艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
オリョクルって使える方法なのかな…
「水上機母艦が砲撃…!?」
「嘘でしょ…!?」
金剛と長門は揃って目を向いた。
「何言ってるのよ、別に不思議な事じゃないでしょ?」
「水上機母艦は主砲、魚雷、水上機の全てを積めるんだから」
事もなげに千代田と千歳は言ってのける、あまり知られていないが水上機母艦の艤装は航空戦、砲雷撃戦の全てに対応出来るように造られている、もちろん本質は水上機を搭載させる艦なので砲雷撃戦の能力はそれほど高くはないのだが、手数の多さではどの艦娘よりも勝る。
「さすがに戦艦や空母には負けるけど、駆逐艦の相手くらいなら出来るわよ!」
そう言うと千代田と千歳が水上偵察機『瑞雲』を発艦させる、これは通常の偵察機に改良を加えたモノで、艦爆のような爆撃能力が備わっている優れものだ。
「うわっ!」
「それそれそれ!どんどん行くわよ!」
瑞雲による爆撃、そして主砲や魚雷による多種多彩な攻撃で島風を攻撃していく、最初に彼女の強力な雷撃で相手艦隊に大ダメージを与えるというのが呉の作戦であったため、島風は若干の焦りを感じていた。
(愛宕さんは大破にしたけど、まだ戦闘不能に追い込んだわけじゃないし…どうすれば…!)
持ち前のスピードで千歳と千代田の攻撃をかわしていくが、ちくちくと微量なダメージが積み重なっていく、ちらりと電光掲示板を見やると、すでに両鎮守府の何体かが退場になっている。
「っ!?しまっ…!」
千歳と千代田の攻撃をかわしていく島風だったが、いつの間にか2体が挟み撃ちをするような位置関係になっていた、それに気づいた島風はそれを逃れようとするがすでに遅い。
「うわああああぁぁぁ!!!!」
砲撃、雷撃、空撃の全てを一身に受けた島風は戦闘不能になり退場になった。
◇
「あー、島風が退場になった」
「さすがに駆逐艦じゃ無理があったか」
一方こちらは観戦中の台場一行、演習を眺めながら感想を口々に言い合っていた。
「提督、ひとつ聞きたいんですけど、朱龍さんや加賀さんが発艦させているあの艦上戦闘機は何ですか?」
「あれか?あれは『烈風』っていう艦上戦闘機だ、お前のいたころは無かったのか?」
海原はそう大鳳に問う、烈風は現在開発されている艦上戦闘機の中で最も使われている機体だ、前世代機の『紫電改二』よりも対空能力に優れており、
「はい、私が現役だった頃は紫電改二が主流でしたから…」
「紫電改二…烈風の前世代機か、しかしこんな所にもジェネレーションギャップが出るとは…」
艦娘の武装も新しい種類が次々と開発されているため、大鳳のジェネレーションギャップも仕方がないと言えば仕方がない。
「あ、司令官、演習終わったみたいですよ、舞鶴が勝ちました」
「マジかよ、水上機母艦がいたのによく勝てたな」
「あの攻撃範囲の広さは反則級ですからね」
そう言って吹雪はバトルフィールドを見る、脱落して落ち込んでいる島風を摩耶と金剛が励ましていた。
「次は舞浜と室蘭か、どんな連中が出てくるやら」
海原は若干の期待を乗せて呟いた。
◇
「…青葉、そっちはどう?」
「バッチリです大和さん、
一方こちらは横須賀鎮守府の提督室、青葉と大和はこの中で密会を行っていた。
「青葉、改めて言うけれど、この極秘計画は今まで細心の注意を払って進めてきた、もしこれが提督に知られれば私たちの命は無いと思った方がいい、それでも青葉は私に付き合ってくれる?」
大和はそう言って青葉に覚悟を聞く、もし戻るなら今がそのギリギリのポイントだ、これ以上進めばどうなるかは大和自身も分からない。
「もちろんです大和さん、この青葉、最後まであなたについて行きます」
青葉はそう言うと大和に笑みを向けた、それを聞いた大和は不敵にほくそ笑む。
「…分かったわ、じゃあ例のアレの準備を続けて」
「了解!」
そう言うと青葉は中断していた作業を再開する。
「…ふふっ、覚悟していてくださいね、提督」
次回「舞浜鎮守府VS室蘭鎮守府」
敵空母撃破の任務報酬で赤城が貰えました、でもボーキサイトの消費が痛いのでしばらくは隼鷹と千代田に頑張ってもらいます。