艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
…なお駆逐艦のみの編成で突入したため、砲撃と空撃の被弾のプレッシャーが半端じゃなかった模様。
「……えっ?」
「海原…司令官…?」
吹雪と暁は唖然としながら三日月を見る、海原司令官と言えば、自分達が所属している台場鎮守府の司令官ではないか。
「じゃあ司令官は、昔室蘭鎮守府にいたって事?何で今台場鎮守府に…」
暁の言葉を聞いて吹雪は以前海原から聞いた話を思い出す。
『俺は以前ある作戦で艦娘を5体轟沈させてしまったことがある、その責任を負って俺は台場鎮守府に来たんだ』
つまりふたりの話を統合すると、三日月は海原の指揮していた艦隊の艦娘の1体で、その三日月と他の4体が轟沈したことで海原は台場鎮守府に飛ばされた、ということになる。
「…三日月さん、三日月さん」
それならば、何としてでも三日月を艦娘に戻さなければいけない、かつて自分の部下だった艦娘だ、会いたくないわけがない。
『…?』
三日月はゆっくりと顔を上げてこちらを見る、とりあえず声は聞こえたようだ。
「睦月型10番艦、三日月ですよね?」
『っ!!あなた、私が三日月だって、分かるんですか…?』
三日月は信じられないような顔をして吹雪を見る、その様子を見ると今まで深海棲艦として艦娘に追われていたと推測できる。
「はい、吹雪型1番艦の吹雪といいます、ある理由で深海棲艦と会話出来るんです」
「暁型1番艦暁よ、吹雪さんと同じく深海棲艦と話せるわ」
吹雪と暁が自己紹介をすると、三日月が涙を流して俯いた。
『…良かった…話せる艦娘がいて…本当に良かった…』
そう言って泣きじゃくる三日月、今までつらい思いをしてきたのだろう。
「…三日月さん、あなたに聞きたいことがあります」
『ぐすっ…何でしょう?』
三日月がある程度泣きやんだところで話を本題に移す、場合によってはPit越に海原と話をすることも視野に入れている。
「さっき海原司令官って言ってましたけど、あなたが所属していた鎮守府の司令官なんですか?」
『はい、私は以前室蘭鎮守府に所属していました、そこで艦隊指揮をとっていた海原司令官は若いながらも卓越した戦略眼で艦隊を導く素晴らしい人でした』
(司令官ってそんなにスゴい人だったんだ…)
普段の指揮を見ていて薄々感じてはいたが、そこまでの才能を持った人物だとは知らなかった、
『でも、私たちが轟沈するキッカケになったあの海戦での海原司令官の指揮は少しだけ変だったんです』
「変?」
「どんな風に?」
吹雪と暁が首を傾げて三日月に問う。
『その時の敵構成は戦艦棲艦や空母棲艦がいる敵艦隊で、こちらの艦隊は平均練度(レベル)が20くらいと明らかに不利だったんです』
「うわ…キツ」
「普通に考えれば撤退モノよね」
『私もそう思ったんですけど、なぜか海原司令官は戦闘続行を指示したんです』
「えっ!?」
「あの司令官が!?」
吹雪と暁が目を剥いて驚く、自分たちの知る海原であれば間違いなく撤退を選んでいるだろう、なのにその時は戦闘続行とはどういうことなのだろうか?。
『“あの”って…お二人は海原司令官とは知り合いなんですか?』
「知り合いもなにも、私たちはその海原司令官がいる鎮守府の艦娘ですよ」
「そうそう、おまけに吹雪さんは秘書艦なんだから」
『そ、そうなんですか!?司令官はまだ室蘭鎮守府にいますか!?元気でやっていますか!?』
吹雪たちが海原の部下と知ると三日月が矢継ぎ早に疑問をぶつけてくる、やはりここは当事者と話した方がいいだろう。
「それなんですけど…」
吹雪はPitで台場鎮守府の番号にダイヤルしながら現在の海原の状況を話す、海原は今は台場鎮守府という所にいること、その台場鎮守府がどういう所なのか、そしてその台場鎮守府に海原が移ったのは三日月たちが轟沈した作戦が関係している可能性があるということ。
『…そんな、司令官が…』
三日月は絶望的な表情をして狼狽する、三日月の様子を見ると海原は室蘭の方では艦娘に慕われていたようだ。
『はい、台場鎮守府提督室』
「お疲れさまです司令官、吹雪です」
『おう吹雪、俺の声が聞きたくて電話してきてくれたのか、優しい部下を持って俺は幸せだよ』
「司令官の御託を聞くために電話したわけじゃないんですけど」
「連れねぇな~」
海原はお茶目に言うと本題は何だ?とようやく真面目に聞いてくる。
「落ち着いて聞いてください、今深海棲艦になった三日月と接触中です」
「……吹雪、今何て言った?」
数秒の間を置き、先程のおちゃらけた態度とは一変、コレまでにないくらい真面目な口調で海原は吹雪に聞き返す。
「元室蘭鎮守府所属の艦娘、睦月型駆逐艦の三日月が深海棲艦となった状態で私たちの目の前にいます、三日月が司令官の艦娘だったと聞いたので、未練を解いて艦娘に戻すヒントが見つかればと思って…」
『…なるほど、そうだったのか』
海原は何かを考えているのか、少しの間無言になる。
『吹雪、三日月と話をしてみたい、
「分かりました」
吹雪はPitの拡声キーを押し、三日月にPitを近づける。
『三日月、海原だ、聞こえたら返事をしてくれないか?』
『っ!!司令官!?海原司令官ですか!?』
三日月は興奮した様子でPitに向かって話しかけるが、海原の反応は無かった。
「司令官、今三日月が返事をしました」
『…やはりダメか、すまない三日月、今の俺には深海棲艦化した三日月の声は聞こえないみたいだ、吹雪に通訳をやらせるから、それで少し話をしてもいいか?』
「もちろんです!司令官!」
吹雪は三日月の言葉をそのまま伝えると、早速三日月が海原に問い掛けた。
『司令官、私たちが轟沈したあとに何があったんですか?どうして台場鎮守府なんていう所に飛ばされてしまったんですか?』
『それは…』
『やはり、私たちのせいですか?私たちが力及ばす敵艦隊を倒せなかったから…』
『それは違う!』
三日月がそう言うと、海原はそれを強く否定する。
『お前たちを轟沈させてしまったのは指揮官である俺のせいだ、お前たちは何も悪くない』
『ですが…』
「話の流れぶったぎって悪いんだけどさ」
ここで暁が空気を読まずに会話に入ってくる。
「さっき司令官は三日月たちが轟沈したのは自分のせいって言ってたけど、三日月の話じゃ司令官は戦略眼に優れたとても有能な人だって言ってたわよ、そんな人が格上の敵に無理して戦わせたり一度に艦娘を5体も轟沈させるなんて大失態を犯すとは考えにくいんだけど…」
「確かに、それもそうですね…」
「本当にその作戦の戦闘命令は司令官の意思だったの?何かウラがあるんじゃないの?」
『……』
暁に次々と疑問点を指摘されて海原は黙ってしまう、それは図星を突かれて逆上しているからではなく、あまりにも正論過ぎて何も言えなくなってしまったのだ。
『司令官、もしあの時に何かがあったのなら、私に聞かせていただけないでしょうか?』
「私からもお願いします」
「暁も聞きたいわ、司令官の部下である以上事情は知っておきたいし」
『…話すのは構わんが長くなるぞ、それに場合によっては胸糞悪くなる話かもしれない、特に三日月にとっては』
『かまいません、たとえ轟沈して深海棲艦になったとしても私は司令官の艦娘です、司令官をお慕いするこの気持ちはこの先何があっても変わりません』
三日月のこの言葉が決め手となったのか、海原は何かを決意したかのようにふぅ…と短く息を吐く。
『分かった、じゃあ話そう、ハチもこっちに来い、お前にも知る権利がある』
海原は吹雪たちが不在中に秘書艦を努めていたハチをそばに呼ぶ。
『それじゃあまずは、俺の生い立ちから軽く説明しよう』
ハチが来たのを確認すると、海原は自らの過去をゆっくりと話し始めた。
三日月エエ子や…
アーケードでも三日月ゲット出来て有頂天です。