乱させたり不快な思いをさせたりするかもしれない、それでも聞くかい?」

 

 

「聞きます!」

 

 

川内はテーブルに身を乗り出し、向かい合って座っている榊原に顔を近づける。

 

 

「私が篝にやったことは決して許される事じゃない、でも、篝を助けられるなら、あの時の償いが出来るなら、私はどんな事にも耐えて見せます」

 

 

確固たる意志を持った川内の目を見た榊原はどこか納得したように頷くと、榊原の見解を口にする。

 

 

「川内の夜戦嫌いは、川内の“前世”が関係してると俺は思う」




次回「天使夜衣」

実は川内はくノ一風の衣装を着たオリジナルにしようかという案もあったんですけど、ゲーム通りの姿で登場させました。
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