艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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集積地棲姫「また来たのか…もう帰れよぉ!」

提督「帰らせてくれよぉ!(ボスドロ掘りが終わらないよぉ!)

…集積地棲姫のセリフを見て思いついた、絶対ひとりはこんな会話してる人いると思う。

現在活動報告にて曙の深海棲器を募集しています、彼女に似合いそうな武器をお寄せ下さい!

避難所代わりに作った活動報告のキャラクター案投稿所のコメント数が意外と伸びててびっくり。


第166話「東京湾沖海戦2」

「はぁ!?横須賀の新提督が相互着任会にウチを!?」

 

 

『はい、そうなんです…』

 

 

海原は電話口の大和につい声を荒げる、木村とのやり取りがあった翌日、木村が相互着任会の交換相手に台場を選んだ事を伝えると、当然ながら海原は驚いていた。

 

 

「でも何だってウチなんかを…鎮守府の候補なら他にもあるだろうに…」

 

 

『それなんですけど…』

 

 

海原がそうぼやくと、大和はとても申し訳無さそうに木村の大体の人となりを語る。

 

 

簡単に言えばこうだ、木村は深海棲艦に家族や友人を皆殺しにされた過去があり、深海棲艦を心の底から憎んでいるそうだ、その復讐心を糧に努力をして提督になり、自分から全てを奪った深海棲艦を皆殺しにして復讐するのが目的らしい。

 

 

「…完全に俺と被ってんな、いや、違いがあるとすれば、その木村は自分が艦娘におんぶに抱っこってのを理解してる所か」

 

 

木村は深海棲艦への復讐は艦娘がいなければ成し得ないという事をしっかりと理解しており、その復讐を遂げるための手段である艦娘をとても大切にしている、それでいて艦娘を部下であり仲間だと本気で思っているのだから恐れ入る。

 

 

「その点に関しちゃ素直に尊敬するよ、でもそれを聞いてさらに分かんなくなったな、何でそんなに深海棲艦を憎んでるやつが台場を指名するんだか…」

 

 

『提督の真意は私にもはかりかねますが、おそらく海原提督や吹雪ちゃんたちが純粋に得をするような事ではないと思います』

 

 

「奇遇だな大和、俺も全く同じ事を考えていた」

 

 

大和と海原はお互いにいやな予感をほとばしらせており、ふたり揃って頭を抱えていた。

 

 

「…まぁいいや、相互着任会のオファーは引き受けるよ」

 

 

『よろしいのですか?』

 

 

「余所の提督や艦娘たちと交流を深めるのも重要な事だ」

 

 

『…本音は?』

 

 

「木村に吹雪たちを力ずくででも認めさせる」

 

 

それを言った瞬間、お互いが可笑しそうに笑ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

「…というわけで、明後日から1週間鎮守府間相互着任会として横須賀鎮守府に行ってもらう」

 

 

大和との電話のあと、Deep Sea Fleetを全員集合させて企画の内容を説明する。

 

 

「横須賀ですか、あそこはあまりいい思い出が無いんですよねー」

 

 

「でも武蔵さんとは仲直りしてますし、多少はやりやすいと思いますよ」

 

 

「蒼龍さんたちにも会えるからいいんじゃないかしら、武蔵さんも大鯨さんに会いたがってたし」

 

 

「というか、それって全員が行けるモノなの?」

 

 

吹雪たちがわいのわいの話している中、曙がそんな質問を投げかける。

 

 

「いや、全員ではないな、大和に聞いたら2~5体の範囲で選ぶって言ってたし」

 

 

曙の疑問にそう答えると、海原が一枚の紙を取り出す。

 

 

「というわけで、相互着任会に参加したいやつは明日の夜までにここに名前を書いてくれ、よーく相談し合って決めろよ」

 

 

海原は吹雪に紙を預けると、その日は解散となった。

 

 

 

 

 

 

「…で、横須賀に行くのはお前らって事でいいんだな?」

 

 

翌日の夜、横須賀行きを決めた5体の艦娘が提督室に集まった。

 

 

「はい、この5体で行きます」

 

 

メンバーは吹雪、暁、曙、大鯨、マックスだ。

 

 

「大鯨も行くんだな、大丈夫か?」

 

 

「はい、武蔵さんとは演習の後で和解してますから、もう大丈夫です」

 

 

「そっか…てか、曙が行くとは予想外だったな、てっきりこういうのには興味ないモンだと思ってたが」

 

 

「そうでもないわよ?こういう催し物は嫌いじゃないし、それに台場以外の鎮守府の空気も知っておきたいし」

 

 

「その最初の鎮守府が元ブラ鎮の横須賀ってのも中々ハードル高いわね」

 

 

「えっ!?横須賀ってブラ鎮だったの!?」

 

 

暁の発言に曙は目を剥いていた、常にトップクラスの戦果をあげていた横須賀の名は曙でも知っている、そこがブラ鎮だったと知れば曙でなくても驚くだろう。

 

 

「よし、それじゃあ明日からお前らは1週間限定で横須賀の艦娘だ、向こうの提督の言うことをよく聞いておくんだぞ」

 

 

「司令官が言うと説得力の欠片も感じられませんね」

 

 

吹雪のつっこみに他のメンバーが頷いたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

翌日、電車を乗り継いで横須賀鎮守府に到着した吹雪たち、あらかじめ予定時間を伝えていたからなのか、門の前では大和と武蔵が出迎えてくれていた。

 

 

「遠路はるばるよく来たな、台場鎮守府の艦娘たちよ」

 

 

「横須賀鎮守にようこそ、歓迎しますね」

 

 

「お久しぶりです大和さん、武蔵さん、今日から1週間よろしくお願いします」

 

 

吹雪がそう挨拶して大和たちに一礼し、暁たちもそれに従う、武蔵とは前の演習で本格的に敵対した関係だったが、今は和解して仲の良い間柄となっている。

 

 

「…大鯨も久しぶりだな、その後は変わりないか?」

 

 

「はい、おかげさまで毎日が楽しいですよ」

 

 

武蔵が大鯨に視線を向けて少し気まずそうに聞くが、大鯨はそれに対してにっこりと笑ってそれに返した、武蔵は大鯨に心無い言葉を言ってしまった事もあり気まずい関係だったが、演習後に真剣に謝罪する武蔵を見て大鯨はそれを許してくれたのだ。

 

 

「長旅で疲れただろう、何なら車椅子を用意するが…」

 

 

「もう武蔵さん!そんなお気遣いはいいんですよ!武蔵さんが謝ってくれるだけで十分ですから!」

 

 

大鯨はそう言って両手を左右に振った。

 

 

「そうか、なら早速中へ入ろう、提督がお待ちだ」

 

 

武蔵と大和に連れられ、吹雪たちは提督室へと向かう。

 

 

 

 

「やぁよく来たね、台場鎮守府の諸君」

 

 

提督室に着くと、横須賀鎮守府の提督…木村裕樹が吹雪たちを迎えてくれた。

 

 

「台場鎮守府所属、吹雪型駆逐艦1番艦の吹雪です、今回はよろしくお願いします」

 

 

吹雪は木村に敬礼して挨拶をすると、それ以外のメンバーも自己紹介をする。

 

 

「はいはいよろしく、しかし台場鎮守府は深海棲艦との混血艦(ハーフ)なんていう忌々しい存在を匿っているという噂を聞いていたが、まさか本当だったとはね」

 

 

木村の言葉で吹雪たちの表情が険しくなる、そばで聞いていた大和と武蔵はやっぱり…などと言いたげな顔をしていた。

 

 

「こんな危なっかしいモノを野放しにしておくなんて、大本営は何を考えてるのやら、俺だったら即刻殺処分だぞ」

 

 

暁たちの深海痕を睨付けながら悠然と語る木村に、Deep Sea Fleetはイライラを募らせていた。

 

 

「…で?そんな深海棲艦嫌いのあんたが何で台場鎮守府なんかをご指名したのかしら?」

 

 

暁が木村への殺意を押し殺して聞く、暁の言うとおり、木村が深海棲艦を憎んでいるのであれば台場鎮守府のような場所は普通選ばないはずだ。

 

 

「そんなの決まってるじゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君たち紛い物を潰すためさ、海軍の平和のためにね」




次回「異物」

灰色の存在は邪道。

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