艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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第4艦隊の初戦闘。

地味に暁の戦い方が一番えげつない。


第21話「三日月の場合6」

翌日午前6時、大本営敷地内グラウンド。

 

 

「これより、君たち特別連合艦隊は北海道のベースキャンプに向けて出発する、道中の指揮権は第1艦隊旗艦(リーダー)の長門に一任する」

 

 

南雲が連合艦隊全員を召集して出発式を開く、ここからは北海道のベースキャンプに向けて海路を進むのだ。

 

 

「それでは、誰一人欠けることなく戻ってきてくれ!健闘を祈る!」

 

 

南雲の言葉に全員が敬礼を返し、出発式は終了となった。

 

 

「さてと、それじゃあ私たちも出発しましょうか」

 

 

「そうね、たしか第1艦隊から順番に行くんだっけ?」

 

 

「そう聞いています、固まって動くと返って動きが鈍くなるみたいだから、5分おきに出発するみたいね」

 

 

「てことは、第1艦隊はすでに出てるからアタシたちが出るのは15分後か…結構かかるなぁ」

 

 

今回の移動は5分おきに一艦隊ずつが出発し、比較的短い間隔を空けて移動する形式になる、理由としてはさっき加賀が言ったように固まって動くとかえってお互いが動く時に邪魔になってしまうから、もうひとつはあまり間隔が空きすぎると敵襲などで応援にすぐ駆けつけられないからだ。

 

 

「じゃあ軽く打ち合わせね、航海中は私と摩耶が前衛、吹雪と暁が中衛、加賀と瑞鶴が後衛の複縦陣で進むわ、戦闘が始まったら吹雪と暁が前へ出て白兵戦で牽制と足止め、そして私たちが砲撃や空撃でそれを仕留める、基本的にはこの流れで進みます」

 

 

ローマが航海中の陣形や戦闘中の作戦についておさらいし、全員が頷く。

 

 

そして15分が経過し、ローマたち第4艦隊が海へと出る。

 

 

「はぁ、わざわざ航海路(シーレーン)にしなくても飛行機を使えばもっと早く行けるのに…」

 

 

海の上を進みながら吹雪が小さくボヤく、ここからは十数時間をかけて北海道までの航海路を進んでいくのだ、1時間半ほどで行ける飛行機の方がよほどいい。

 

 

「あれ?吹雪知らないの?この前民間の旅客機が空母棲艦の艦載機に撃墜されたから航空路は全て封鎖されてるのよ、だから今飛行機は一機も飛んでないわ」

 

 

「えっ!?そうなんですか!?」

 

 

「知らなかったわ!」

 

 

瑞鶴の返答に吹雪だけでなく暁も驚きの表情を隠せない。

 

 

「てか何でお前ら知らねーんだよ、ひと月くらい前に全国の鎮守府に一斉配布された情報だぞ?」

 

 

「…もしかして、台場鎮守府はそういう情報すら行かないの?」

 

 

ローマが信じられないといった様子で吹雪たちを見る。

 

 

「まぁ、海軍を辞めさせる為の鎮守府にそんな情報流してもしょうがないですしね~」

 

 

「…マジかよ」

 

 

「でもそのおかげでこっちは気ままに過ごせて良いですよ、なーんにも縛られないで好きに出来ますし」

 

 

「別の意味でお前らがうらやましいよ…」

 

 

摩耶がため息をついて呟く。

 

 

「…っ!?電探(レーダー)に敵艦隊の反応アリ!総員警戒態勢!」

 

 

ローマの装備した電探(レーダー)が敵艦隊を感知したようだ、切迫したローマの指示を受けて全員が艤装を構える、その中で吹雪と暁だけは砲や魚雷ではなく近接兵装である深海棲器をそれぞれ展開させていた。

 

 

「それが近接兵装?こんな言い方アレだけど、大丈夫なの?」

 

 

「えぇ、もちろんです」

 

 

自信満々な吹雪の顔を見た瑞鶴は満足そうな表情で弓を構える、この弓は空母の艤装の一種で艦載機を飛ばすために用いる。

 

 

瑞鶴の場合は弓矢と飛行甲板がセットになっているタイプの艤装だ、それぞれの矢には各艦載機の能力が封じ込められており、飛行甲板はその艦載機の情報を読み取る役割を果たしている。

 

 

そして飛行甲板が艦載機情報を読み取ると、その艦載機を矢から実際の飛行機に変化させる内部コマンドのようなモノを矢に送り込む、弓道タイプの艤装の基本的な性能はこんなところだ、ちなみに加賀も同じ弓道タイプである。

 

 

「…敵艦隊発見!その数…5体!」

 

 

「えっ…5体!?」

 

 

「なかなか数が多いじゃねーか…!」

 

 

今回現れた敵艦隊は全5体、しかも…

 

◎戦艦棲艦

 

○戦艦棲艦

 

○重巡棲艦

 

○軽巡棲艦

 

○駆逐棲艦

 

 

 

…と、戦艦棲艦が2体もいるというかなり厳しい編成だ、ちなみに陣形は復縦陣を組んでおり、旗艦(リーダー)の戦艦棲艦は後方中央に控えている。

 

 

「総員即刻戦闘開始!吹雪と暁は白兵戦開始!」

 

 

「「了解!」」

 

 

ローマの合図と共に吹雪と暁がスタートダッシュを切る、駆逐艦の持ち味である速力をフルに生かして敵艦隊へ肉薄する。

 

 

当然敵艦も吹雪たちの接近を拒もうと砲撃を行ってくるが、砲弾斬りをマスターしているふたりにとっては妨害にすらならない。

 

 

「えっ…嘘!?」

 

 

「砲弾を、斬ってる…?」

 

 

「すげぇ…」

 

 

他のメンバーは今までのセオリーを全て覆すような光景にただただ目を見張るしか出来なかった。

 

 

「はあああああぁぁ!!!!!」

 

 

まず先手を打ったのは吹雪、手甲拳(ナックル)の深海棲器でいちばん手前にいた駆逐棲艦を一撃で撃沈、そして流れるような動きでその後にいる軽巡棲艦の頭部を殴り大破にさせる。

 

 

 

「まだまだぁ!」

 

 

さらに追撃とばかりに軽巡棲艦の顔面を殴りつけ後方に吹き飛ばし、その後ろにいた旗艦(リーダー)の戦艦棲艦に激突させる、殴られた衝撃で戦闘不能になった軽巡棲艦が大爆発を起こして軽巡棲艦は撃沈、旗艦(リーダー)にも小破未満(カスダメ)を負わせる。

 

 

「死ねえええぇ!!!!」

 

 

一方こちらは暁、鎌の深海棲器で重巡棲艦の腹を横一線に斬りつけ大ダメージを与える。

 

 

「はああっ!」

 

 

さらに鎌の内刃で重巡棲艦の首を切り落とし戦闘不能に持って行こうとしたが、首が落ちても重巡棲艦の動きが止まることはなかった。

 

 

「しぶといわ…よ!」

 

 

深海棲器を鎌から棘棍棒(メイス)にチェンジさせ、重巡棲艦に向けてプロ野球よろしくフルスイングさせる。

 

 

棘棍棒(メイス)に付いた鋭いトゲの応酬を浴びながら重巡棲艦は後方へ飛んでいき、戦艦棲艦へ激突する、これにより重巡棲艦は撃沈、戦艦棲艦は小破未満(カスダメ)を負う。

 

 

ふたりの牽制により一番厄介な戦艦棲艦の動きが止まり、攻撃のチャンスが生まれる。

 

 

…ちなみにここまでに費やした時間は正味30秒だ。

 

 

「吹雪!暁!交代(スイッチ)!」

 

 

ローマのかけ声で吹雪と暁が後ろに下がり、摩耶とローマが前へ出る。

 

 

「総員砲撃、空撃開始!」

 

 

その合図と共にローマと摩耶が主砲を撃ち、加賀と瑞鶴が艦載機を飛ばす。

 

 

ちなみに瑞鶴が飛ばした艦載機は艦上爆撃機(艦爆)、機体に取り付けた爆弾を敵艦に落とす事で相手を攻撃する種類の艦載機だ、一方で加賀が飛ばした艦載機は艦上攻撃機(艦攻)、これは機体に取り付けた魚雷を投下して雷撃を行う種類の艦載機だ。

 

 

まずはローマと摩耶が撃った主砲の砲弾が戦艦棲艦2体に着弾、炸薬の効果で大爆発を起こし戦艦棲艦を大破に、旗艦(リーダー)を中破にする。

 

 

戦艦棲艦はなんとか艦娘どもに一撃入れてやろうと砲を構えたが、瑞鶴と加賀の放った艦載機がそれを許さなかった。

 

 

瑞鶴の艦爆が投下した爆弾と加賀の艦攻が投下した魚雷が同時に命中、爆炎と水柱が同時に上がり、残りの戦艦棲艦を撃沈させる。

 

 

「…電探(レーダー)に敵艦反応無し、戦闘終了です」

 

 

 

 

 

第4艦隊の初戦闘は、全員無傷(ノーダメージ)の完全勝利という結果になった。




考えてみれば矢が艦載機になるっていう空母の設定が一番ファンタジーな気がする。
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