艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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久しぶりにVita版の艦これ改を起動させたら開発資材が絶望的だった。

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…徹甲弾作るハズが…。


第184話「H/S:0013」

七海覚醒から一ヶ月後

 

 

 

 

「七海、今日は新しい兵装を試してもらうよ」

 

 

そう言って榊原が用意したのは七海の足より一回りほど大きな鋼鉄のブーツだった。

 

 

「…それは?」

 

 

「水上移動装置だ、これを装着するとアメンボのように水の上を移動することが出来る」

 

 

「水上移動…ですか?でも私の戦闘スタイルは一騎当千の陸上戦では…?」

 

 

「それは確かにそうなんだが、何せ日本は島国だからね、七海を敵地まで送る方法が海路しか無いんだよ、空路は敵国の戦闘機が飛んでいるから撃墜される可能性があるし、船で運ぶにも遅い上に大きいから目立ってしまう、だから七海が直接海上を移動するのが一番手っ取り早いんだ」

 

 

「随分と踏み切ったアイデアですね…」

 

 

水上移動装置の説明を聞いた七海はその計画の大胆さに驚きを隠せない。

 

 

「それと、これも一緒にに付けてもらう」

 

 

水上移動装置を装着した七海に榊原は追加で兵装を取り出す、それはリュックサックのような背負い式の機械と大砲のような機械、まるで軍艦の艤装を人間が身に付けるために縮尺したようなモノであった。

 

 

「海上移動時の護身用武装…通称“艤装”だ、遠距離からの砲撃で敵船を攻撃できる」

 

 

「…博士、お言葉ですがこんなモノで戦えるのですか?見た目はかなり貧弱なような…」

 

 

「案ずるな、見た目はおもちゃみたいだが、威力は十分だぞ」

 

 

自信満々に言ってのける榊原だが、七海はどうにも半信半疑…といった様子である。

 

 

「…そう言えば博士、艤装というのはどういう意味なのですか?」

 

 

「軍艦の武装を総じて艤装って言うんだよ、大砲とかね」

 

 

「軍艦…確か武装を施した戦闘用の船の事ですよね?」

 

 

「そうだよ、一般的なのは戦艦(バトルシップ)巡洋艦(クルーザー)だね、他にも色々種類はあるけど、他はあまり見ないかな」

 

 

榊原の説明を七海は熱心に聞いていた、正直軍艦に関しては全く知識のない七海だが、榊原がこうして武装のモチーフにすると言うことは軍艦というのは強力な兵器なのだろう。

 

 

「それじゃあ早速実験に移ろう、俺は機材の準備をするから先に地下に行っててくれ」

 

 

「分かりました」

 

 

七海は一度榊原と別れると、研究所地下の実験訓練施設へと向かった。

 

 

 

 

 

 

実験訓練施設で榊原と合流した七海は艤装を身に付け、訓練施設に備え付けられた巨大なプールに来ていた。

 

 

「それじゃあまずは水上に立つ所からスタートだ」

 

 

「了解」

 

 

七海は鋼鉄のブーツを履いたままプールサイドを歩くと、恐る恐る水面につま先を近付ける、すると鋼鉄のブーツは水に浸かる事無くその水面を捉え、七海をプールの上へ立たせる。

 

 

「…凄い、これが艤装…」

 

 

「よし、次はそのまま移動してほしい、前後左右の体重移動で進むようになっている」

 

 

「分かりました」

 

 

七海は水面に立った状態で体重を前にかける、すると七海のブーツがアイススケートのように前方へとゆっくり進んでいく。

 

 

その後も後退や左右の移動と様々な行動を試したが、どれも問題なく行うことができた、大した運動神経である。

 

 

「よし、次は攻撃艤装の訓練だ、今から用意する的に向かって砲撃を行ってくれ」

 

 

「了解」

 

 

榊原の説明が終わると、水中から大きさ数メートルの大きな鉄の的が現れた。

 

 

「基本的な扱い方は拳銃と同じだよ、攻撃艤装にある引き金を引いたら弾が飛び出す、それなりに反動があるから気をつけてね」

 

 

「はい!」

 

 

七海は的の中心に狙いを定めて砲口を向け…引き金を引いた。

 

 

「っ!!」

 

 

凄まじい轟音と共に弾が射出される、衝撃で吹き飛びそうになったが、なんとかこらえた。

 

 

七海が撃ちだした弾は的の中心に命中し、風穴を空けて貫通する。

 

 

「…うそ」

 

 

その威力に撃った七海自身が目を剥く最早護身用武装の域を越えている、普通に海上戦闘でも通用する威力だ。

 

 

「うん、威力も申し分ないな、次の的を用意するから次は移動しながら撃ってみて」

 

 

「わ、分かりました!」

 

 

その後も1時間程訓練が続いたが、いずれも榊原を十二分に満足させる結果を出すことができ、七海も満足げだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、榊原と七海は自室でチェスをやっていた、置いてあったチェスセットに七海が興味を示したのでルール説明がてら相手をしたのだが、それがきっかけで七海がチェスにハマった、相手の手を読みながら戦略を練るという行為が戦闘用ヒューマノイドである彼女の琴線に触れたのか、以降はこうして空いた時間に榊原に対局を求めているのだ。

 

 

「チェックメイトです、博士」

 

 

そう宣言した七海は盤上の駒を進める。

 

 

「うわぁ、また負けてしまった…」

 

 

そう言うと榊原は心底悔しそうに頭を抱える、かれこれもう10連敗目だ。

 

 

「本当に七海は強いね、全然敵わないよ」

 

 

榊原は苦笑しながら言うが、彼は戦略というモノがまるで分かっていない、ただ目の前の状況の対処方法しか考えていないから先の手を読めずに詰んでしまう、七海は何度も彼に言っているのだが全然改善されていない。

 

 

「俺はこの手のゲームは苦手でね、特にこのチェスは相手の裏をかいたり先の手を読む必要があるから実に頭を使う、ゆえにとても難しい!」

 

 

榊原はそう得意げに語るが、以前パソコンでやっていたペグ・ソリティアでも同じ事を言ってた辺り先読み自体が苦手なタイプなのだろう。

 

 

「そんな事ではこの世界で生きていくのは厳しいですよ?ただでさえ戦争中でこういう戦略眼を養わなければいけないのに…」

 

 

「俺はあくまでヒュースの開発者だからそんなモノは必要ないんだ、そういうのは軍の司令官にでも任せておけばいいんだよ」

 

 

 

「もう…あなたという人は…」

 

 

七海はそんな事を言う榊原に呆れながらため息を吐くが、そんなダメンズ気質の彼をフォローする事に密かな喜びを感じている七海も大概なのかもしれない。

 

 

 




次回「最も恐ろしい兵器は?」

七海と榊原、その別れはすぐそこに…

チェスのシーンは108話のCパートから、七海が深海棲艦の通常種にチェスの駒の名前を付けている理由でもあったり。
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