艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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あけましておめでとうございます(今更

以前原作を読んで気に入った「盾の勇者の成り上がり」のアニメが放送開始したのですが、ラフタリアのイントネーションが思っていたのと違ってん?てなりました。

東京コンセプションのシズクと並んで散歩に行きたい今日のこの頃。


第217話「後日談2」

「………」

 

 

目を開けたとき、いの一番に七海の視界に入ってきたのは見知らぬ天井だった、その次に七海は今の現状を確認する、自分はベッドに寝かされており、腕には包帯やら点滴の針やら、病院の入院患者の初期装備のような施しがされていた。

 

 

ここはどこなのか、なぜ自分がこのような状態になっているのか、疑問が頭の中に浮かんでいるが、一番頭の中を支配したのはコレだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ自分は生きているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七海は首を回して辺りを見回す、自分以外にもベアトリスたちが同様の装備で寝かされているが、意識はまだ取り戻していないようだ。

 

 

「…私、何で生きてるの…?あの時確かに…」

 

 

覚醒直後でぼーっとする頭を無理やり働かせながら、七海はゆっくりと身を起こす、しかし上半身は重力が倍になったかのように重たく感じ、まるで自分の身体ではないようである。

 

 

「とりあえずここがどこか把握しないと…」

 

 

七海は改めてキョロキョロと辺りを見渡す、するとベッド脇に置かれているサイドテーブルに“呼出”と書かれた小さな端末が置かれていた。

 

 

「これ、前に博士と見た医療ドラマに出てきたナースコールってやつかしら…」

 

 

危なくはないかと一瞬押すのをためらった七海だが、このような手厚い施しをされているのだから敵地のど真ん中というわけではないだろうと思い、端末の呼び出しボタンを押す。

 

 

「…………………」

 

 

“ピンポーン”と小さな音が鳴ったが、それ以外には特に何も変化が無く、本当に誰かが呼び出しに気付いているのか不安になる。

 

 

「…本当にコールされてるのかしら、これ…」

 

 

七海は繰り返しコールボタンをカチカチ押すが、やはりファミレスの呼び出しボタンのようなピンポーンという小さな音がするだけで、誰かが来るような気配はない。

 

 

「………………… ?」

 

 

七海が首を傾げ、再度ボタンを押そうとしたその時、部屋の入り口の引き戸が開いた。

 

 

「すみません、所用で部屋を空けていたもので」

 

 

そう言って入ってきたのはひとりの少女だった。

 

 

「初めまして、榊原所長の秘書をしています、艦娘の潮風といいます」

 

 

「…博士の…?」

 

 

少女…潮風の紹介を受け、七海の疑問符がさらに大きくなる、この場所が榊原に何か関係があるのだろうか?その榊原の秘書だという潮風がここにいるのもそれに関係しているというのか?。

 

 

「ここは造船所、艦娘を製造する施設で、ここはその医務室です」

 

 

「造船所…吹雪の話にあった…」

 

 

造船所という単語を聞き、ようやく七海の中の疑問(ピース)が組み合わさっていく、ここが造船所ということは榊原はここで働いていて、彼女はその補佐を務めているという事だろう。

 

 

「…えっ、と言うことは、博士ももしかしてここに…?」

 

 

「はい、あなたたちがここに運び込まれてからずっと気が気でなさそうにしていましたよ…っとその前に…」

 

 

潮風は持っていたバインダーに挟まっている紙を見つめながら、ベッド近くに置かれている椅子に座る。

 

 

「所長と面会する前にいくつか質問させてくださいね、軽い問診みたいなものです」

 

 

そういうと潮風は書かれている項目を順番に読み上げる、その結果、七海はあの自決の後すぐに意識を失ってしまい、次に目覚めたときにはここで寝ていた…という事が分かった。

 

 

「ふむ…するとあの日から今日までの事は何も覚えていない…と言うことですね」

 

 

「えぇ、まさかあの日から一ヶ月も経っていたなんて…」

 

 

七海はそう沈んだ声で言いながら目を伏せる、彼女とて唐突かつ一方的に別れを突きつけて自決した事に対しては多少なりとも罪悪感はある、しかしこれも自分がしてしまった事に対する責任でありケジメだと言い聞かせて実行した、にも関わらず自分が望んだことではないとはいえ結果的にのこのこと戻ってきてしまい気まずさを感じていた。

 

 

「所長、呼んできますね」

 

 

「えっ?あぁ、うん…」

 

 

「大丈夫ですよ、所長はあなたのことをずっと心配していました、嫌われてしまった…なんて事はありません」

 

 

七海の生返事に何かを察した潮風が退室間際にそう言うと、榊原を呼びに部屋を出て行く。

 

 

「…博士」

 

 

榊原が来るまでの5分間、七海は胸がぎゅっと締め付けられるような感覚が消えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「七海…」

 

 

部屋に入ってきた榊原は複雑な顔をしていた、怒っているような、喜んでいるような、悲しんでいるような、色々な感情がごちゃ混ぜになっているような表情だった。

 

 

「博士…えっと、その…ただいま…です…」

 

 

何と声をかければいいのか分からず、七海は最初に榊原から教えてもらった言葉を口にする。

 

 

 

「七海…!」

 

 

榊原は感極まった口調でつかつかと早足で七海に近づき…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァン!という乾いた音が部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この…!馬鹿野郎が!!」

 

 

 

「…え」

 

 

それが榊原にひっぱたかれたと認識するのに、七海は10秒掛かった。




次回「七海型護衛艦」

榊原のターン!

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