艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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期間限定海域攻略中ですが、現在E-4で止まってます。

連撃で削ってカットインでトドメをさすのが有効というアドバイスを貰ったので、暁と愛宕をカットイン装備に換装させてトライ中です、今の所発動率は10回以上出撃してそれぞれ1回なので運に見放されなければいける…はず。

現在の最高記録。

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第189話「渋谷奪還作戦3」

「あの混血艦(ハーフ)共が願った…?」

 

 

海原の言った言葉の意味が理解できずに木村はキョトンとする。

 

 

「深海棲艦の正体は轟沈した艦娘だ、吹雪たち混血艦(ハーフ)は深海棲艦になった艦娘の声を聞くことが出来る、吹雪たちは深海棲艦の艦娘だったときの無念や未練に耳を傾けて、心を満たして再び艦娘に戻すんだよ」

 

 

「…つまりあいつらは初めから混血艦(ハーフ)だった訳じゃなくて、一度轟沈して混血艦(ハーフ)として生まれ変わったって事か?」

 

 

「そう言うことだ、あいつらは深海棲艦の時に沈みたくない、艦娘に戻りたい、まだ生きていたいって願ったんだよ、だから吹雪たちはそれに応えて深海棲艦の呪縛から解放して艦娘に戻していった、混血艦(ハーフ)はあくまでもその副産物だ」

 

 

「…結局お前は何が言いたいんだ?混血艦(ハーフ)が生まれる経緯は分かった、だがそれだけじゃあいつらが危険じゃないって証拠にはならないぞ」

 

 

そう言って木村は海原を睨む、それを聞いた海原はやれやれ…と言いたげに溜息を吐く。

 

 

「まだ分かんねぇのか?ならこう言ってやる、混血艦(ハーフ)は確かに深海棲艦との混ざりモノだ、だがその深海棲艦も元を辿ればお前が大切にしている艦娘だ、その艦娘たちは敵になっても『仲間の所へ帰りたい』、『死にたくない、生きたい』っていう色んな想いを持って必死にもがいてるんだよ、お前はそんな艦娘たちの想いも否定するのか?」

 

 

「っ!?それは…」

 

 

木村は気まずそうに目を逸らす、海原の言うとおり台場鎮守府の艦娘たちはみんな様々な想いを抱えていた、喧嘩別れした僚艦に謝りたい、司令官と交わした約束を果たしたい、それらは深海棲艦になっても強い想いとして深海棲艦の心に残り続けていた。

 

 

そして様々な想いを持った深海棲艦は海を彷徨い続け、吹雪たちはその深海棲艦たちの声を聞き、想いを叶えて艦娘へと戻していった。

 

 

「別にお前の深海棲艦に復讐するってのは否定しねぇよ、でも吹雪たち混血艦(ハーフ)にだってそれぞれの想いがあるって事だけは知っておいてくれ」

 

 

海原はそう言うと、木村に背を向けて歩き出して退室する。

 

 

「………………………」

 

 

 

誰もいなくなった提督室で、木村はしばらくの間考え込むように座ったまま動かなかった。

 

 

 

 

「どうしたんですか?こんな朝早くに呼び出して…」

 

 

「朝一の遠征にでも行かせるの?」

 

 

吹雪たちは眠い目を擦りながらダルそうに木村に尋ねる、現在時刻午前6時45分、朝食を食べ終えて今日はどうしようかと考えていた時、木村から突然提督室に来るようにという放送があったため、こうしてやってきたのだ。

 

 

「あぁ、用と言っても出撃や遠征じゃない」

 

 

木村はそう言って机の引き出しを開けて中をごそごそする。

 

 

「これをお前たちに返そうと思ってな」

 

 

「これは…」

 

 

木村が机から取り出したのは吹雪たちのPitだった、没収されてから数日経っているが、ほぼ操作をしていなかったのでバッテリーはまだ半分以上のこっていた。

 

 

「何で急に返す気になったのよ?また何か企んでるの?」

 

 

「そんなんじゃねぇよ、さっき海原に説教されちまってな」

 

 

肩をすくめてそう言う木村に吹雪たちは話が見えずに首を傾げる。

 

 

「…仕方ねぇ、話すか…」

 

 

腹をくくった木村は今回の相互着任会で台場鎮守府を選んだ理由と、そこで計画していた事を全て話す、そして先ほど海原なら言われた説教の内容も全て…。

 

 

「なるほど、司令官を告発するためのネタを探すために自分の所の艦娘を送りこむ事が目的でしたか」

 

 

「はっきり言ってろくでもないわね」

 

 

台場鎮守府が選ばれた理由が分かり納得したように吹雪は頷くが、暁は容赦なくそれを批判する、他の曙、マックス、大鯨も口にこそ出さなかったが、怒りと不快感を露わにしていた。

 

 

「お前たち混血艦(ハーフ)にも俺が大切にしている艦娘の心がちゃんと残ってて、それは深海棲艦だった頃からお前たちを動かしていた、海原に殴られるまで考えもしなかったよ」

 

 

木村は何かを悟ったようにそう言うと、改めて吹雪たちに向き直り…

 

 

「今まですまなかった、どうか許してほしい」

 

 

そう言って頭を下げた、それを見た吹雪たちは驚いた顔をしたが、すぐに木村に声をかける。

 

 

「私たちのことが分かってもらえればそれでいいですよ、それに木村司令官の気持ちも分かりますから」

 

 

「…海原がそうだったからか?」

 

 

木村がそう言うと、吹雪は頷いて肯定する。

 

 

「木村司令官に今すぐ混血艦(ハーフ)を受け入れろとは言いません、ただ私たちが危険な存在ではないということだけでも分かってもらえたなら、今はそれでいいです」

 

 

「全く、海原みたいな事言うやつだな、あいつに似たんじゃないか?」

 

 

つい数時間前に海原から似たようなことを言われたのを思い出しながら木村は苦笑する。

 

 

「まぁその…何だ、残り少ない日数だが、改めてよろしくな」

 

 

木村はこっぱずかしそうに言うと、吹雪たちは一斉に木村に向かって敬礼し…

 

 

 

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

とびっきりの笑顔でそう返した。




次回「アンチ艦娘」

力を持つものはいつだって『黒』、たとえそれが白だったとしても。

何か取って付けたような感じになりましたがお許しを…。

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