艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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chapter9「大鳳編」

とある読者様のコメントで「戦艦少女」なる艦これの中国版の存在を知りました、早速落としてやってみたんですけど中々面白かったです、艦これとの仕様の違いなんかは当然あったんですけど…

・初めて入手した艦娘はロックするかどうかの確認画面が出る。

・建造では他のユーザーが回したレシピ&それで何が出たかの履歴が見れる。

・第一艦隊でも遠征に出せる。

・陣形選択の際に補正効果の説明が出る

↑の戦艦少女独自の仕様は本家にも実装してほしいです。


第114話「大鳳の場合1」

「そろそろ来る頃だな」

 

 

海原は腕時計を見ながらその時を待っていた、この日海原とDeep Sea Fleetは新造艦を迎えるために鎮守府入り口で待機していた。

 

 

「誰が来るんでしょうか?」

 

 

結局詳細を聞かされていなかった吹雪が首を傾げる。

 

 

「この資源から察するに重巡クラスですね、運が良ければ空母か戦艦…といったところでしょうか」

 

 

海原が依頼した資材データを見ながら三日月が推測する。

 

 

「…おっ、来たみたいだな」

 

 

艦娘運搬用の造船所の車両が台場鎮守府の入り口にやってくる。

 

 

「お疲れ様です海原提督、ご依頼の建造艦娘をお届けに来ました」

 

 

「お疲れ様です風音さん、どうもありがとうございます」

 

 

ふたりは互いに一礼すると、風音が荷台の扉を開け、1体の艦娘が下りてくる。

 

 

変わった服装をしている艦娘だった、裾の短い漆黒の修道服を着ており、下半身には濃さの違う紺色のスカートを穿いている、長い髪は光沢すら感じさせる銀髪で、頭にはプラチナ色のティアラを着けている、ファンタジー系のゲームに登場する“プリースト”がイメージとしては近いだろう。

 

 

「工作艦『明石(あかし)』だ、よろしく!」

 

 

その黒い双眸で台場鎮守府のメンバーを見渡すと、明石はそう挨拶した。

 

 

 

 

『工作艦』

 

 

簡単に言えば出撃先で損傷した艦艇を修理するための艦、動く修理工場だ。

 

 

戦艦や巡洋艦をRPGで言う戦士や剣士などの攻撃役(アタッカー)とするならば、工作艦はその後ろに控える僧侶や魔法使いなどの回復役(ヒーラー)といった立ち位置である、宿屋(ドック)でしか回復できない体力を出撃先(ダンジョン)でも回復できるとなればまさに鬼に金棒である。

 

 

味方側にいると心強い回復役(ヒーラー)だが、敵として出てくれば一番最初に狙われるというのはどこの世界でも変わらない、“明石を見つけたら真っ先に落とせ”という命令を敵海軍が出したという史実が残されているほどだ。

 

 

しかし裏を返せばそれだけ明石の修理能力が優れていたという証明にもなるので、ある意味それは誇れることなのかもしれない。

 

 

 

 

 

そしてこの世界での明石だが、艦娘や艤装の整備士として全ての鎮守府と駐屯基地に1体必ず配属されており、同名の艦娘が複数体存在できる唯一の例外でもある、ちなみに当然だが全国に存在している明石は全員容姿が違う。

 

 

原則として艦娘の建造は工廠からデータを造船所で送る事でしか出来ないのだが、いくら海軍の特命係と言われている台場鎮守府でも整備士のひとりでもいなければ満足に艦隊を運用できない、という海原の筋を通した要望に応え、特例として明石の建造を認可したのだ。

 

 

「…というわけで、明石には吹雪たちの艤装の整備や修理なんかをこれから担当してもらうことになる、戦闘に参加することは無いが、我が鎮守府最強の裏方として活躍すること間違い無しだ」

 

 

資材と引き換えに明石を受けとった後、提督室で改めて自己紹介をしてもらっていた。

 

 

「艤装や装備に関することならどんどん頼ってね、装備のメンテナンスや深海棲器の手入れまで、ちょちょいのちょいでやってみせよう!」

 

 

「…ん?何で明石さんが深海棲器を知ってるんですか?」

 

 

疑問に思った吹雪が怪訝そうな顔で聞く、さっき台場に着いたばかりの明石が深海棲器を知っているのはいささか不自然に感じる。

 

 

「ここに来る前に榊原所長から深海棲器に関する知識を詰め込まれたんだよ、そしてみんなが混血艦(ハーフ)だということやこの台場鎮守府の現状も所長から聞いているから知ってる」

 

 

それを聞いて吹雪は少し不安になる、この台場鎮守府は深海棲艦との混血艦(ハーフ)のみで構成された艦隊だ、そんな艦隊に純粋な艦娘が着任して、明石は敬遠してしまわないだろうか…?。

 

 

「でも安心して、確かに最初こそ驚きはしたけど、私はみんなが深海棲艦との混血艦(ハーフ)だろうと敬遠したりする事は無い、むしろ台場鎮守府のために色々尽力したいと思ってる、私は戦闘はからっきしだけど、裏の方からDeep Sea Fleetを支えていきたいの、台場鎮守府の一員として…これからよろしくお願いします!」

 

 

 

そう言って明石はDeep Sea Fleetに笑いかけて敬礼をする、どうやら吹雪の心配は杞憂で終わりそうだ。

 

 

「こちらこそ、これからよろしくお願いします!」

 

 

Deep Sea Fleetをメンバーは嬉しそうに敬礼を返す。

 

 

「…あれ?でも深海棲器って大本営で開発してたんですよね?何で榊原所長がその知識を持ってるんだろう…」

 

 

「何でも、榊原所長が大本営のデータからくすね…貰ったとか」

 

 

「なんか今不穏な空気漂う単語を口にしかけなかった?」

 

 

「き、気のせいじゃないか…?」

 

 

明石は気まずそうに目をそらす。

 

 

(所長って意外と裏でスゴいことやってるんだな…)

 

 

こっそりそんな事を思う吹雪だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

明石が着任の挨拶を済ませた後、彼女の作業用の工房を用意する作業に入る、工廠は閉鎖されていて使えないため、空いている大きめの多目的ホールを作業場に改造する事にした、明石と一緒に持ち込まれた道具や機械類を台場メンバー全員で運び入れ、造船所から渡されたマニュアルを元にセッティングする。

 

 

「…よし!こんなもんでどうだ!」

 

 

作業開始から2時間後、ようやく最低限の整備作業が出来るだけの環境が整った、自分が活躍出来る“戦場”が用意された明石は感動で目をキラキラさせている。

 

 

「作業環境はまだまだって所だけど、これから随時改善していくからしばらくはこれで我慢してくれ、悪いな」

 

 

「いやいや、これだけでも十分立派なモノだよ、これなら艤装整備もバッチリこなせる!」

 

 

弾んだ声を出す明石に海原は心の中でホッとする。

 

 

「そうだ提督、早速深海棲器の新規開発をやろうと思うんだけど…」

 

「新規開発?そんな事できるのか?」

 

 

「うん、深海棲器の仕様や製造方なんかは所長に叩き込まれたから、だから提督に許可を貰いたいんだ」

 

 

「そういうことなら俺はOKだ、どんな武器が出来るか楽しみにしてるぜ」

 

 

 

「任せてよ!技術班代表の誇りにかけて、あっと驚くようなステキ武器を開発して見せよう!」

 

 

明石は自信たっぷりに胸を叩く




次回「明石の魔改造(アレンジ)ステキ武器」

明石のイメージは本文で語られている通りプリーストです、修理工場ということで回復職をモチーフにしました、洋風の服装って難しい。

ちなみにゲームの姿の明石は横須賀にいます。

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