艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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仕事が休みだったので借りていた「甲鉄城のカバネリ」を最終話まで一気見してました、生駒かっけー。

…え?ゴールデンウイーク?何それ美味しいの?(白目


第171話「東京湾沖海戦7」

吹雪とマックスはフルスロットルで敵艦隊へと肉薄していく、その途中で砲撃と空撃が襲うが、駆逐艦持ち前の速力を生かして紙一重のタイミングでかわしていく。

 

 

「マックス!まずは厄介な空母棲艦からやるよ!二手に別れて各個撃破!」

 

 

「分かったわ!」

 

 

吹雪はマックスにそう告げると、自分が担当する空母棲艦を見る、銀髪のロングヘアーに黒のゴシックドレスを着ており、背中には野球場にいるビール売り子が背負っているビールタンクのようなモノを背負っている、そこからは太いホースが2本伸びており、そのホースは空母棲艦の持つメガホンのような形をしている発射口へと繋がっている、この発射口からピッチングマシンの如く黒い球体を射出させ、艦載機へと変えるのだ。

 

 

雪月花(セツゲッカ)!」

 

 

吹雪が手甲拳(ナックル)で空母棲艦の顔面に右ストレートを食らわせる、空母棲艦は後方に勢いよく吹き飛び、仰向けになって倒れる。

 

 

吹雪はそのまま倒れている空母棲艦に馬乗りになると、両手で空母棲艦の顔面をひたすらに殴り続ける。

 

 

これが戦艦棲艦などの砲撃が可能な艦種であれば自身への余波のダメージを覚悟で吹雪に攻撃出来たのだろうが、空母の艦載機は艦娘も深海棲艦も媒体の状態では攻撃力を持たない、この空母棲艦の場合はボールを吹雪にぶつけるくらいしか出来ない、馬乗り状態からは抜け出せるだろうが、決めの一手にはならない。

 

 

しかし深海棲艦とてやられる僚艦をただ見ているほど無情な生き物ではない、戦艦棲艦が吹雪に照準を合わせて主砲を構え、撃った。

 

 

『吹雪!危ない!』

 

 

戦艦棲艦の攻撃に気付いたリーザが吹雪の身体を操作して空母棲艦から降りると、空母棲艦の首根っこを掴んで上半身を持ち上げ、戦艦棲艦の砲撃を受け止める盾にした。

 

 

戦艦棲艦の砲撃をまともに食らった空母棲艦は致命傷を負った、吹雪の連続パンチに加え戦艦棲艦の砲撃、すでに轟沈寸前の状態だった。

 

 

『量産型風情がご主人様を傷付けようだなんて、片腹痛いのよ』

 

 

氷のように冷たい言葉でそう言うと、リーザは空母棲艦の首をナギナタで切りつけ、絶命させた。

 

 

「助かったよリーザ、ありがとう」

 

 

『お礼なんて言わなくていいのよ、あなたを守るのが私の役目だもの』

 

 

そう言ってリーザは操作権を吹雪に返す。

 

 

残りの敵艦隊は戦艦棲艦3体と重巡1体、なんとかなりそうな数ではあるが、苦戦は避けられないだろう。

 

 

吹雪はナギナタを構えて戦艦棲艦に向かって突撃する、戦艦棲艦は吹雪に砲撃を行うが、吹雪はそれをナギナタで切り裂いて防いでいく。

 

 

砲弾切りを目の当たりにした戦艦棲艦は驚いたような顔をするが、吹雪はそれに取り合わずナギナタで戦艦棲艦の脇腹を切り裂く。

 

 

鋭い痛みに襲われた戦艦棲艦は思わず片膝をつく、それが吹雪を相手にしている戦艦棲艦にとって自殺行為になるということに気づくよしもなかった。

 

 

「てやああぁっ!」

 

 

吹雪はナギナタを戦艦棲艦の胸元に深々と突き刺し、ちょうど心臓の位置を貫く。

 

 

戦艦棲艦は苦しそうにもがくが、その抵抗もすぐに弱々しいモノへと変わり、ついには動かなくなる、砲撃による外側からの攻撃には強い防御力を持つ戦艦棲艦だが、内側からの中身への攻撃には弱いのだ。

 

 

戦艦棲艦の撃沈を確認すると、ここで吹雪はマックスの方を見る、すでに空母棲艦と重巡棲艦を倒しており、残りは戦艦棲艦2体だ。

 

 

マックスは戦艦棲艦の肩に足を乗せて飛び乗ると、クーゲルシュライバーを戦艦棲艦の右目に根元まで突き刺し、それを勢い良く引き抜いて眼球をえぐり出す。

 

 

戦艦棲艦は悲痛な叫び声をあげながら右目を押さえて身悶えるが、マックスはそんな戦艦棲艦に欠片の同情心も見せず、戦鎚(ウォーハンマー)で頭を殴りつけて目を回させる。

 

 

「…歯ごたえが無い、死ね」

 

 

マックスは湾曲剣(シミター)で戦艦棲艦の首を切り落とすと、胴体を蹴飛ばしてそれを海中へと沈める。

 

 

これで残りの敵は戦艦棲艦1体だけとなった、僚艦を沈められた怒りからなのか、かなり殺気立っている。

 

 

吹雪とマックスは2体同時に戦艦棲艦へと向かっていく、敵の反撃を受ける前にさっさと倒しておきたい所だ。

 

 

戦艦棲艦の砲撃をかわしながら肉薄していき、吹雪は手甲拳(ナックル)での右ストレートを、マックスは戦鎚(ウォーハンマー)での殴打を加える。

 

 

2体同時に攻撃された戦艦棲艦はたたらを踏むが、倒れるまでには至らなかった。

 

 

部隊長(エリート)…?いや、この防御力だと司令艦(フラグシップ)かな、ちょっとヤバい相手だね…」

 

 

「別に倒してしまえば何の問題ないわ、さっさと決着をつけてしまいましょう」

 

 

吹雪たちは続けて戦艦棲艦を攻撃し続けるが、中々参ったと言わせることが出来ないでいた。

 

 

「っ!?ヤバい…!」

 

 

その時、戦艦棲艦が吹雪に主砲をロックオンし、狙いを定める。

 

 

「吹雪!」

 

 

そこへマックスがワイヤーを伸ばして吹雪の身体に巻き付けると、それを思い切り引いて吹雪の位置を無理やりズラす。

 

 

戦艦棲艦の放った主砲の弾丸は吹雪を掠めて飛んでいき、近くの海面へと着弾して水柱を上げる。

 

 

「ありがとうマックス!」

 

 

「どう致しまして、それより敵は装填中で攻撃出来ないはず、一気に攻めるわよ」

 

 

「オーケイ!」

 

 

2体は未だ小破相当のダメージしか受けていない戦艦棲艦へと攻撃を開始する。

 

 

 

 

 

 

「…信じられない、何なのよあの子たち…!」

 

 

白兵戦で敵艦隊を圧倒している吹雪とマックスを見て、古鷹は我が目を疑っていた、艦娘が白兵戦をやるということだけでも驚きなのに、それを使って敵艦隊を圧倒…ましてや駆逐艦がそれをやっているなど、到底信じられない光景であった。

 

 

「ほら、ポーラさんも古鷹さんも撤退してください」

 

 

雲龍の応急手当てを終えた大鯨が古鷹とポーラに声をかけるが、2体はそれどころではない。

 

 

「で、でも…!相手は司令艦(フラグシップ)相当の戦艦棲艦なのよ!?いくらあの子たちがすごいからってそれは…!」

 

 

「雲龍さんの撤退の護衛に最低でも2体は必要です、ですからここは私たちに任せて、あなたたちは撤退してください」

 

 

そう言いながら大鯨はライフルのスコープを覗いて攻撃の機会を伺っている、さっきまでは敵艦載機の撃墜を行っていたが、全て落としたので支援に移行するのだ。

 

 

「………」

 

 

大鯨には撤退しろと言われたが古鷹たちはその場から離れることが出来なかった、大鯨の言うことは間違っていない、雲龍は中破しているし艦載機を発艦出来ない危険な状態だ、そんな雲龍がこのまま戦闘場所にいるよりも古鷹とポーラが付いて撤退したほうが余程安全だろう。

 

 

(でも…やっぱりそれは…)

 

 

だが、彼女たちの本質は駆逐艦、いくら白兵戦で敵を圧倒できても防御力は高くないはずだ、そこへ戦艦棲艦の砲撃を食らえばどうなるかなど、火を見るより明らかだろう。

 

 

「…何をしてるんですか?」

 

 

人は理屈で考え情で動く生き物だというのを誰かから聞いたことがあるが、それは人を素体にしている艦娘も同じなようだ。

 

 

「悪いけど、あなたたちを見捨てて逃げるようなまねは…出来ないわよ!」

 

 

気付けば古鷹は、主砲を構えて戦艦棲艦に向かって突撃していた。

 

 

 

 

 

 

「流石にマズくなってきたかな…」

 

 

「そうね…」

 

 

吹雪とマックスは中破相当になってもなお衰えない能力を見せ付ける戦艦棲艦を前に焦りを感じていた、吹雪とマックスはどちらも中破、おまけに吹雪は大破寸前だ、これ以上の戦闘は困難だと感じた2体は隙を見て撤退しようと身体を動かすが…

 

 

「っ!?マズ…!!」

 

 

マックスの疲労とダメージが蓄積した影響なのか、よろけてそのまま水面に倒れ込んでしまった。

 

 

「マックス…!」

 

 

吹雪はマックスを助けようと駆け寄るが、戦艦棲艦が2体同時に主砲を向けて撃とうとしていた、主砲で妨害しようと思ったがとても間に合わない。

 

 

「どうすれば…!!」

 

 

戦艦棲艦の引き金が引かれようとしていたまさにその時、後方から放たれた砲撃が戦艦棲艦に命中、砲撃を阻止した。

 

 

(誰が…!?)

 

 

吹雪が後ろを見ると、古鷹が砲口から硝煙を上げた主砲を構えてこちらに近付いてくる。

 

 

「…撤退したんじゃなかったんですか?」

 

 

「駆逐艦に逃がされるなんて重巡としてのプライドが許さないのよ」

 

 

「そうですか、随分と無謀なんですね」

 

 

吹雪はマックスの介抱をしながらそう素っ気なく返す。

 

 

「それに、期間限定だとはいえあなたたちは横須賀の仲間だからね、見捨てるなんて出来ないわ」

 

 

「えっ?」

 

 

古鷹の言葉に吹雪は彼女の方を見る。

 

 

「ごめんなさい、後でちゃんと謝るから、今は私に、あなた達を守らせて」

 

 

そう言って古鷹は戦艦棲艦に向けて雷撃を行う、重巡の雷撃能力は軽巡や駆逐に比べると多少劣る艦種であるが、決して弱くはない。

 

 

怯みから立ち直った戦艦棲艦はターゲットを古鷹に切り替えて砲撃をするが、古鷹はそれを見事な身体能力でかわしていく、流石に白兵戦特化の駆逐艦であるDeep Sea Fleetには届かないが、彼女は戦闘のエキスパートが集まる横須賀鎮守府の艦娘だ、格上相手の戦い方は十分心得ている。

 

 

「はぁっ!」

 

 

古鷹の砲撃が戦艦棲艦に命中する、装甲は完全に抜けていないようだが、それでも十分なダメージを与えているあたり流石重巡と言ったところだろう。

 

 

主砲の反動が消えるまでの時間稼ぎで戦艦棲艦が副砲で古鷹を狙い撃つ、命中こそしたが損害は軽微だ。

 

 

古鷹が立て続けに砲撃を行おうとしたが、反動から立ち直った戦艦棲艦の主砲が古鷹目掛けて火を噴いた。

 

 

「マズい…!」

 

 

古鷹は両腕をクロスさせて衝撃に備える、しかそそれが古鷹に届くことはなかった。

 

 

「せいやぁ!」

 

 

吹雪が太刀を使って戦艦棲艦の弾丸を切り落としたのだ。

 

 

「自分だけ美味しいところを持っていこうだなんて、ズルいですよ?」

 

 

「私たちだって期間限定ですが古鷹さんたちの仲間です、お手伝いします」

 

 

吹雪とマックスが得物を構えて古鷹の両脇に立つ。

 

 

「全くもう…これじゃますます重巡の立つ瀬が無いじゃない」

 

 

古鷹はそう言うとフッ…と笑い、主砲を構えて高らかに言って見せた。

 

 

「あなたたちは白兵戦で敵の攻撃を阻止して!決定打は私が与えます!」

 

 

「「了解!」」

 

 

吹雪たちは再び戦艦棲艦に肉薄していく、戦艦棲艦は吹雪たちを狙い撃ちしようと主砲をまっすぐこちらに向ける。

 

 

「っ!?」

 

 

刹那、戦艦棲艦の主砲が爆発を起こし、戦艦棲艦の腕ごと吹き飛んだ。

 

 

一体何がと古鷹がちらりと後ろを見ると、大鯨がライフルを持ってピースサインをしていた、ライフルの弾丸を主砲の砲口の中に撃ち込み、内側から破壊したのだ。

 

 

「すごい…こんな事が出来るなんて…!」

 

 

台場の戦闘能力の高さを改めて認識した古鷹だった、一方で吹雪たちはヒットアンドアウェイで戦艦棲艦の体力を確実に減らしていき、大破相当までダメージを与えた。

 

 

片腕の主砲を失った戦艦棲艦はもう片方の主砲で応戦するが、腕が吹き飛んだダメージですでにフラフラであり、いつ力尽きてもおかしくない状態だった。

 

 

「古鷹さん!」

 

 

「お願いします!」

 

 

トドメの一撃を古鷹に託すと、吹雪たちは戦艦棲艦の前から飛び退く。

 

 

「いっけええええええぇぇ!!!!」

 

 

古鷹の放った主砲の弾丸が戦艦棲艦に命中、重巡の高火力の一撃が戦艦棲艦を襲う、さらに追い打ちとして吹雪とマックスが雷撃を撃ち込み、戦艦棲艦の命を削り取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…敵艦隊の全滅を確認、勝利です」

 

 

撃沈した戦艦棲艦を見据えて、古鷹は静かにそう艦隊に告げた。




次回「東京湾沖海戦:前哨戦」

○おまけ:前回の話でハチが出していた問題の答え。


問1.自動販売機で一度の買い物で入るお金の上限は?
答:4200円

問2.レジで一度に使える硬貨は何枚まで?
答:20枚

問3.横断歩道が日本で始まったのは1920年ですが、当初はどんな模様だった?
答:市松模様

問4.「カラオケ」を略さずに言うと?
答:空オーケストラ

問5.星座占いなどで使われる12の星座の事を何という?
答:黄道十二星座

問6.『籠球』←この漢字で表されるスポーツは?
答:バスケットボール

問7.人間の消化器官で、胃と小腸の間にあるモノは?
答:十二指腸

問8.金属元素の中で、唯一常温で液体になる金属は?
答:水銀

問9.サメの頭部にに備わっている器官で、微弱な電流を感知する器官を何という?
答:ロレンチーニ器官

問10.日本の県庁所在地で、都道府県名と県庁所在地名が同じ場所は何ヶ所ある?
答:30ヶ所


ちなみに矢矧が分かったのは十二指腸と黄道十二星座と水銀だけでした。

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