艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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歴史改変を目論む刀剣乱舞の敵…“歴史修正主義者”が艦これの世界に攻め込んできた、奴らの目的は艦娘たちが持つ在りし日の艦の記憶や歴史を改変し艦娘の存在を消すことだった。

事態を察知した刀剣男士たちは歴史修正主義者を追って艦これの世界へ向かう、そこで接触した艦娘たちに事情を話し共闘する事になる。

歴史修正主義者もどういうわけか深海棲艦と手を組み艦娘と刀剣男士に攻撃を仕掛けてくる。

たとえ生きる世界が違えども、辿った歴史が違えども、大切なものを守りたい、その想いだけは変わらない。

艦これ×刀剣乱舞コラボイベント開催!



…という妄想をしてみました(※実際はこんなイベントありません)


第110話「篝の場合12」

「こんな真夜中に仕掛けてくるなんて、深海棲艦もいい趣味してるわね、まぁミンチにしてしまえばそれで済む話だけど」

 

「台場の艦娘ってみんなこんなバイオレンスな頭してるの?」

 

 

寝ているところを叩き起こされて不機嫌なマックスの呟きに川内は顔をひきつらせる、敵艦隊の夜襲が確認されると海原はすぐに迎撃用の艦隊を編成、出撃させた。

 

 

吹雪、暁、三日月、ハチは近海に進入中の敵本隊を叩き、大鯨と雪風は鎮守府の建物内の警備兼海原の護衛、そしてマックスと川内と篝は鎮守府敷地内の哨戒(しょうかい)にあたっていた。

 

 

「てか、沿岸から敵艦隊が来てるのに敷地内や建物内を守る必要あるの?」

 

 

「当然よ、深海棲艦は戦車以外でも陸上での活動が可能だもの、万が一吹雪たちの間をくぐって入ってこられたらやっかいだわ」

 

 

「ちょっと待って、深海棲艦って戦車以外も陸に上がれるの?」

 

 

「そうよ、それにこれは提督が実際に経験しているわ、室蘭時代に陸上で重巡棲艦に襲われた事があるって以前言ってたし」

 

 

「…私、今どんでもない事実を聞かされた気がする」

 

 

今まで知らなかった重大な事実を知り、川内は驚きを隠せない。

 

 

『のんきに会話するのもいーですけど、ちゃんと警戒しないと敵に襲われますよ』

 

 

横で川内の手を握っている篝がきつめの口調で2体を咎める。

 

 

「それくらい分かってるわよ、ていうかわざわざ建物内より危険度の高い敷地内哨戒に参加するなんて、余程川内さん想いなのね、手まで繋いじゃって」

 

 

『別にそんなんじゃありません、また川内さんが間違って味方を撃たないよーに見張ってるだけです、あと手を繋いでるのは手綱代わりです』

 

 

「暴れ馬みたいな言われようね…」

 

 

マックスの呆れ半分の返しに“事実ですから”と返す篝、もちろん川内はこのやりとりが理解できないので首を傾げるだけだったが。

 

 

『マックス!川内さん!こちら敵本隊迎撃舞台の吹雪!聞こえる!?』

 

 

すると、無線機モードにしていたPitから吹雪の声が聞こえてくる。

 

 

「こちらマックス、どうしたの?」

 

 

『敵の艦隊が強すぎるから可能なら応援に来て!構成は重巡棲艦2体に軽巡棲艦が2体でどちらも司令艦(フラグシップ)と思われる!こっち来れる!?』

 

 

「分かったわ、すぐに向かう」

 

 

吹雪の応援要請を受け、マックスたちは戦闘海域の方へと向かっていく。

 

 

 

 

吹雪たち敵本隊迎撃部隊は苦戦を強いられていた、敵の数や艦種は吹雪たちだけでも相手出来る連中だが、重巡棲艦に司令艦(フラグシップ)と思われる個体が混ざっているのが災いした、電子書庫(データベース)の情報では重巡棲艦は司令艦(フラグシップ)レベルになると下手な戦艦よりも脅威になるらしい。

 

 

「何だってこんな強敵が台場近くまで来てるのよ!はぐれ艦隊でも強すぎでしょ!」

 

 

手甲拳(ナックル)で重巡棲艦に鉄拳を食らわせながら吹雪が愚痴をこぼす、重巡棲艦は攻撃力もさながら防御力も各段に上がっており、吹雪の一撃でも致命傷を与えられない、500mほど後ろには台場鎮守府の埠頭があるので何としてもここで食い止める必要がある。

 

 

「吹雪!お待たせ!」

 

 

そこへマックスたちが合流し、残敵の排除を行うために戦闘態勢に移行する、これなら何とかなるかも…と思っていた吹雪だったが、ここで想定外の事態が起こる。

 

 

「んなっ…!?」

 

 

「嘘でしょ!?」

 

 

敵の増援が現れたのだ、追加で重巡棲艦が3体、駆逐棲艦が2体追加で海中から出現する。

 

 

「勘弁してよね!たたでさえ今の状況が苦しいのに…!」

 

 

吹雪はようやく力尽きた重巡棲艦を踏みつけて沈めると、忌々しげに舌打ちをする、もう片方の司令艦(フラグシップ)と思われる重巡棲艦は暁と三日月のふたり掛かりでようやく大破寸前になった所だし、同じく司令艦(フラグシップ)と思われる軽巡棲艦はマックスとハチの奮闘でどちらも大破、これだけ見れば増援が来てもあまり影響がなさそうに思えるが、夜戦のせいで普段以上に苦戦している。

 

 

その主な原因として視界の狭さがある、Deep Sea Fleetは深海棲艦の性質を持っているので多少夜目が効く、おそらく夜目が効かないと海の底まで見渡せないからという深海棲艦の能力なのだろうが、それでも昼間の70%程の視野しか確保できないので戦いづらい。

 

 

「そういえば川内さんは大丈夫かな、まだ完全には夜嫌い克服できてないし…」

 

 

新手の相手をしながら吹雪は川内の方を見やる、 一応は駆逐棲艦を相手に普通に戦っている、ように見えるが…

 

 

「…やっぱりすぐには無理だよね」

 

身体をガタガタ震わせており、誰の目から見ても怯えているのが分かった。

 

 

 

 

 

 

『怖い』

 

 

川内の中を支配する感情はその一点のみであった、夜衣の両親とも仲直り出来て、少しは何かが変わるのではないかと思っていたが、やはり無理だった、夜衣の怖いという感情が全身を支配し、川内の余裕を奪う。

 

 

しかし、自分のすぐ後ろには篝がいる、ここで怖がっていてはまたあの時の二の舞だ、絶対に自分を見失ってはならない、絶対に。

 

 

川内はそう何度も心の中で言い聞かせた、しかしそれ故に気付けなかった、トドメをさせなかった駆逐棲艦が川内のすぐそばまで来ていることに…

 

 

「…あ」

 

 

暗がりに浮かぶ駆逐棲艦が川内の視界に入り、獲物を狩り捕るようなギラギラした目が合う、そしてそれは夜衣の死に際の記憶に残されている通り魔の狂気に満ちたその目とよく似ており…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

必死に保とうとしていた平常心は、まるで砂の城を崩すかの如く簡単に壊れた。




次回「ほんのちょっとの勇気」

ちなみにDSFの世界ではエリートやフラグシップは全てノーマルと同じ見た目なので外見で判断する方法はありません。

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