艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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chapter13「東京湾沖海戦編」更新開始です。

横須賀鎮守府が主な舞台になる予定です。

大和は良妻賢母、ばっちゃが言ってた。


第165話「東京湾沖海戦1」

「さて、それでは今回の作戦概要を説明します」

 

 

七海はベアトリス、シャーロット、エリザベート、メアリー、マーガレットを前に説明を始める。

 

 

「まずは砦兵級(ルーク)騎士兵級(ナイト)を中心とした前衛部隊を大量に送り込む、中途半端な雑魚を延々と相手して疲れてきたところをベアトリスたちが追撃、一気に追い込む」

 

 

七海はホワイトボードに作戦の流れを書き込んでいく。

 

 

「なるほど、艦娘どもには休む暇を与えないという事ですね」

 

 

「さすが七海様、完璧な作戦です!」

 

 

メアリーとマーガレットが目を輝かせて七海を見るが、当人は“普通に思いつくでしょ”と言ってそれを流す。

 

 

「それとベアトリス、キメラを使うタイミングはあなたに任せるわ」

 

 

「了解しました」

 

 

ベアトリスは敬礼をする。

 

 

「それと、もうひとつ言っておくことがあるわ」

 

 

「…何でしょう…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の作戦は、私も出るわ」

 

 

その直後、ベアトリスたちが驚愕の声をあげたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛍が鎮守府に着任してから4日が経った、蛍はDeep Sea Fleetのメンバーとも打ち解けはじめ、楽しそうに毎日を過ごしている。

 

 

「深海棲器を作ってほしい?」

 

 

「うん、明石さんにお願いしたいの」

 

 

そんな中、曙は明石の工房にやってくるなりそんな事をお願いしていた。

 

 

「珍しいね、曙がそんな事を言うなんて」

 

 

「私だって台場鎮守府の一員だっていう実感が欲しくなったの、それにもう深海棲器への嫌悪感は克服したわ」

 

 

明石のリアクションを見た曙はやや不満げに言う、自分だっていつまでも昔と同じではない、日々成長しているのだ。

 

 

「そういうことならお安いご用!曙にぴったりの深海棲器を見繕っておくよ」

 

 

「本当!?」

 

 

「うん、でも今はちょっと材料が足りないから、何日か時間を貰える?完成し次第曙に連絡するよ」

 

 

「分かったわ、期待してるわね!」

 

 

「任せなさい!」

 

 

曙は工房を後にすると、ルンルン気分で廊下を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

「…ふぅ、提督、本日の出撃報告のまとめです」

 

 

深夜の横須賀鎮守府提督室、大和は報告書を提督に提出する。

 

 

「ありがとう大和、こんな時間まですまないね」

 

 

そう言って報告書を受け取るのは30代半ばの男だ、木村裕樹(きむらゆうき)、佐瀬部に代わり横須賀鎮守府の提督として着任した人間だ。

 

 

その人間性は佐瀬部の真反対と言ってもいいほどの優良物件だ、艦隊指揮の腕は抜群、艦娘たちへの態度も友好的かつ社交的、そのおかげで心傷ついた艦娘たちも徐々に回復を見せ、佐瀬部の時に比べると圧倒的に笑顔が増えた。

 

 

「いえ、私たちのためにしていただいてるのですから、お手伝いをするのは当然です、それに秘書艦ですし」

 

 

大和はにこりと笑って木村の側に立つ、彼のおかげでここの艦娘たちは回復の兆しを見せ始めている、彼には感謝してもしきれない。

 

 

「いやはや、頼れる秘書艦がいてくれて心強い限りだよ」

 

 

木村は心底嬉しそうにしながらパソコンのメールをチェックする。

 

 

「…ん?」

 

 

すると、大本営から新着のメールが届いていた。

 

 

「鎮守府間相互着任会のお知らせか、もうそんな時期なんだな」

 

 

鎮守府間相互着任会とは、余所の鎮守府同士が艦娘を選び、別の鎮守府へ期間限定で着任させるイベントだ、インターンシップや3days、交換留学のようなモノをイメージすれば分かりやすいだろう。

 

 

「そういえばもうすぐですね、交換先の鎮守府は各鎮守府が話し合いで決めるそうですが、どうされますか?」

 

 

大和がそう言うと、木村は少し考えるような仕草をする。

 

 

「…大和、お前は何か希望はあるか?艦娘の意見も取り入れたい」

 

 

数十秒ほど考えた後、木村は大和の方を向いてそう聞いた。

 

 

「えっ?そうですね…どの鎮守府の艦娘も実力者揃いですし、どこと交換してもここの艦娘たちには良い経験になると思います、呉や室蘭もいいですが、あ…でも久しぶりに台場の吹雪ちゃんに会うのも悪くはないかも…」

 

 

「…ん?台場鎮守府?確かあそこは…」

 

 

大和の呟きに木村が反応する、それを見た大和はしまった!と思ったが、すでに後の祭り、この木村という男にはもうひとつ特徴的な事があった、それは…

 

 

(そうだった!この人は…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深海棲艦やそれに関係するもの…提督の大切なモノを奪った存在の事を心の底から憎んでいるんだった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…大和、今年の交換先は台場鎮守府にしよう」

 

 

木村の怖いくらいの笑顔に、大和は冷や汗を流しながら生唾を飲むことしか出来なかった。




次回「混ざりモノの交換艦娘」

忌々しい奴らだ。

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