艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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カスダメで中破になることほどイラつくものはない(格言


第19話「三日月の場合4」

「えーっと、第1会議室だから…ここかな」

 

 

建物の中に入ったふたりは作戦の説明がされるという第1会議室の中に入る。

 

 

(…うわ)

 

 

会議室の中ではすでに20体ほどの艦娘が席に着いていた、そして予想通りと言えば予想通りだが、そのメンバーのほとんどが戦艦や正規空母だった。

 

 

(場違い感がスゴいなぁ…)

 

 

吹雪がそう思いながら空席を探す、場違い感を感じているのは向こうも同じらしく、艦娘たちの横を通り過ぎる度にこちらをジロジロ見てくる、“何で駆逐艦がこんな所にいるんだ?”とでも考えているのだろう。

 

 

後ろの方に空席を見つけてふたりで座るが、その後もこちらの方をチラチラ見てくる艦娘が何体かいる。

 

 

「(…何で暁たちこんなに見られてるわけ?)」

 

 

「(こんな大規模作戦に駆逐艦なんかを参加させるのが余程珍しいんじゃない?)」

 

 

「(なによそれ、ただの偏見じゃない)」

 

 

ふたりが小声で会話をしていると、会議室のドアが開いてふたりの男が入ってくる。

 

 

「元帥の南雲藤和(なぐもふじかず)だ、本日は遠いところ集まっていただき感謝する」

 

 

「元帥補佐の鹿沼敏久(かぬまとしひさ)です」

 

 

南雲と鹿沼はそれぞれ一礼する、大本営のトップ2の登場で会議室内に緊張が走った。

 

 

「では早速だが作戦内容の説明に入らせてもらう」

 

 

南雲はリモコンを操作してスクリーンを上から下ろし、プロジェクターとパワーポイントを起動させる。

 

 

「今回攻略するのはオホーツク海に位置する千島列島…いわゆる北方領土と呼ばれている所だ、その列島のひとつである色丹島を深海棲艦が根城にしている、今作戦の目的はその色丹島にある深海棲艦の根城を叩くというものだ」

 

 

北方領土というのは「歯舞群島」「色丹島」「国後島」「択捉島」などの島々からなる北方地域の事だ、深海棲艦が現れる前は日本とロシアで領有権争いをしていたが、深海棲艦が現れると世界各地の航海路(シーレーン)が次々と潰されていき、当時北方領土に駐屯して実行支配していたロシア軍が孤立するという事態が起きた。

 

 

結果から言うとそのロシア軍は空母棲艦の航空戦力で根絶やしにされ島民と共に全滅、それ以降北方領土問題は事実上の停戦状態になっている。

 

 

「今日は全員でこの大本営の宿舎で一日を過ごし、翌日早朝に我々が設営した北海道のベースキャンプへ出発する、なので今日は他の鎮守府の艦娘たちと親交を深めてくれ」

 

 

その他にも細々とした説明を少し挟み、最後に大本営が編成した本作戦の特別艦隊のメンバーが発表される。

 

 

「この紙に書いてあるメンバーで明日出撃してもらう、今のうちにチームワークを鍛えておけよ」

 

 

そう言って南雲は艦隊メンバーの書かれた大きな紙をホワイトボードに張り出す。

 

 

○第1艦隊

•戦艦 長門

•戦艦 ビスマルク

•戦艦 榛名

•空母 赤城

•重巡 ザラ

•軽母 瑞鳳

 

○第2艦隊

•航戦 扶桑

•航戦 山城

•空母 翔鶴

•重巡 プリンツ=オイゲン

•重巡 鳥海

•軽巡 川内

 

○第3艦隊

•戦艦 霧島

•戦艦 比叡

•航戦 伊勢

•航巡 鈴谷

•空母 蒼龍

•空母 飛龍

 

○第4艦隊

•戦艦 ローマ

•空母 瑞鶴

•空母 加賀

•重巡 摩耶

•駆逐 吹雪

•駆逐 暁

 

 

 

 

 

「えーっと、私たちは第4艦隊か」

 

 

「周りが戦艦や空母で変に緊張するな…」

 

 

 

「それではこれにて解散とする、各自思い思いの時間を過ごしてくれ」

 

 

そう締めくくると鹿沼と南雲は会議室を後にした。

 

 

「さてと、とりあえず同じ艦隊の艦娘に挨拶でもしておこうか」

 

 

「そうね、まずは第4艦隊の艦娘を探しましょ」

 

 

大本営の編成に従ってそれぞれ集まり合う艦娘たち、その中で『第4艦隊』と書かれた紙を持った艦娘を見つける、翔鶴型航空母艦2番艦の瑞鶴だ。

 

 

「あなた達が吹雪と暁?」

 

 

「はい、吹雪型1番艦の吹雪です」

 

 

「暁型1番艦の暁よ」

 

 

「翔鶴型2番艦の瑞鶴よ、よろしくね」

 

 

そう言って瑞鶴はニコリと笑う、とりあえずいい人そうで良かった、と吹雪は安堵する。

 

 

「しっかし、こんな大規模な攻略作戦に駆逐艦なんかを参加させるなんて、お前らのとこの提督は何考えてんだか」

 

 

和やかな挨拶に横槍を入れるのは高雄型重巡洋艦3番艦の摩耶だ。

 

 

「そんな言い方は無いんじゃないの?摩耶、駆逐艦だって立派な戦力よ」

 

 

「そうかぁ?装甲は薄いし火力も出ねぇ、遠征くらいしか使い道がない駆逐艦のどこがいいってんだよ」

 

 

摩耶の好き勝手な物言いに吹雪と暁は苛立ちを募らせる。

 

 

(こっちだって来たくて来た訳じゃないっての…)

 

 

「それには私も同意見ね」

 

 

摩耶の発言に合いの手を入れるのはヴィットリオ・ヴェネト型戦艦4番艦のローマ、第4艦隊の旗艦(リーダー)だ。

 

 

「駆逐艦がこんな大規模作戦の戦力になるなんてとても思えないわ」

 

 

「ローマさんまで…」

 

 

「そう決めつけるのは早いと思うのだけれど?」

 

 

摩耶とローマの意見に異を唱えるのは加賀型航空母艦1番艦の加賀だ。

 

「加賀先輩…」

 

 

「私のいる舞鶴では海域攻略作戦に参加している戦艦や空母の護衛として駆逐艦が起用されるわ、確かに戦闘力では戦艦には劣るけれど、足の速さや雷撃の性能では重巡や戦艦にも負けてないわよ」

 

加賀の反論に摩耶とローマがタジタジになって言葉を詰まらせる、火力主義の2体にとって駆逐艦は戦力外の一言だが、余所の艦娘と艦隊を組むのであればそれを押し通す事は出来ない。

 

 

「…分かったよ、ただし、アタシたちの足手まといにだけはなるなよ」

 

 

「私からも忠告しておきます」

 

 

摩耶とローマは納得しきれていないようだが、とりあえずば吹雪と暁の参加を認めるようだ。

 

 

「安心して、あなたたちのことはこの瑞鶴と加賀先輩が守るから!」

 

 

「ちょ、いつから私も頭数に入ったのかしら!?」

 

 

「今です」

 

 

「今って…」

 

 

加賀は呆れ顔でため息をつくが、全力で否定しないところを見ると案外まんざらでもないようだ。

 

 

 

 

 

(…私たち、この艦隊でやっていけるのかな)

 

 

 

早くも不安になる吹雪だった。




ここに来て艦娘の名前ゾロゾロ出て来ましたが、多分第4艦隊以外はほぼ出ない可能性が大な気がしてきた(汗
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