艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

134 / 231
128話で秋雲が夕雲型だと前書きで書いてましたが、正しくは陽炎型だという感想を頂きました、制服が夕雲と同じだったので間違えてしまいました…すみません(汗

運営のTwitterに来月あたりイベントをやる…みたいな事が書いてありましたが、高速修復材の数が極端に少ない(現在176個)ので不安しかありません、資材も各平均25000くらい(弾薬のみ35000)なので貯めなきゃですね。


第129話「大演習祭9」

「さてと、これからどうしたものか…」

 

 

残された霧島、プリンツ、ザラの舞鶴艦隊は状況が不利な事を痛感させられていた、龍鳳と瑞鳳がやられてしまったので航空戦力は全滅、しかし向こうには赤城がいるのでこちらは重巡2体の機銃のみで対抗しなければならない。

 

 

扶桑と山城は同じ戦艦の霧島で何とかやるしかない、最悪プリンツたちにも砲撃に参加してもらえば十分戦えるだろうが、扶桑たちは航空戦艦…通常の戦艦よりも装甲が強化された艦種だ、いかんせん火力不足である。

 

 

「やるしかない…か、プリンツ!ザラ!砲撃開始!」

 

 

「はい!」

 

 

「了解しました!」

 

 

霧島の合図で重巡2体が砲撃を開始、それに合わせて扶桑と山城も砲撃を行う、先程の威嚇射撃とはまるで違う、本気で相手を仕留める砲撃を…。

 

 

「くっ…!意外と激しいわね…」

 

 

霧島は扶桑たちの砲撃をかわしつつ主砲を撃つが、霧島のスピードでは回避が追い付かず小破未満(カスダメ)が増えていく、通常の戦艦よりもスピードが速い高速戦艦の金剛型に分類されている霧島だが、戦艦の中では少し速い方というだけで重巡のプリンツたちに比べればずっと遅い。

 

 

しかし逆を言えば高速戦艦に分類されていない扶桑たちは霧島より遅いので、かわす暇を与えずに攻撃すればこちらにも勝機がある。

 

 

「第一次攻撃隊…発艦!」

 

 

しかし、その考えは赤城の発艦させる艦載機によって棄却させられる事になる、こちらに空母がいないため艦上戦闘機を入れない攻撃機のみの全力攻撃が霧島たちを襲う。

 

 

「プリンツ!ザラ!」

 

 

「対空射撃!よぉーい…」

 

 

「てええええぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 

プリンツとザラが機銃を発射、2体の対空射撃により艦載機は全体の4分の1を落とす結果になったが、攻撃隊の弱体化には一歩及ばなかった。

 

 

「きゃああっ!」

 

赤城の攻撃隊による空撃が霧島たちを襲う、霧島は何とか小破で耐えることが出来たが、プリンツとザラは中破判定を食らってしまった。

 

 

「なら…これでどう!?」

 

 

霧島は主砲に新たな弾を装填すると、何を思ったか上空に向けてそれを発射した。

 

 

「何を…?」

 

 

扶桑たちは霧島の行動に首を傾げたが、その理由はすぐに分かった。

 

 

「っ!?あれは…!」

 

 

霧島の撃った砲弾が上空で爆発し、その中から小さなサイズの弾丸が拡散しながら赤城の攻撃隊に向かって降り注ぐ。

 

 

「三式弾!?」

 

 

その正体に気付いた扶桑たちは目を剥いた、『三式弾』とは戦艦や重巡洋艦などの比較的大型の艤装を扱う艦娘が装備できる特殊な砲弾だ。

 

 

その効果は大雑把に言えば“打ち上げ花火式の機銃”だ、打ち上げられた三式弾は上空で爆散、中に詰め込まれた小さな砲弾が飛んでいる艦載機を撃ち落とすという仕組みである、任意で狙いを定めることが出来ないので命中率は低く、艦娘へのダメージも望めないので最近ではほとんど使われていない装備である。

 

 

霧島の放った三式弾は赤城の攻撃隊に次々と命中していき、最初に放った全体数の8割を落とす事に成功した。

 

 

「周りの艦娘は揃って使えないって言うけど、まだまだ捨てたもんじゃないわよ?」

 

 

霧島はそう言って得意げな顔をするが、依然劣勢なのは変わらない、赤城の艦載機はまだ残っているだろうし、扶桑たちにはほとんどダメージが入っていない、夕立たちの特攻で陸奥と空母を失ってしまったのがデカすぎる。

 

 

「でも…!やるしかない!」

 

 

霧島は命中率を上げるため、扶桑たちに接近しながら砲撃を続ける、反撃を食らう可能性も上がってしまうが、そこは致し方ない。

 

 

プリンツとザラも赤城をターゲットに砲撃を開始、艦載機を操作していて警戒が疎かになっていた赤城はそれをまともに食らってしまった、艦載機はある程度自動で行動するが、個別の機体への細かい指示は赤城の艤装から行わなければいけないため、どうしても操作中は無防備になってしまう。

 

 

「やっぱりダメージは浅いわね…」

 

 

プリンツは忌々しげに舌打ちをすると、素早く次弾装填をして赤城に撃ち込む。

 

「くっ…!きゃあ!」

 

 

この攻撃も赤城に命中、そのはずみでデバイスの操作をミスってしまい、一部の攻撃機のターゲットを扶桑に設定してしまった。

 

 

「きゃあっ!」

 

 

「扶桑!大丈夫!?」

 

 

ダメージを受けた扶桑に山城が慌てて駆け寄る、致命傷は受けていないようだが、扶桑に小破判定が下ってしまった。

 

 

「あの重巡が厄介ね、第二次攻撃隊…発艦!」

 

 

赤城はプリンツとザラを最優先で倒す作戦に切り替え、艦載機を発艦、その数は先程の倍はある。

 

 

「多っ…!!」

 

 

霧島とプリンツたちは機銃と三式弾で応戦するが、三式弾の命中率が悪くほとんど落とせていない。

 

 

「があああああぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 

赤城の空撃のほとんどが霧島たちに命中し、霧島が大破、プリンツたちが戦闘不能になってしまった。

 

 

「まさか航空戦を主体に攻撃してくるとはね…」

 

 

霧島はすぐさま反撃に移ろうと立ち上がったが…

 

 

「…へ」

 

 

空撃の合間に扶桑たちが撃っていた主砲の砲弾が霧島の眼前まで迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島の艤装から戦闘不能を知らせるアラートが鳴り、舞鶴艦隊の敗北が決まった。

 

 

 

 

試合終了後、それぞれの艦娘たちが観客席に戻っていくが、横須賀の艦娘たちに勝利の喜びなどという感情は持ち合わせていなかった。




次回「室蘭鎮守府VS大湊鎮守府」

扶桑と山城の出番が少ない気もしましたが気にしたら負けです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。