艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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イベント海域E-3ですが、レ級マス回避編成で挑んだところ、ボス前で離島棲姫が待ち構える空襲マスに飛ばされました、索敵値が足りないらしい。

ならばと金剛、鳥海、高雄に零式水上偵察機を2機ずつ搭載、吹雪に電探、蒼龍に彩雲…という盤石の体勢で挑むも、やはり空襲マスにシューット!されました。

これでダメだともう打つ手が無い…。


第148話「夕月の場合7」

夕月が台場鎮守府に来て一日経った、海原はあのとき以降夕月に会うことが出来ていない。

 

 

(どの面下げて会えばいいんだろうな…)

 

 

海原が頭を悩ませながら廊下を歩いていると、向こう側から夕月が歩いてきた。

 

 

「あっ…夕月…!」

 

 

海原は夕月に声をかけたが、夕月はそれに応えず歩いていこうとする。

 

 

「待ってくれ夕月!」

 

 

海原が歩いていこうとする夕月の腕を掴み、引き留めようとする。

 

 

『…離してくれ』

 

 

しかし夕月はそれを無理やり振り払って行ってしまった。

 

 

「夕月…」

 

 

 

 

『…はぁ』

 

 

その足で部屋に戻った夕月はベッドに倒れ込むと、枕に顔をうずめてため息を吐く。

 

 

『司令殿…』

 

 

夕月の頭にあるのは海原の事だ、夕月とて海原があんな嘘を何も考えずに吐いたと思っていないし、彼の気持ちも全く察せないほどバカではない。

 

 

しかし、やはりどうしても許せないのだ、ひとり残された海原だってとても辛かっただろうし、苦しい思いもしてきただろう。

 

 

でもそれを言うなら自分だって轟沈して深海棲艦になってからはとても辛い日々ばかりだった、出会う艦娘からは敵意を向けられ、声をかけても届かない、そんな日がずっと続き、夕月の心は少しずつすり減っていった。

 

 

海原だけが悪いわけじゃない、頭では理解していても感情がそれに納得してくれない、そんな自分がとても腹立たしかった。

 

 

「夕月、入るよ」

 

 

するとノックも無しに部屋のドアが開いて吹雪が入ってくる、入るよと言い終わる頃には部屋の中に入っていた。

 

 

『ノックもせずに入りながら“入るよ”って言っても意味ないだろ』

 

 

『別にいいじゃない、カタいこと言いっこなしよ』

 

 

夕月は起き上がると吹雪につっこみを入れるがリーザの軽い一言で流され、呆れたようにため息を吐く。

 

 

「部屋に引きこもってばかりじゃ余計ネガティブな事しか浮かばなくなるよ、外に出て軽く身体動かせば?」

 

 

『…悪いが今はそんな気分じゃないんだ』

 

 

吹雪が外に行かないかと誘うが、夕月は気まずそうに目をそらして断ってしまう。

 

 

「ひょっとして、司令官の事考えてたの?」

 

 

吹雪にそう指摘された夕月はコクリと頷く。

 

 

「三日月から聞いたよ、司令官の事、許せないって」

 

 

『…私だって司令殿が悪いわけじゃないって分かってるさ、でもやっぱり納得出来ないんだよ…』

 

 

夕月は袴の裾をぎゅっと握り締めて泣きそうな顔で俯く。

 

 

(夕月も内心複雑なんだろうな…)

 

 

どうすれば彼女の心に歩み寄れるだろうか、吹雪は考えていたが…

 

 

『許せないなら、別に許さなくてもいいんじゃない?』

 

 

その答えを出したのは、意外にもリーザだった。

 

 

『えっ…?』

 

 

『許せないなら許せないままでいいと思うわよ、人間も艦娘も意思や心がある生き物なんだから、どうしても譲れない部分はあるし、それでケンカになったり、相手を許せないって思ったりもする事だってある、だから無理して許す必要は無いよ』

 

 

『でも、それだと根本的な解決にはならないんじゃ…?』

 

 

自分の伝えたい事がいまいち伝わっていないらしく、そう反論する夕月にリーザはうーん…と少し頭を悩ませる。

 

 

『じゃあ言い方を変えるね、夕月と司令官の信頼関係は、そのたった一つの“許せない事”があっただけで壊れちゃうような薄っぺらいモノなの?』

 

 

『っ!!それは…』

 

 

『違うでしょ?確かにどれだけ強い絆や信頼関係があったとしても、許せない事がきっかけでヒビが入ることもある、でもだからってそれで夕月と司令官の関係が崩れるなんて事は無い、ヒビが入ったら、別の何かでそのヒビを埋めればいいんだよ』

 

 

『別の…何か…?』

 

 

『そう、例えばその許せない出来事を覆い隠すくらいの良い思い出をこれから作っていく…とかね、たとえヒビが入ったとしても、相手を嫌いにならなければちゃんと仲直り出来るんだよ』

 

 

『嫌いに…ならなければ……』

 

 

『夕月は、司令官が嫌い?殺してやりたいほど憎い?』

 

 

そのリーザの問いに、夕月は首を横に振って否定する。

 

 

『なら何も思い悩む必要は無いよ、許せなくたってちゃんと仲直り出来る、現に司令官はまだ夕月のことを想ってるし、仲直りしたいと思ってる、あとは夕月自身がそれにどう向き合ってどういう答えを出すか…だよ』

 

 

『どう…向き合う…か…』

 

 

『私が夕月に言えるのはここまで、後はじっくり考えてみて』

 

 

リーザはそう言うとそれ以降何も言わなくなった、吹雪も空気を読んだのか、何も言わずに部屋を後にする。

 

 

「リーザも中々いいこと言うね」

 

 

『綺麗事だっていう自覚はあるわよ、人間関係なんてそんな簡単にうまくいくわけでもないし、ほんのちょっとのきっかけで完全に壊れちゃう事だって掃いて捨てるほどある、でも夕月の心の支えになるのなら、そんな綺麗事に頼ったっていいでしょ?すれ違ったままなんて嫌だし』

 

 

「そうだね、私もそう思うよ」

 

 

吹雪とリーザがそう話ながら歩いていると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 

『これは…!?』

 

 

深海棲艦の接近を知らせる警報が、鎮守府中に鳴り響いた。




次回「変わるもの、変わらないもの」

貴方はいつだってそうだった…
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