艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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最近「ソードアート・オンライン フェイタル・バレット」というファントムバレット編の舞台になったGGOを取り扱ったゲームをプレイしています、推しキャラは「アファシス」です。

ちなみにアファシスは戦闘の参加から資金の管理まで色々やってくれる頼れるプレイヤーサポートAIなのですが、最大の特徴は「性別や容姿をプレイヤーが自由に設定できる」という点。

…プレイヤーの性癖(ストライクゾーン)が如実に反映されそうなキャラだと思ったのは自分だけではないはず。


第206話「渋谷奪還作戦20」

「…あなた、何を言ってるの…?艦娘を開発しているのが、博士…?」

 

 

吹雪の言葉を聞いた七海は愕然としていた、艦娘を開発しているのが博士?そんな馬鹿な、自分たちヒューマノイドソルジャーを開発したのが博士なのに、それに敵対する存在である艦娘を新たに開発しているなんて…

 

 

「そんなの、ありえないわ!」

 

 

七海は吹雪の言葉を振り払うように首を横に振ると、艤装を戦艦級形態(バトルシップフォーム)にシフトする。

 

 

「そんなデタラメで私を騙そうったって、そうはいかないわよ!」

 

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!榊原さんの話は本当なんですよ!」

 

 

「黙りなさい!」

 

 

七海は声を張り上げて砲撃を行う、狙いなど定めていなかったので砲弾は吹雪達の通り過ぎ、後方の売店に直撃する、爆撃音とともに陳列していた商品があちらこちらに飛散する。

 

 

「七海さん!落ち着いて話を聞いて下さい!」

 

 

「うるさいうるさいうるさい!博士は対人戦闘用のヒューマノイドとして私を生み出したのよ!つまり人間を倒すのが私の使命!そんな私を作った博士が艦娘なんてヒュースに敵対するあなた達みたいな存在、作るわけない!」

 

 

(…なるほど、そういうことだったのか)

 

 

七海の言葉を聞いて、吹雪は彼女を作った榊原の意図を何となくだが察することが出来た、具体的な用途や目的は分からないが、榊原は人間と戦う兵士として七海を生み出した、となれば七海の言う人間を滅ぼすのが使命というのはあながち間違ってはいないだろう。

 

 

しかしここで言う人間とは、あくまで榊原や七海を生み出した組織、もしくは国が敵と認めた一部の人間だけの筈だ、これまでの七海の言動から察するに、彼女はこの世界の全ての人間が敵なのだと勘違いしているのではないか?もしそうであればこの状況は榊原にとって好ましいものではない、だからそれを阻止するために艦娘を生み出したのではないか?。

 

 

「…榊原さんは、本当にそれを望んでいるんですか?」

 

 

「え…?」

 

 

ほぼこじつけに近い推測ではあるが、ある程度筋は通っている、それにもし、今の吹雪の推測が合っているなら…

 

 

「あなたは榊原さんに生み出された目的に従って人間を滅ぼそうとしてるんですよね?でも榊原さんはそれに敵対する私たち艦娘を作った、つまり榊原さんは今のこの現状を望んでないんじゃないですか?あなたのしていることは、間違っているんじゃないですか!?」

 

 

七海を、止めなければいけない。

 

 

「黙れええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

 

 

 

今の言葉が七海の琴線に触れたのか、七海は大声を張り上げて砲撃を行う。

 

 

「あなたに博士の何が分かるっていうのよ!あの人の背負ってきた苦労が!苦しみが!悲しみが!何も知らないあなたが博士の愚弄するな!」

 

 

七海は怒りに身を任せて叫びながら次々と砲弾を撃ち込んでいく、照準もコントロールもデタラメなので避けるのは造作もないが、逆に言えば規則性が無いので次の弾の軌道を予測する事が難しく、連続してかわすのは困難を極める。

 

 

「きゃあっ!」

 

 

「ぐうっ!」

 

 

避けた先に飛んできた砲弾が吹雪達に命中する、艤装が戦艦級形態(バトルシップフォーム)なため威力も高く、大ダメージ受けてしまった。

 

 

 

「七海様!大変です!ユリアナが損傷大、ユミルも限界との事!」

 

 

「何ですって!?」

 

 

そんなとき、地上にいるユリアナからの報告をエリザベートから聞き、七海は耳を疑う、ユミルは今日の作戦のために万全の準備を整えて用意した兵装だ、それが大破とは…

 

 

(艦娘の戦闘力を甘く見てたわね…)

 

 

「…やむを得ないわ、撤退するわよ、ユリアナにここまで裏道使って退避するように伝えて、艦娘の足止めとして歩兵級(ポーン)を壁役駅入り口に配置するわ」

 

 

「て、撤退するのですか!?」

 

 

「厄介な足止めが目の前にいるし、一度帰って作戦を練り直したいの」

 

 

「了解しました!」

 

 

エリザベートがユリアナとやり取りをしている間、七海は撤退準備を始める。

 

 

「…ん?」

 

 

その時、七海は自分の前で負傷して倒れている吹雪が目に入る。

 

 

(………………)

 

 

頭の中で先程の吹雪の言葉がぐるぐると回る、彼女の言葉を信じたわけではないが、この艦娘は博士の情報を知っている、ならば利用しない手は無いだろう。

 

 

「…ねぇあなた、さっきの口振りからすると、あなたは博士の事をよく知ってるみたいだけど、会ったことはあるの?どこにいるかも知っているのかしら?」

 

 

七海の問い掛けに吹雪は少し戸惑ったが、問いの答えはYESなので首を縦に振る。

 

 

「…そう、ならあなた…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いけど、私たちと一緒に来てもらうわよ」

 

 

「っ!?」

 

 

七海のその言葉を聞いた吹雪はどっと嫌な汗が流れるのを感じた、ここにいては危険だ、そう思いとっさに飛び退こうとしたが…

 

 

「うわっ!?」

 

 

鉄球を取り外したエリザベートの鎖が吹雪の身体に巻きつき、七海側に引き寄せられてしまった。

 

 

「こ、こら…放せ…!」

 

 

「少し眠っててもらうわよ」

 

 

抵抗しようと暴れる吹雪に七海は注射器のようなモノを取り出して吹雪の腕に突き刺す、すると途端に吹雪はぐったりとして動かなくなってしまった、これは七海が開発した即効性の麻酔薬で、人間ほどの大きさなら瞬時に眠らせる事が出来る。

 

 

 

「吹雪さん!」

 

 

「吹雪さんを放しなさい!」

 

 

篝が折れた足を引きずってパイルバンカーを構えたが、突如天井が崩落しユミルとユリアナが落ちてきた。

 

 

「七海様、只今戻りました、こんな不甲斐ない結果に終わってしまい申し訳ございません…」

 

 

「気にしなくて良いわ、それより早く撤退するわよ、アシストよろしく」

 

 

「はい!」

 

 

七海とエリザベートは鎖で縛った吹雪を抱えながら進入経路であるトンネルへと戻っていき、ユリアナはユミルの生きている火炎放射器を使って暁たちの行く手を塞ぐ。

 

 

「くっ…!」

 

 

「これじゃ近付けない!」

 

 

こうして手を拱いている間にも吹雪は七海達の手によってどんどん遠ざかってしまう。

 

 

「…そろそろか」

 

 

七海の姿がかなり小さくなったのを見計らい、ユリアナは火炎放射器の引き金を固定したままユミルから飛び降りる。

 

 

「…じゃあな」

 

 

そう言うと、ユリアナは猛ダッシュでトンネルの奥へと走り去っていった。

 

 

「待ちなさい!」

 

 

暁が火傷覚悟で炎を無視して行こうとしたまさにその時、ユミルが突如大爆発を起こした。

 

 

「うわああああああああああああぁぁ!!!!!!!!!」

 

 

大型兵装の大爆発で暁たちは大きく後ろへと吹き飛ばされ、ホームを何バウンドもする。

 

 

そして爆発の衝撃で地下鉄トンネルの天井が崩落し、トンネルの入口を完全に塞いでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そんな…」

 

 

「吹雪さん…」

 

 

吹雪が深海棲艦に連れて行かれた、その事実を受け入れることが出来ず、暁たちは呆然と落盤したトンネルを見ていることしか出来なかった。

 

 

 




次回「思惑」

それぞれの思いが交錯し、やがてひとつの結末へと集束する…




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