艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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「制空権優勢以上かつ主砲×2で戦艦や重巡が確率で連撃をする」という話を何かで見たんですけど、あれって主砲×2以外は無効なんでしょうか…?

「主砲/主砲/三式弾/偵察機」の青葉は連撃をするんですけど、「主砲/主砲/副砲/電探」の鳥海は連撃をしないんです、鳥海は副砲外した方がいいんでしょうか?


第106話「篝の場合8」

吹雪を残して避難用シェルターを目指して移動する川内たち避難住民一行、しかしシェルターまであと150mほどといったところで最悪の事態になってしまった。

 

 

「…嘘でしょ…?」

 

 

住宅地を抜けて田園風景が目立ちはじめた道路に駆逐戦車が1体待ちかまえていた、すでに敵はこちらに気づいており、船体腹部にある主砲2機がこちらをロックオンしている。

 

 

「…やるしかないか!」

 

 

見逃してくれないと判断した川内は戦闘態勢に移行、避難住民を後ろに下がらせると右手に主砲を構えて駆逐戦車に向けて撃つ。

 

 

砲弾は見事駆逐戦車に命中したが、一撃で撃沈は出来なかった。

 

 

(もう一発…!)

 

 

川内は駆逐戦車から距離を取って再び狙いを定めるが、駆逐戦車がそれより先に2機の主砲を同時に撃ってきた。

 

 

「うわっ…!」

 

 

川内はそれを紙一重でかわし、たった今まで川内の立っていた場所のアスファルトが地面ごとえぐり取られる。

 

 

「あぁもう!アキバの時もそうだったけど、やっぱり陸上戦は厄介ね!」

 

 

被った土を手で払いながら川内は舌打ちをする、駆逐戦車の攻撃準備が整う前に砲撃を行おうとしたが…

 

「っ!!嘘…!?」

 

 

装填(リロード)中の駆逐戦車が右前足でガードレールを引き剥がし、長物の要領でそれを持つ。

 

 

「近接用の得物とか聞いてない…よ!」

 

 

猛スピードで振り下ろされるガードレールを川内は深海棲器の太刀で受け止める、さっきの別れ際に吹雪から借りたものなのだが、まさかこんな所で使うことになるとは思っていなかった。

 

 

「くっ…!ぐぎぎ…!」

 

 

両者鍔迫り合いになっているがパワーは駆逐戦車の方が上のようで、川内はジリ貧で押されていた、この膠着(こうちゃく)状態をどうにかしなければ押し負ける、しかし両手で太刀を押さえているので砲撃が出来ない、どうしたものかと素早く頭を回し始めていたその時…

 

 

 

「しまっ…!?」

 

 

砲撃準備の整った駆逐戦車のわき腹の主砲が川内目掛けて砲弾をぶち込んだ。

 

 

 

 

 

 

「ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

駆逐戦車の砲撃を受けた川内はそのまま後方へ吹き飛ばされて堅いアスファルトの上をバウンドする。

 

 

「あぅ…ぐぁぅ…」

 

 

砲弾が直撃だった上にアスファルトに身体を打ち付けた川内はかなりのダメージを受けていた、身体中に鈍い痛みを感じながら川内は太刀を杖代わりに立ち上がる、額の方から血が垂れてくるが、強引に服の袖で拭う。

 

 

「だりゃああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

川内は駆逐戦車の長物のリーチ内に入らないように注意しながら砲撃を行う、駆逐戦車もそれをかわしていくが食らう弾数の方が多く、着実にダメージを受けていく。

 

 

しかし駆逐戦車には致命傷になるようなダメージは入っていなかった。

 

 

「まさかこいつ、部隊長(エリート)…!?」

 

 

駆逐棲艦にも部隊長(エリート)司令艦(フラグシップ)といった上位種は存在するが、たたでさえ手を焼く駆逐戦車にも上位種がいるというのだろうか、勘弁願いたい話である。

 

 

しかし部隊長(エリート)だろうがなんだろうが関係ない、この駆逐戦車を倒さなければ住民の安全な避難は出来ないのだ、川内は依然として痛む足を引きずるようにして駆逐戦車に接近する。

 

 

「主砲がダメなら雷撃で!」

 

 

川内は魚雷発射管から一本引き抜くと、ダーツの要領で投擲する、今までやったことの無い技術だが、図体がデカい上に海上戦では必須の未来位置予測を行う必要が無いのである程度当てやすい。

 

 

魚雷を食らった駆逐戦車がよろけて攻撃動作が鈍る、田んぼに落として動けなくするという手もあるのだが、収穫時期間近で実った稲穂を見るとやりたくなかった。

 

 

一方川内の方も駆逐戦車の砲撃を掠る程度だが食らっており、ちくちくとダメージを積み重ねている。

 

 

「これで決める…!」

 

 

右手に主砲、左手に太刀を持って駆逐戦車に突撃する、相手も相当ダメージを食らっているはずなのであと一撃入れれば勝てるだろう。

 

 

 

 

…そう思っていた川内だったが、ここで予想外の事が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

駆逐戦車が跳躍した、ガードレールを投げ捨てて自由になった4本の足を使って前方にジャンプし、川内の目の前に着地した。

 

 

「そりゃ無いって!」

 

 

急ブレーキをかけた川内は慌てて距離を取ろうとしたがすでに遅かった、川内は駆逐戦車の左前足にがっしり掴まれてしまう。

 

 

「うぐっ…」

 

 

馬鹿みたいな握力が身体に襲いかかり、あちこちの骨が軋む音がする、何とか脱出しようともがくが、腕を抜くことすら出来ないので身体を(よじ)る事しか出来ない、この時川内はこのまま投げ飛ばされるモノだと思っていたが、駆逐戦車はそんな慈悲深い怪物ではなかった。

 

 

駆逐戦車は右前足で川内の左腕を器用に出して掴むと、躊躇無くそれを引きちぎった。

 

 

「ぎゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

想像を絶する痛みに脳がスパークする、艤装の加護のお陰で出血は一定の量まで抑えられているが、放っておけば出血死は免れない。

 

 

川内はそのまま駆逐戦車に投げ飛ばされ、アスファルトに叩きつけられる、物陰に隠れていた住民が川内の状態を見て悲鳴をあげたり目を覆ったりしていた。

 

 

「あっ…!うぐぅ…!」

 

 

川内は何とか立ち上がろうとするが、腕の痛みが酷くて思うように動けない。

 

 

(ダメだ、こんな所でダウンしたらダメだ…!)

 

 

 

この後ろには避難住民がいるのだ、今ここで自分が倒れれば駆逐戦車の狙いは雪衣たちに向かうだろう、それだけは絶対に許されない。

 

 

「…はぁ…はぁ…」

 

 

 

「ちょっとあんた…!」

 

 

見かねた雪衣が声をかける、そのほかの住民たちも川内を見て目に涙を浮かべていた、今まで深海棲艦という存在は対岸の火事のように考えていたが、こんな年端も行かない少女が傷つきながら戦っているという現実を目の当たりにして言葉が出なかった。

 

 

「大丈夫です…!大丈夫ですから!絶対にあなたたちを守って見せます!」

 

 

後ろの雪衣たちを何が何でも守り抜いてシェルターに連れて行く、その一心で川内は立ち上がるが、正直身体はフラフラだし腕の痛みで精神が狂っているのか、こんな状況なのににやけ笑いが出てしまう。

 

 

「何であんたはそこまでして…!」

 

 

「何でって、そりゃ私が艦娘だからですよ、深海棲艦から日本国民を守るのが私たちの使命です」

 

 

川内は杓子定規にそう答える。

 

 

「それに、あなたを見ていると胸の奥からこみ上げてくるような“何か”を感じるんですよ、まるで夜衣さんが助けろって言ってるみたいに」

 

 

ただし、それに川内の気持ちを上乗せして…。

 

 

「えっ…?」

 

 

「例え偽物と言われても、私の身体は夜衣さんなんです!仮に艦娘でなくても、助ける理由はそれだけあれば十分です!」

 

 

そう言うと川内は駆け出した、片腕が無いせいでバランスが取りにくいが、転ばないように走る。

 

 

駆逐戦車が川内を狙って砲撃を行うが、それを川内は紙一重のタイミングでかわす、その内の一発が腹部を掠めて血が流れ落ちるが、それすら気にならないほどのアドレナリン全開で川内は走る。

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

駆逐戦車に肉薄した川内は片手で持てるだけの魚雷を持つとそれを駆逐戦車の中に放り込み、主砲を撃って砲弾をぶち込む。

 

 

砲弾によって誘爆した魚雷は駆逐戦車の中で大爆発を起こしてその船体を木っ端みじんに吹き飛ばす。

 

 

「どんなもんよ…」

 

 

川内は力無く笑うと、そのままフラついて倒れそうになるが…

 

 

「…へ…?」

 

 

雪衣が川内のそばに駆け寄り、その身体を支えてくれた。

 

 

「…ありがとう…ございます…」

 

 

「…………」

 

 

雪衣は何も言わなかったが、シェルターに着くまでの間ずっと肩を貸してくれていた。

 

 

ちなみにそのすぐ後に吹雪が追い付いてきたのだが、ボロボロになった川内を見てめちゃくちゃ驚いていたのはまた別のお話。




次回「想いを託して」

小説では軽巡ボコボコにしてる後期型eliteですけど、ゲームでは強いんですかね?駆逐艦でも楽に撃破できるような強さだったら違和感不可避ですね。
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