艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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今回は暁編以上に長くなるかもしれませんが、最後までお付き合いいただければ嬉しいです。


第18話「三日月の場合3」

鹿沼からの電話を終えた海原は自室にいるハチと暁を提督室に呼び出し、先程の電話の内容を大まかに説明する。

 

 

「台場艦隊を召集するなんて、大本営はどれだけ人員不足なんでしょうか」

 

 

「単に戦力が欲しいだけなんじゃないかなぁ、敵を蹂躙するにはまず火力だし」

 

 

「暁はこういう大規模攻略作戦は参加したことないからちょっと興味あるわね」

 

 

説明を聞いた3人は思い思いの感想を口にする。

 

 

「…いや、戦力なんて戦艦や正規空母がゴロゴロいる主戦力鎮守府の艦隊だけで十分事足りるさ」

 

 

「じゃあ何で暁たちを呼ぶのよ?」

 

 

海原の言葉に暁が首を傾げる、確かに今回の召集を“戦力に加わって欲しい”という風に解釈すれば決して悪い話ではない、しかし海原はこの召集には別の意図があると踏んでいた。

 

 

「そうだなぁ、さしずめ台場鎮守府(こんなところ)に左遷されて毎日を棒に振ってる提督の指揮する艦隊はどんなモンなのか見てみたい…ってとこじゃないかな」

 

 

「…要は見世物って事ですか」

 

 

「十中八九そうだと思うぜ、そもそも大本営から見捨てられたって事を意味する台場鎮守府にお呼びが掛かるなんて、そうとしか思えねーよ」

 

 

そう言う海原は愉快そうな口調だが、それとは対照的に吹雪たちの機嫌が目に見えて悪くなっていく。

 

 

「…大本営も随分と姑息な真似をしてくるモンですね」

 

「提督の有能さを大本営に知らしめるためにも、ここは作戦に参加して戦果をあげなければ…」

 

 

「…えーっと、ふたりとも目がイっちゃってるわよ…」

 

 

ハイライトの消えた目で深海棲器を構えるふたりを見て、暁は顔をひきつらせて冷や汗を流していた。

 

 

 

 

 

その翌日、大本営から作戦の概要が書かれたFAXが送られてきた、北方領土を根城にしている深海棲艦の本隊を叩くというのが主な目的らしい。

 

 

ちなみに今回参加するのは吹雪と暁だ、練度(レベル)で言えばハチの方が高いのだが、艤装がスクール水着のため深海棲艦の痕が目立ってしまうので今回は鎮守府で留守番だ。

 

 

「作戦はいつ始まるんですか?」

 

 

「一週間後だ、その間に出来るだけ準備を整えておけって書いてあるな」

 

 

「準備ですか、ならもう少し練度(レベル)をあげておいた方がいいかもしれないですね、暁には集中的に特訓をする事も考えないと…」

 

 

吹雪がぶつぶつと呟きながら頭の中で案を練っていく、現在の練度(レベル)は吹雪が91、ハチが89、そして暁が67である。

 

 

「とりあえずは練度(レベル)80代になるように特訓メニューを考えておこう…」

 

 

「80って…あんまり扱きすぎんなよ」

 

 

「大丈夫ですよ、私にかかればこれくらい楽勝です!」

 

 

吹雪はドン!と胸を叩いて豪語する、その姿を見て海原は頼もしくなったもんだと心の中で感心する。

 

 

(後輩の存在ってのは案外デカいモンなんだなぁ)

 

 

次の日から吹雪は暁の特訓のために訓練所にいることが多くなった。

 

 

「このぶんなら本当に80代いくかもな…」

 

 

日々の練度(レベル)の上がりようを見て海原は少し驚いたように呟く。

 

 

「うわあああぁぁぁん!!!!!もう許してくださいいいいいぃぃ!!!!!!」

 

 

時折訓練所の方から暁の悲痛な叫び声が聞こえたような気がしたが、気のせいだったと思いたい海原だった。

 

 

 

 

 

そして一週間後の大規模攻略作戦当日、吹雪と暁は集合場所である大本営へ向かうため電車に乗っていた。

 

 

「ったく、大本営の連中の頭はどうなってるのよ、作戦に召集しておいて交通費も寄越さないなんて」

 

 

「吹雪さん、その愚痴8回目よ…」

 

 

ブスッとした顔で愚痴をこぼす吹雪を暁が軽く注意する。

 

 

ちなみに暁の練度(レベル)だが、吹雪の特訓のおかげで82にまで上げる事に成功した、しかし特訓が余程厳しかったのか作戦前日には生きる屍のような状態になっており、さすがにコレではマズいとその日一日休ませてどうにかいつもの状態に戻したのだ。

 

 

『まもなく、新宿~新宿~終点です、都営環状線はお乗り換えです』

 

 

そうこうしているうちに新宿駅に着いたので吹雪たちは電車を降りる、その後はFAXに添付されている地図を頼りに大本営まで行くのだが、何分駅前は都会なので道が複雑だ。

 

 

「うわ…台場とは大違い…」

慣れない都会に悪戦苦闘しながらもようやく大本営の建物まで辿り着く、入り口では参加艦娘の身分確認を行うために大本営の役員が立っていた。

 

 

「暁、身分証出しといて」

 

 

「分かったわ」

 

 

吹雪と暁は事前に発行された作戦参加艦娘用の身分証を鞄から取り出し、入り口に出来た列に並ぶ。

 

 

「次の方、どうぞ」

 

 

吹雪たちの前に並んでいた3体の艦娘がそれぞれ身分証を提示する。

 

 

「舞鶴鎮守府所属、戦艦霧島です」

 

 

「同じく、戦艦榛名です」

 

 

「同じく、正規空母加賀です」

 

 

 

「…はい、確認いたしました、中へどうぞ」

 

 

身分確認を終えた艦娘が中へ入っていく。

 

 

「…戦艦に正規空母って、力の入れようがスゴいね」

 

 

「…何か無駄に緊張してきたわ」

 

 

いよいよ吹雪たちの順番になり、先程の3体に習って身分証を提示する。

 

 

「台場鎮守府所属、駆逐艦吹雪です」

 

 

「同じく、駆逐艦暁です」

 

 

身分証を受け取った大本営の役員は怪訝そうな顔をして吹雪たちを見る。

 

 

「台場鎮守府…?あぁ、あの“艦娘殺し”が飛ばされたっていう弱小鎮守府か」

 

 

ピキッ

 

 

役員がそう言った瞬間吹雪と暁の中で怒りの感情が生まれる、自分たちの司令官を侮辱されたからだ。

 

 

「こんな連中寄越すなんて上は何考えてんだか…ほら通って良いぞ、くれぐれも他の鎮守府の艦隊の邪魔はすんなよ」

 

 

台場鎮守府の艦娘と分かると役人は吹雪たちを見下すような態度をとる。

 

 

 

「…吹雪さん、あいつぶっ殺していい?」

 

 

役人の態度が気にくわなかったのか、入り口をくぐってすぐに暁が耳打ちする。

 

 

「やれと言いたいとこだけど、司令官の面目もあるから我慢ね」

 

 

「はーい…」

 

 

そんな少々物騒な会話をしつつ、ふたりは大本営の中へと足を踏み入れる。




○コラム「うちの艦隊のレベルトップ5」

1.吹雪改二 Lv112
2.初霜改二 Lv97
三日月改 Lv97
香取改 Lv97
3.鳥海改二 Lv84
4.響改二 Lv80
5.金剛改二 Lv79

…こうして書いてみると意外にバラつきがあった。
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