艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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今日は七夕と言うことでさっき思いついたネタを殴り書きして投稿、なんとか間に合いました。

※時系列は本編とは別物です、ゲームのDLCイベントみたいなモノと思って下さい。


番外編「台場鎮守府の七夕」

 

 

「司令官、そっちの笹持ってて下さい」

 

 

「へいよ」

 

 

「雪風、そこ紐で留めといて」

 

 

「ちょっと待ってて下さい…来た!発動!疑似展開/人理の礎(ロード・カルアデス)!」

 

 

「宝具発動させてないで手伝え!」

 

 

7月7日…世の中では七夕と言われているこの日、台場鎮守府では世間の波に乗っかり、クソ暑い熱帯夜に笹を飾って短冊にお願いをするという狂気の沙汰ともいえるイベントに参加している。

 

「よし、笹も飾り終えた事だし、短冊に願い事でも書きますか」

 

 

「いやー、大変でしたね」

 

 

「あんたは何もしてないでしょ!」

 

 

「失礼ですね暁さん、私は人類史を守るために色々と…」

 

 

「笹飾りについて言ってるのよ!」

 

 

「だってめんどくさいですし…」

 

 

「ぶち殺されたいのかしら!?」

 

 

暁と雪風が仲良くじゃれ合っているのをよそに、他のメンバーはアウトドア用のテーブル類などの準備を始める、七夕と言うことで笹と星空を眺めながら屋外で夕食を食べるというキャンプさながらのアクティブディナーである。

 

 

「…で、何これ?」

 

 

準備を終えた後、曙が目の前に設置された“それ”を見て改めてシンプルに質問する。

 

 

「何って、流しそうめんの装置だけど?」

 

 

吹雪がさも当然のように言う、曙の前にあるのは竹を半分に割ったものが段々に連結された装置…所謂流しそうめんをするためのカラクリだ。

 

 

「いや、それは分かるんだけど、何で流しそうめん?普通夏の夜のアウトドアと言えばバーベキューとか…」

 

 

「そりゃそうめんは七夕の行事食だからに決まってるでしょ、ちなみに今日のメニューはこれだけです」

 

 

「本当にそうめんだけなの!?絶対に物足りなくなるでしょ!」

 

 

「そこは心配無用、そうめん以外の食材も流す予定だから」

 

 

「最早流しそうめんですら無くなってるわよね!?」

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでDeep Sea Fleetのメンバーは笹に飾る短冊に願い事を書いていく、願い事は公平(?)に一人一枚である。

 

 

「暁は何書いたんだ?」

 

 

「ん?これ」

 

 

海原が暁に聞くと、暁は黄色い短冊を海原に見せる。

 

 

 

 

『深海棲艦をブチ殺す快感をもっと味わえますように』

 

 

 

 

「…お前は相変わらずの平常運転だな」

 

 

「そ、そうかしら…?ごく一般的な範疇だと思うんだけど…」

 

 

「お前のごく一般的な範疇はすでに一般的を振り切ってるな」

 

 

すでに手遅れ感のある暁に若干呆れつつ、他のメンバーの短冊も覗いて回る。

 

 

「司令官!私の短冊も見て下さい!」

 

 

すると雪風が身を乗り出す勢いで海原に短冊を見せてくる。

 

 

 

『司令官と将来結ばれますように』

 

 

「…え」

 

 

短冊の内容に顔をひきつらせる海原、見ると雪風が“うっふーん♥”と言いたげに唇を尖らせ、いかにもキス待ちと言ったポーズをする。

 

 

「…吹雪さん、司令官にタカるウジ虫が現れたようですよ」

 

 

「それは大変ね三日月、ウジ虫は駆除しないと」

 

 

するといつの間にか雪風の後ろに吹雪と三日月がハイライトの消えた目をして立っており、それぞれ深海棲器を雪風の首根っこに向けて構えている。

 

 

「っ!!」

 

 

刹那、顔を青ざめさせた雪風は脱兎の如く走り去ったが、猟犬と化した2体が雪風を逃すはずがなかった。

 

 

その数秒後、雪風の断末魔が夜の闇に響き渡り、ボロ雑巾のようになった雪風が吹雪たちに引きずられてきたのは言うまでもない。

 

 

 

 

「…よし、これで全員だな」

 

 

ドッタンバッタン大騒ぎもあったが、無事全員分の短冊を飾り終えた海原は満足げに頷いた。

 

 

「…そういや他の連中は何書いたんだ…?」

 

 

雪風狩りで全員見る暇が無かったので、ついでに他のメンバーの短冊も見る。

 

 

『潜水時間が伸びますように 伊8』

 

『艦上戦闘機以外の艦載機が欲しい 大鳳』

 

『司令官がいつまでも私たちの司令官でいてくれますように 三日月』

 

『鎮守府の台所事情が良くなりますように 大鯨』

 

『もっと提督の役に立てますように 曙』

 

『この鎮守府の雰囲気に早く馴染めますように 蛍』

 

『もっと殺傷力のある深海棲器が欲しい 篝』

 

『新種の深海棲器開発のアイデアが閃きますように 明石』

 

『あのボールペンが再販しますように Z3』

 

 

…何やら自分への当てつけが混ざっているような気もするが、気のせいと言うことにしておいた。

 

 

「…ん?これは吹雪のか」

 

 

『Deep Sea Fleetがこれからもずっと一緒にいられますように 吹雪』

 

 

 

 

「…やれやれ、こりゃ頑張らないとな」

 

 

 

 

 

「おぉ!美味しい!」

 

 

「でしょ?そうめんもまだまだ捨てたもんじゃないわよ」

 

 

短冊を飾った後はディナータイム、Deep Sea Fleet全員が流しそうめんに舌鼓を打っていた。

 

 

「はい、そうめん行くよ~」

 

 

流す係の吹雪があらかじめ茹でておいたそうめんを流す。

 

 

「はい取った!」

 

 

「あ!ズルいわよ暁!あなたさっきからずっと取ってるじゃない!」

 

 

一番上にいる暁ばかりがそうめんを取っているので、二番目にいるハチが文句を言う。

 

 

「こう言うのは早い者勝ちなのよ~」

 

 

勝ち誇ったような顔でそう言うと、暁は美味しそうにそうめんを啜る。

 

 

「吹雪!早く次流して!」

 

 

「はいはい、行くよ~」

 

 

吹雪が次のそうめんを流す、それを暁が当然のように取ろうとするが…

 

 

「させないわ!」

 

 

ハチがチューブのわさびを暁の口に押し込み、中身を思い切り暁の口内にぶちまける。

 

 

「ーっ!!!」

 

 

暁がその辺を転げ回りながら悶絶している間にハチは難なくそうめんを取り、苦しむ暁など完全無視でそうめんを味わう。

 

 

「ハチ…!何してくれてんのかしら…!?」

 

 

「暁がそうめん独占してるから天罰よ、涙と鼻水でザマァな事になってるわね」

 

 

「表出ろ、殺す」

 

 

「ここ既に表よ」

 

 

「今すぐぶっ殺す!」

 

 

暁が箸をハチの両目目掛けて振り下ろすが、それよりも早くハチはわさびを自分の手に出すと、それを思い切り暁の両目に擦り付ける。

 

 

「ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

あまりの刺激に暁は再び無様に地面を転げ回る。

 

 

「さて、暁がくたばってる間にそうめん食べちゃいましょう」

 

 

グロッキーな暁を蹴飛ばしてそうめんを味わうハチを蛍がビビりながら見ていたことは本人は気づいていなかった。

 

 

 

 

「吹雪~、こっちにもそうめん頂戴!」

 

 

「後ろにも救いを!」

 

 

後列にいる明石と大鳳が箸を構えて待っているのを見て、吹雪はサイドメニューを投入する。

 

 

「それじゃ次は明石の好きなもの流すよ、はいプリン入りまーす」

 

 

「待て待て待て!」

 

 

とんでもない単語を聞いたDeep Sea Fleetの面々が総つっこみを入れる。

 

 

「ほらほら、プリン流れちゃうよ~」

 

 

「いやもう溶けてるから!変な黄色の液体になってるから!」

 

 

その後も様々な変わり種が投入されたが、まともに味わえたのはソーセージくらいだった。

 

 

 

 

 

 

「いやー、楽しかったね、七夕アウトドア」

 

 

「若干一名死にかけましたけどね」

 

 

ボロ雑巾にされたことを根に持っていた雪風がブスッとしながら抗議する。

 

 

「あ?」

 

 

「…すみません何でもないです」

 

 

三日月の睨みに負けた雪風はあっさり引き下がり、片付けを再開する。

 

 

30分後、全ての荷物を片づけ終えた台場メンバーが鎮守府に戻ろうとすると…

 

 

 

「…あ」

 

 

夜空を見上げた吹雪が思わず声をあげた。

 

 

「どうしたの吹雪?」

 

 

「…空」

 

 

空がどうかしたのか、と思いながら他のメンバーが夜空を見上げる。

 

 

「…うわぁ」

 

 

「…きれい」

 

 

見上げたそこには、満点の星空が広がっていた、その中央付近には天の川がはっきりと見える。

 

 

「…七夕って、織り姫と彦星が天の川を渡って年に一度会う日なんだよね」

 

 

「そう言えばそうだったわね、すっかり忘れてたけど」

 

 

「…きれいだね、これだけ良く見えれば、織り姫と彦星も会えるかな、私たちの願いも叶うかな」

 

 

「…きっと会えるよ、そして私たちの願いも…ね」

 

 

 

 

 

 

 

その日見た夜空の星々は、普段見るよりも輝いて見えた、それはまるで織り姫と彦星がみんなの願いを叶えるているかのようであった。




七夕中に投稿しようと急いで書いたので普段以上にめちゃくちゃな内容ですが、お楽しみいただけたでしょうか?本編は近いうちに投稿しますのでもう少しだけお待ち下さい。

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