艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
少し前に追加した「オリジナル深海棲艦あり」のタグはこのための伏線だったのだよ!(どーでもいい)。
東京湾沖海戦の作戦終了後、帰投した直後の横須賀鎮守府の様子は大混乱の一言だった、大ダメージを負った艦娘の入渠や応急手当、それに伴う作業などで動ける艦娘や提督たちは右へ左へ走り回る結果となり、それらが全て終わる頃には空が白み始めていた。
「さて、疲労困憊で限界を迎えている提督諸君も多いだろうが、今回の作戦に関しての臨時会議を今から執り行おうと思う、もう少し頑張って欲しい」
午前5時50分、徹夜で行われた東京湾沖海戦を終え、今回の作戦で新たに判明した情報の共有を主な目的とした臨時会議が開催された。
「まず今回の作戦で得られた最重要情報がある、深海棲艦の親玉と思わしき個体が現れた」
開始早々南雲が発したその言葉に、提督たちは一気にざわめきだす。
「まずはこの写真を見てほしい」
そう言うと南雲はスクリーンに写真の映像を映し出す、それは作戦中に早瀬が撮影した艤装のカメラ映像のスクリーンショットだった、その写真に写っていたのは長い黒髪の少女…七海だった。
「この深海棲艦は自らのことを“深海棲艦の祖”、“始まりの深海棲艦”と名乗っており、これまでの姫級を束ねる深海棲艦の始原と断定していいだろう」
提督たちは七海の写真を見ながら口々に感想を言い合うが、その中で最も多かったのは“意外だ”という意見だった、深海棲艦の親玉という位だからもっと巨大な体躯で禍々しい見た目をしているのだろうと思っていたが、まさかこんな年端もいかない少女の姿をしているとは思っても見なかった、
「大本営はこの個体を
南雲の発表に提督たちは不思議と闘志を湧かせていた、今まで存在すらあやふやだったラスボスの存在がついに明らかになった、それだけでも提督たちにとっては終戦への十分な道標となる。
「始原棲姫の能力などは追って
それから10分くらいで臨時会議は終了し、各鎮守府の提督や艦娘たちは解散となった、相互着任会については臨時会議での協議の結果、続行という形になった。
◇
「…それで、俺に話って?」
臨時会議終了後、“話がある”と言って海原は木村を提督室まで連れてくる、木村はどこかだるそうに本題を促す。
「吹雪たちにPitを返せ、お前が没収してるんだろ?」
海原は鋭い睨みを聞かせて木村の事を見る。
「へぇ、どうして分かったんだい?確かに俺はあの
海原にガンを飛ばされても全く動じていない木村はそう問いかける。
「簡単な話さ、コレだよ」
海原は自分の携帯電話のディスプレイを木村に押し付けるようにして見せる。
「艦娘用のPitでもGPSは使えるって事を忘れてたみたいだな」
海原の携帯電話のディスプレイには吹雪たちのPitの位置を示すGPSの地図が映し出されていた、その位置は横須賀鎮守府の提督室を指し示している。
「電話が繋がらないから変だと思ってGPSを使ったらずっとここから移動していないことが分かった、あいつらが自分からPitを預けるような真似をするとは思えない、となると残る可能性は“お前がPitを没収した”だ」
畳み掛けるように木村を問い詰める海原、一方問い詰められた木村は何も言わずにゆっくりと歩き出し、吹雪たちのPitが入れられている自分の机に向かって引き出しを開ける。
「…返してやってもいいが、ひとつ条件がある」
「あぁ?盗られたモン取り返すのに何でお前の条件を飲まなきゃいけない?」
「…海原充、俺の質問に正直に答えろ」
木村は海原のごもっともな反論を無視すると、机の引き出しから取り出した“それ”を海原に突きつける。
「ずいぶんと荒っぽい手段に出るんだな、横須賀鎮守府を立て直した英雄のする事とは思えない」
“それ”を向けられているにも関わらず、海原は
「話を逸らそうとするな、黙って俺の質問に答えろ」
「…分かったよ、それでその“質問”ってのは?」
海原は途端に真面目な表情になると、鋭い視線を木村に向ける。
「お前…深海棲艦と内通しているだろ?」
そう言って、木村は海原に向けている“それ”…拳銃の引き金に指を添える。
次回「
ちなみに始原棲姫にはゲーム的な設定も用意してます。
・艦種は『姫』。
・『耐久』『火力』『雷装』『回避』『運』…など、『数字が入るステータス』は全て100統一。
・全ての攻撃フェイズに参加し、攻撃フェイズ毎に装備をリアルタイムで換装する。
例)航空戦なら艦載機、砲撃戦なら主砲で砲撃を行った後に艦載機での航空攻撃、雷撃、開幕雷撃は魚雷…と言った具合。
…こんな感じの設定です、一言で言えば「戦艦レ級の劣化版」ですね。