艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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幕張メッセでやってるJAEPOの艦これアーケードステージを見てきました、いろいろな新情報が見れて良かったです、装甲空母鬼やべぇ。

やっぱり休日は書きまくれるので良いですね。


第143話「夕月の場合2」

「動くな!動くとドッカーンて撃つぞ!俺の言うことを聞け!俺は強いんだぞ!」

 

 

小柄な小太り男…略して“小太りチビ()”は艦娘にもう一度砲撃指示を出す、指示された艦娘は主砲を天井に向かって撃ち、轟音と共に天井に大穴を開ける。

 

 

その一瞬で乗客達は時を止められたかのように動かなくなった。

 

 

「よ、よし!そのまま床に座れ!変なことすんなよ!今の俺は支配者なんだからな!」

 

 

小太りチビ男の指示で乗客が床に腰を下ろす、もちろん海原や吹雪たちも例外ではない。

 

 

「(まさかこんな所で密売艦娘に出くわすとはな…)」

 

 

「(どうしましょう…?)」

 

 

海原は床に座りながら打開策を考える、別に縛られているワケではないので相手に突撃して取り押さえることも不可能ではないが、周りに民間人の乗客が乗っているので下手な冒険は出来ない。

 

 

「(そもそも何であの艦娘はデブな豚男…略して“豚(マン)”の言うことを聞いてるんだ…?別に艦娘を強制的に言うこと聞かす機能があるわけでも無いのに…)」

 

 

「(おそらく理由はアレだと思いますよ)」

 

 

そう言って三日月が艦娘の首もとを指差す、首には首輪(チョーカー)のようなモノが付けられており、小太りチビ()の左手にはスイッチのようなモノが握られていた、そして艦娘は時折首輪(チョーカー)を指で撫でては身体を震わせている。

 

 

「(あの首輪(チョーカー)は爆発物か何かだと思います、そして豚(マン)が持っているスイッチを押すと爆発して艦娘の首を飛ばす…といったシロモノではないかと)」

 

 

「(つまり脅迫されてる可能性があるってことか、ロクな事しねぇなあの野郎)」

 

 

海原は小さく舌打ちをすると、なんとかあのスイッチを奪いつつ艦娘を救う方法は無いものか…と方法を考える。

 

 

「(それにしてもあの豚(マン)はさっきから情緒不安定ですね、やけにキョロキョロしたり、変な言動をしたり、少しおかしいですよ)」

 

 

「(薬中(薬物中毒者)なのでは?)」

 

 

「(薬中云々は置いておくとして、あいつが艦娘のチカラに酔って自分や周りを見失ってるのは間違いないな、身に余るチカラは身を滅ぼす)」

 

 

海原の頭の中に打開策がぽつりぽつりと浮かびはじめた頃…

 

 

「お客様!どうされました!?」

 

 

車両間の仕切り扉を開けて車掌が入ってきた、あんな轟音の出る主砲を2発も撃って隣の車両の人間が気付かないわけがない、それで隣の車両の人間が車掌に異常事態が起きている事を伝えたのだ。

 

 

「わああああぁぁ!!!!!来るなあぁ!!!!」

 

 

小太りチビ()は悲鳴に近い声を上げて艦娘に主砲を向けさせる。

 

 

「ひいっ!?」

 

 

足元に転がる真っ二つになった人間の死体、天井に開いた大穴、そして無骨な鉄の武器をこちらに向ける少女、異常事態という言葉がかわいく思えるほどの出来事が起きていた。

 

 

「(車掌さん!逃げてください!)」

 

 

「(あなたの力じゃ艦娘には敵いません!)」

 

 

吹雪と三日月が小声で車掌に言うが、当然声が届くわけがない。

 

 

 

「お、お客様、まずは落ち着いてください…」

 

 

「来るなって言ってるだるぅぅおおおおぉぉぉ!!!!」

 

 

小太りチビ()は車掌に向かって砲撃をするよう艦娘に指示、艦娘の主砲から放たれた弾丸が車掌を直撃し、隣の車両に吹き飛びながら()ぜる。

 

 

「は、はは…!どうだ!俺に逆らうからこういう事になるんだ!今の俺は無敵なんだぞ!?」

 

 

車内が車掌の血とハラワタで染められパニックになっている隣の車両の乗客など無視して小太りチビ男は仕切り扉を閉める。

 

 

いよいよ現場の緊張が限界に達しようとしていたとき、吹雪があるアイデアを思いつく。

 

 

「(いっそのこと駅に着くのを待って豚男が逃げるところを押さえるというのは…?)」

 

 

「(悪くはないが次の駅までまだ7~8分ある、それに駅に着いたらその分人が増えて被害が拡大する可能性も出てくるし、ここはやっぱり突撃して取り押さえる作戦で行こうと思う)」

 

 

「(どうするつもりですか?)」

 

 

海原は出来るだけ小さな声で吹雪たちに作戦を耳打ちすると、吹雪たちは無言でコクリと頷いた。

 

 

「それじゃいくぜ…いち…にの…さん!」

 

 

海原の合図と共に海原、吹雪、三日月が立ち上がり、小太りチビ()と艦娘に向かって走り出す。

 

 

「うわっ!?何だ何だ!?来るな!」

 

 

小太りチビ()がパニックになって艦娘に砲撃を指示するが、それより前に吹雪が主砲を展開させて艦娘を砲撃する、しかし吹雪の主砲から射出されたのは弾丸ではなく、圧縮された空気の弾だ。

 

 

艦娘の主砲艤装には3種類の射撃モードが存在する、ひとつめは戦闘などで実弾を射出する“実戦モード”、ふたつめは演習などで専用の弾丸を射出する“演習モード”。

 

 

そしてみっつめは今吹雪が使った“空砲モード”、実弾は使わず圧縮された空気砲を射出するモードだ、主に艦隊行動中に何らかの合図や信号を送ったりするときなどに使われる。

 

 

殺傷力は皆無の空砲だが、艦娘1体突き飛ばすくらいの威力は余裕で持っている。

 

 

「日本海軍台場鎮守府所属の駆逐艦吹雪よ、大人しくしなさい」

 

 

吹雪は艦娘に馬乗りになって取り押さえると、主砲を蹴飛ばして艦娘の頭に砲身を実戦モードで突きつける。

 

 

艦娘という唯一の武器を失った小太りチビ()は焦った様子で左手のスイッチを押そうとしたが…

 

 

「チェストおおおおおおおおおぉぉ!!!!!」

 

 

海原が小太りチビ男の手元を蹴り上げてスイッチを蹴り飛ばし、それを三日月がキャッチ。

 

 

「うがあああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

手持ちの武器を全て奪われて激昂した小太りチビ()が海原に掴みかかるが、海原はそれを軽くいなして背負い投げする。

 

「日本海軍台場鎮守府所属、司令官の海原だ、大人しく次の駅で降りてもらおうか」

 

 

 

そう海原から告げられた小太りチビ()は、死刑宣告をされた囚人のような顔をしていた。

 

 

 

 

都営環状線有楽町駅は騒然としていた、ホームとコンコースの一部にいた一般客は全て追い出され、代わりに海軍警察と造船所所長の榊原が駅の入り口で待機していた、完全なる厳戒態勢である。

 

 

「海原くん、怪我は無かったかい?」

 

 

 

連行された小太りチビ()を連れた海軍警察と一緒に駅から出て来た海原は榊原から心配そうに声をかけられる。

 

 

「えぇ、あの男が頭の悪いおかげでなんとかなりました」

 

 

海原はくたびれたように言う。

 

 

「所長、ご報告があります」

 

 

榊原と海原が話をしていると、海軍警察のひとりが榊原のもとへやってきた。

 

 

「ん?どんな内容だい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逮捕した男の話によると、自宅にももう1体人質として艦娘を置いているそうです」




次回「忌むべき艦娘(バケモノ)

ルビの設定疲れた…
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