艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
・火力60
○軽巡ツ級(ノーマル)
・火力58
おい待て、いつから軽巡が戦艦並の火力引っさげて登場するようになった。
「艦娘の身元が分かりました」
艦娘の身元を調べ終えた海軍警察のひとりが報告にやってくる、ちなみに出動部隊の一部には小太り男の自宅へ艦娘の保護に向かわせている、幸いこの近くのようなので、保護した後に一度ここで合流して2体まとめて海軍警察署に送ることになった。
「名前は綾波型駆逐艦8番艦の『
「同じく駐屯基地の艦娘か、てことは曙と茜を売ったのはそこの司令官と見て間違いなさそうだね」
榊原と報告に来た隊員はそう話していた、あとは海軍警察が新潟駐屯基地の司令官に事情を聞けば事態はかなり進展するだろう、それと合わせて取り調べで分かったことだが、曙の首に付けられていた
つまり曙は小太りの自宅に監禁されていた茜を守るために犯行に及んだのだ。
ちなみに曙はその近くで手錠をかけられて立っていた、この手錠は“
「所長、曙だけでもどこか人目のつかない所に移動させませんか?ここじゃ目立ちます」
先ほどから野次馬の好奇の視線に晒されて俯いている曙を見て海原が榊原に声をかける、有楽町駅まで乗ってきた海軍警察の車は小太り男の自宅へ向かうのに乗って行ってしまっているので曙は側で立っているしかないのだ、最低限の人払いをしているとはいえ立ち入り禁止のロープの外側からは大勢の野次馬がこちらを見ている。
別に艦娘が人前に出ても法律上は問題ないのだが、人間を遙かに越える力を持った艦娘がこのような状態で公衆の面前に晒されるのはあまりよろしくない。
「黙れ、それを決めるのは俺ら海軍警察だ、一介の提督がどうこう意見するな」
すると今回出動した部隊長と思われる男がやってきて海原に言い放ち、それを聞いて海原が不快感をあらわにする、海軍警察は警察組織の一部であるが、その権限は半ば独立したものになっている、おまけにその権限は強めに作られており、それが海軍警察が担当すべき法的事案と認められれば海軍元帥と言えどもその決定を覆せない。
「しかし、艦娘が殺人とは世も末だな、こいつの神経を疑うよ」
曙を睨みながら隊長は言う、それを聞いた曙は泣きそうな顔でスカートを握りしめる。
「この艦娘どうなりますかね?殺人は結構罪が重いですけど…」
「解体処分だろうな、まったくこの艦娘は何考えてんだか」
「解体されても自業自得ですよね、人殺してるワケですし」
近くにいた隊員の会話を聞いていた海原は密かに怒りを沸かせていた、曙の行ったことは確かに殺人だ、それはどんな事情があれ許されることではない、なのになぜ海原は怒っているのか?。
ならば質問を変えよう、そもそも曙がそんな罪を犯さなければならなくなった原因はどこにある?。
確かに殺人を犯した曙にももちろん罪はある、しかしそれの前に艦娘を違法に購入した男やそもそも艦娘を民間人に売った新潟駐屯基地の司令官、罪の重さならこのふたりも負けてはいない。
なのになぜ曙だけが悪いような空気にならなければいけないのだ。
「あの子がふたり殺したらしいわよ」
「やだ怖い…艦娘ってやつでしょ?深海棲艦を倒す兵器だって聞いてたけど、その力を人殺しに悪用するなんて最低ね」
「あんなのがいたらおちおち生活できねぇな、隔離しちまえばいいのに」
「遺族の方が可愛そう…あんな化け物死刑になっちゃえばいいのよ」
どこから情報を聞きつけたのか、気付けば野次馬たちの心無い言葉による会話があちこちで行われていた、中には実際に曙に対して罵詈雑言を言ったり石を投げたりする輩もいる。
(違うだろ…本当に悪いのは曙じゃないだろ…何で、何でこんな…!)
「お前みたいな無法者がいるから海軍の風当たりが強くなるんだぞ、それを自覚してるのか?」
待てよ
「あんたみたいな化け物は死んじゃえばいいのよ!」
「遺族に謝れ!死んで罪を償え!」
待てよ…!
「お前は、艦娘の面汚しだ」
「待てっつってんだろ!!!!」
気付けば海原は、声を大にして叫んでいた。
次回「人間はそんなに偉いのか」
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…こうして書くと結構ありますね。