艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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深海中枢海域最終ステージが未だクリア出来ません、ボス2マス前のル級改の猛攻を耐えたのに次のボス前のヲ級改の空撃で摩耶が大破、ダメコンないとダメな気がしてきました。


第103話「篝の場合5」

海原たちが応接室で話をしていた頃、吹雪たちは身体検査を受けていた。

 

 

「…はい、これで検査は終了よ」

 

 

 

「ありがとうございます、結果はどうですか?」

 

 

「結果は…前回から全く変わってないわね、ミリ単位まで横這いよ」

 

 

風音は前回の検査結果と照らし合わせて確認するが、汚染率はコンマ以下の数値まで前回と全く変わっていなかった。

 

 

「でも、変わってないとなると妙ね…」

 

 

 

そう言うと風音は眉間にしわを寄せて唸るように考える、検査開始からすでに3回はこの表情を見ているのだが、美人なのにもったいないなぁ…などと吹雪はのんきに考えていた。

 

 

「何が妙なんですか?」

 

 

「さっき吹雪ちゃんが“反転”したって言ってたでしょう?それなら少しは汚染率に変動があってもおかしくないと思ったんだけど…」

 

 

「あ~、なるほど…」

 

 

吹雪は納得したように頷く、ちなみに反転とは以前吹雪がなった深海棲艦化の呼称(吹雪命名)である。

 

「それで変わらないのなら、汚染率は本当に深海棲艦の残りかすの割合なのかもね、何はともあれ汚染率に変化は無し、その他身体的異常は見受けられない、とりあえずば現状維持って事で安心していいと思うわよ」

 

 

そう言うと風音は検査結果の書かれた書類を吹雪たちに渡す。

 

 

「ありがとうございました、またよろしくお願いします」

 

 

「うん、何かあったらいつでも頼ってね」

 

 

風音の笑顔に見送られながら吹雪たちは検査室を後にし、応接室に向かうために廊下を歩く。

 

 

「さてと、異常無しって結果は出たけど、まだ油断は禁物だよね」

 

 

「そうね、特に吹雪さんはまた反転したら大変だし、念のために戦闘から離れてみたら?」

 

 

「何でそうなるのさ!」

 

 

暁の発言に吹雪が反論する。

 

 

 

「前回吹雪が反論したときは駆逐棲艦に腕を噛み千切られた時、つまり身体的な重傷を負ったときが引き金(トリガー)になってるの、それを考えたら暁の案も十分検討の余地はあると想うわよ?」

 

 

「それは…そうだけど…」

 

 

マックスの正論に吹雪は何も言えずに俯いてしまう。

 

 

「別に今すぐにとは言わないわ、吹雪はDeep Sea Fleetの旗艦(リーダー)で主戦力なんだから、抜けられたらむしろ私たちが困るもの」

 

 

「そうそう、吹雪さんあってのDeep Sea Fleetなんだから、簡単に外させないわよ」

 

 

「吹雪さんが反転するほどのダメージを受けないように私たちがフォローしますからぁ、安心してください」

 

 

「みんな…」

 

 

メンバーの言葉に吹雪は目頭が熱くなるのを感じる。

 

 

「みんなありがとね、なんだか泣けてきちゃった…」

 

 

「あ~、泣き顔吹雪さん可愛いです~」

 

 

「う、うるさいな!」

 

 

応接室に戻るまでの間、暁たちは涙目で頬を赤らめている吹雪をからかって遊んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベアトリス、量産型の新規開発に成功したって事だけど、詳細を聞かせてもらってもいい?」

 

 

「はい、こちらが資料になります」

 

 

ベアトリスは少女に新型の資料を渡す。

 

 

「どれどれ…?」

 

 

 

 

 

○量産型仕様書(スペック)

・名前:癒送兵級(ビショップ)

個体番号(シリアルナンバー):H/S:Bishop

・用途:物資運搬、補給

・各能力

機動:S

攻撃:E

防御:A

 

 

 

 

「…運び屋の量産型?」

 

 

今までにないタイプに少女は首を傾げる。

 

 

王兵級(キング)女王兵級(クイーン)歩兵級(ポーン)などの量産型に燃料や弾を補給するための量産型です、そろそろ兵站(へいたん)の強化をはかる頃かと思いまして」

 

 

「なるほど、確かにこれは重要なモノだわ」

 

 

少女は感心するような様子で資料をベアトリスに返す。

 

 

「運用はもう始まってるの?」

 

 

「はい、すでにいくつかの部隊に配置しています、結果は今の所良好です」

 

 

「そう…分かったわ、本当にベアトリスは優秀ね、あなたを作って正解だったわ」

 

 

「お褒めに預かり光栄の極みでございます、このベアトリス、あなた様のお役に立てるのならどんな事でもいたします」

 

 

ベアトリスはそう言って少女の前に跪く、少女はそんなベアトリスを愛おしそうに眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ…本当に生きててくれてありがとう、これほど嬉しいことは無いわ」

 

 

川内は目の前で涙を流して喜んでいる女性を見て乾いた笑いを浮かべていた、成功すると踏んでいた作戦だったがこうも上手く行くとは思わなかった。

 

 

「さぁ、早くお家に入りましょう、夜衣」

 

 

「……うん」

 

 

天使夜衣の母親…天使(あまつか)雪衣(ゆきえ)に手を引かれる川内は、どうしようもないくらいに気まずい顔をしていた。

 

 

 




次回「望まれなかった再会」

実は前半部分はもう少し文章量多かったんですけど、投稿しようと下書きコピペしてたら操作ミスで前半丸ごと消えてしまいました、書いた内容全然覚えていなかった(全て書き直すのしんどかったのもある)ので結構削られてると思います(タイミング見て加筆しようかな…)。

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