艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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最近デイリー任務の建造(最低値)でよく秋雲に会います、夕雲型で建造出来るのってこいつだけなんでしょうか。

キス島のハズレルートの一歩目…3-2-1と呼ばれているマスは経験値が美味しいのでレベリングにお薦め、というのを聞いたので最近はそこばかり行ってます。


第128話「大演習祭8」

「いよいよ横須賀のお出ましか」

 

 

「どんな編成で来るんでしょうね?」

 

 

「あの佐瀬辺の事ですから、たぶん戦艦6体とかで来るんじゃないですか?」

 

 

「流石にそこまで脳筋艦隊じゃないと思うぞ…」

 

 

海原が大鯨につっこんだところで両鎮守府の艦隊が入場してくる。

 

 

○舞鶴鎮守府

・艦隊名:遠征艦隊雪月花『雪組』

 

・戦艦:陸奥 Lv.120

・戦艦:霧島 Lv.110

・軽空母:瑞鳳 Lv.97

・軽空母:龍鳳 Lv.93

・重巡洋艦:プリンツ・オイゲンLv.95

・重巡洋艦:ザラ Lv.90

 

VS

 

○横須賀鎮守府

・艦隊名:神風攻撃隊

 

・航空戦艦:扶桑 Lv.154

・航空戦艦:山城 Lv.155

・正規空母:赤城 Lv.153

・駆逐艦:夕立 Lv.70

・駆逐艦:時雨 Lv.76

・駆逐艦:照月 Lv.77

 

 

 

「…は?横須賀が駆逐艦?」

 

 

メンバーの意外さに海原が素っ頓狂な声を出す。

 

 

「なんか意外ですね、てっきり戦艦多用の艦隊だと思ってましたけど」

 

 

「それなりに練度(レベル)もあるみたいですし」

 

 

吹雪たちが口々に言い合っている中、海原は別の所に焦点が行く。

 

 

「艦隊名の“神風”って確か“特攻”って意味があったよな…」

 

 

横須賀には珍しい駆逐艦、そして神風という艦隊名。

 

 

「っ!!まさかあいつら…!」

 

 

その時、海原は最悪の可能性を頭に浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

「…なんか、相手の艦隊の雰囲気が妙ね」

 

 

舞鶴艦隊旗艦(リーダー)の陸奥は横須賀艦隊…とくに前衛の駆逐艦たちに違和感を感じていた、大演習祭(バトルフェスタ)のような演習でも駆逐艦が起用されることは普通にあることだし、練度(レベル)も決して低くはない、3体ともブカブカの黒いローブを着ている点を除けば何らおかしな事はない。

 

 

陸奥が違和感を感じたのは面子でも練度(レベル)でもなく、その表情だ。

 

 

「何であんなに怯えた顔をしてるのかしら…?」

 

 

相手艦隊の表情が全体的に暗いのだ、駆逐艦たちは何かに怯えるような顔で身を震わせているし、後ろの戦艦や空母は夕立たちに対してやりきれないような表情を向けている。

 

 

どうにも掴み所のない雰囲気に困惑する陸奥だったが、試合開始の合図が鳴ったため陸奥の思考はそこで止まることになった。

 

 

試合開始と同時に前衛の夕立たち駆逐艦3体が猛スピードでこちらに突っ込んでくる、こちらも瑞鳳と龍鳳が艦載機を発艦させ、夕立たちを狙おうと急降下してくる。

 

 

「全艦!対空射撃急ぐっぽい!」

 

 

夕立の合図で時雨と照月が機銃を一斉に発射、瑞鳳と龍鳳が放った艦載機を粗方撃ち落とす。

 

 

「……やっぱり何かが変…」

 

 

陸奥は対空射撃を続けながらこちらに向かってくる夕立たちを見て、先程までの違和感を強くする、後ろの戦艦たちがあまり攻撃してこないこと、こちらのターゲットが全て夕立たちに向かうような攻め方をしていること。

 

 

いや、それ以前に夕立たちが機銃以外の攻撃兵装を何も持っていないこと…

 

 

 

 

(ひょっとしてあの子たち、はじめからこちらを攻撃するつもりがない…!?)

 

 

そこまで考えた陸奥が目を見張る、機銃は艦載機の撃墜に特化した装備だが、艦娘への攻撃力は皆無だ、その機銃しか装備していないとなればこちらを攻撃する気がないと判断するのが妥当である。

 

 

 

「…なぜ横須賀はそんな事を…?」

 

 

しかし、艦娘の装備品だけが艦娘の攻撃手段とは限らない。

 

 

「ぽーい!」

 

 

「っ!?しまった…!」

 

 

つい考えるのに夢中になってしまい、陸奥は夕立たちに超至近距離までの接近を許してしまった、しかしここまで近付いても機銃は陸奥たちにダメージを与える事は出来ないし、主砲を撃つにしても爆風や衝撃波で自分もダメージを受けてしまう。

 

 

「食らうっぽい!」

 

 

その言葉とは裏腹に、夕立たちがとった行動は陸奥たちに“抱き付く”というものだった。

 

 

「あなたたち何を…!?」

 

 

夕立は陸奥に、時雨は龍鳳に、照月は瑞鳳にそれぞれしがみつく、その様子に陸奥含め舞鶴艦隊は目を点にさせて夕立たちを見る。

 

 

「…ごめんなさい、本当はこんな方法、取りたくはなかったっぽい…」

 

 

「何を言って…」

 

 

陸奥の言葉を待たずに夕立は着ていたローブを少しはだけさせる。

 

 

「っ!?」

 

 

それを見た瞬間、陸奥は全身の血の気が引くのを感じた、そのローブの下にあったのは…

 

 

「結構痛いと思うけど、我慢してほしいっぽい」

 

 

魚雷、着火材、カセットコンロのボンベ、ガソリン、ありったけの爆発物を身体に巻き付けた夕立の姿だった、ローブはそれを隠すために着ていたのだろう。

 

 

「特攻攻撃…」

 

 

陸奥は身を震わせながら後ろを向く、龍鳳と瑞鳳も目尻に涙を浮かべながら首を横に振っていた、この状況を見れば時雨や照月も同じ状態だろう。

 

 

「………」

 

 

夕立はポケットから起爆装置と思われるスイッチを取り出すと、ボタンに指をかける。

 

 

「ダメ!待って…!」

 

 

陸奥はそれを止めようとしたが、夕立は何のためらいもなく起爆装置のボタンを押した。

 

 

 

刹那、凄まじい爆風と爆炎と衝撃が零距離で全身を叩きつけ、戦艦の装甲を貫いてダメージを与えてくる、あまりの衝撃に陸奥は後方へ大きく吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

「うぅ…ぐぅ…」

 

 

やっと爆発の勢いが収まってきた頃、陸奥の艤装からは戦闘不能になったことを知らせるアラートが途切れ途切れに鳴り響く、艤装の加護が爆発のダメージに耐えられなかったらしく、陸奥の全身には出血を伴う傷が所々出来ていて、一番爆発から近かった右腕の骨も折れている。

 

 

龍鳳と瑞鳳も同じく戦闘不能になっており、装甲が戦艦よりもろい分傷が深くなっている。

 

 

「そうだ…!夕立ちゃんは…!? 」

 

 

駆逐艦の装甲は戦艦や軽空母よりも薄い、戦艦の装甲を持つ陸奥ですらこのダメージなのだ、絶対に無事では済まない。

 

 

骨折の痛みに鞭打って身体を動かすと、夕立は離れた所に倒れていた。

 

 

「…う…そ……」

 

 

気を失って倒れている夕立の両腕は千切れ飛び、穴の開いた腹部からは腸がヒモのように垂れ下がっていた。

 

 

周りを見渡せば時雨と照月も四肢欠損の大怪我を負っており、胸の肉が抉れて肋骨が露出している時雨を見た龍鳳が泣きじゃくりながら嘔吐している。

 

 

当然駆逐艦たちは全員戦闘不能、艤装の加護で出血が抑えられているため死んではいないが、危篤状態なのは変わらない。

 

 

横須賀の非情ともいえる作戦で両艦隊のメンバーは開始1分半で一気に半減させられてしまった。

 

 

夕立たちの惨状を見て完全に戦意を喪失させてしまった舞鶴艦隊だが…

 

 

「…まだ、やるって言うの…?」

 

 

後衛の扶桑たちが残った霧島たちに主砲を向けて狙いを定め、赤城も艦載機発艦のために弓を構えていた。

 

 

 

 

…戦いは、まだ終わらない。




次回「1vs1×3」

ちなみに舞鶴の艦隊名の“遠征艦隊雪月花”は僕が実際に第二、第三艦隊に設定している艦隊名です、第四艦隊が解放されたら“花組”をつくる予定。


あと舞鶴艦隊に龍鳳がいましたが、これは今の大鯨が改装不可能なため龍鳳が存在できない、という理由から造船所が新規に龍鳳を独立個体で建造した、という設定になってます。

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