艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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ちなみにゲームの初期艦は吹雪にしました、何気にレベルが一番高い(レベル89)艦娘でもあります。


第3話「吹雪の場合3」

「本当に全部差し押さえられてるんだなぁ…」

 

 

吹雪は鎮守府を歩き回りながら呟いた、あの後吹雪は正式に台場鎮守の艦娘となった、早速海原は吹雪を秘書艦に指名し、第一艦隊の旗艦(リーダー)にも指名した(ひとりしかいないので当然だが)。

 

 

それから数時間後、吹雪はこれから暮らしていくことになる鎮守府を見て回っているのだが、ものの見事にほとんどの施設が使えなくなっており、冒頭のセリフを呟いたのだ。

 

 

これは吹雪にとってはかなり深刻な問題だ、今の吹雪の武装は…

 

 

•12.7cm連装砲

 

•61cm三連装魚雷

 

 

と、ぶっちゃけ性能がかなり低いモノばかりだ。

 

 

原因は以前所属していた横須賀鎮守が性能主義で戦艦や空母の装備を優先的に開発し、駆逐艦などにはほとんど装備を回してもらえなかったという所にある。

 

 

このままでは深海棲艦と戦うことになったとしてもロクなダメージを与えることが出来ない。

 

 

「何か新しい戦力が必要だなぁ」

 

 

そんな事を考えながら鎮守府の廊下を歩いていると…

 

 

「…ん?」

 

 

廊下の途中に一つの部屋があった、他の施設のように鎖で施錠されておらず、普通に鍵が掛かっているだけのようだ。

 

 

ドアプレートには大分薄くなっている字で『武器庫』と書かれている。

 

 

「武器庫?どんな部屋なんだろ…」

 

 

あとで司令官に聞いてみよう、そう思いながら吹雪は鎮守府見学を続ける。

 

 

 

 

 

 

「武器庫?」

 

 

「はい、中に何があるのかご存じないですか?」

 

 

鎮守府見学を終えた後、執務室に戻った吹雪はさっき見つけた武器庫について海原に聞く。

 

 

「そうか、アレのことを吹雪には説明してなかったな」

 

 

そう言うと海原はデスクの引き出しから一本の鍵を取り出す。

 

 

「いいもん見せてやる、ついて来い」

 

 

「は、はい」

 

 

海原は吹雪をあの部屋の前まで連れていくと、鍵を開けて中に入る。

 

 

「さぁ、これがこの部屋の中にあるモノだ」

 

 

「こ、これは…!?」

 

 

その部屋の中にあったのはたくさんの武器だった。

 

 

いや、武器と言っても艦娘用の大砲や魚雷などではない、剣や槍、はたまたナギナタや手甲拳(ナックル)、近接戦闘で使う物理攻撃の為の武器だ。

 

 

「対深海棲艦用の近接戦闘用武装『深海棲器』、大本営の負の遺産だ」

 

 

「深海棲器…」

 

 

吹雪は深海棲器がずらりと並べられている棚へと近づく、全ての武器が駆逐棲艦と同じ黒色をしていてどこか無骨で冷たい印象を受ける、それはまるで冷たい海の底に眠っていた昔の海賊の財宝がたった今引き上げられたかのような雰囲気だった。

 

 

「元々は陸上での深海棲艦との戦闘を想定して陸軍用に開発されたのがきっかけだな」

 

 

「陸軍…ですか?」

 

 

「当時深海棲艦が陸地でも活動出来るかどうかで議論になったことがあるんだ、深海棲艦は海からやってくるから陸地では活動できないという意見もあったけど、その一方で戦闘は海上…つまり地上で行うから陸に上がれても不思議じゃないという意見もあった」

 

 

「結局はどっちに落ち着いたんですか?」

 

 

「それがまだ決着が着いてないんだよね、実際深海棲艦が陸に上がる前に倒しちゃうし、だからといって実験のためにわざと陸に上げるのは危険だし」

 

 

「まぁ、そりゃそうですよね」

 

 

深海棲艦については色々と謎が多いというのは艦娘である吹雪も知っていたが、こんな所まで議論の対象になっているとは思いもしなかった。

 

 

「まぁそんなわけで、最初は陸軍の武装や鎮守府の提督の護身用として開発されたんだが、途中で艦娘用の武装も開発しようって案が出たんだ」

 

 

「艦娘用…ですか?」

 

 

「砲撃や雷撃以外にも攻撃手段を持った方が戦闘で有利だと考えて開発が進められたけど、実装直前に大本営が白紙にしたんだよ」

 

 

「えっ?どうしてですか?」

 

 

「言ったとおり深海棲器は近接戦闘用の武装だ、砲雷撃…つまり遠距離型の攻撃を得意とする艦娘が扱うにはそれなりに訓練を積む必要があったんだよ」

 

 

「…それが今の話とどう繋がるんですか?」

 

 

話の意図がいまいち飲み込めないので吹雪は聞き返す。

 

 

「ならもう少し分かりやすい例えを出そう、レベル99の魔法使い(遠距離型)をラスボス手前でレベル1の戦士(近接型)に転職させて育て直そうと思うか?」

 

 

「…あー…」

 

 

ようやく海原の言わんとしている事が理解できた吹雪は微妙な顔で小さくつぶやく。

 

 

「未知の可能性を開拓するために金と労力をつぎ込むより、今確立されている可能性を更に伸ばすことに金と労力をつぎ込んだ方がいい…って大本営は考えたんだよ、結局開発途中だった深海棲器はここに死蔵されたってわけ」

 

 

「そんな事が…」

 

 

自分の知らないところで色んな事が起きてるんだなぁ、と吹雪は改めて思う。

 

 

「…司令官、と言うことはこれは艦娘の私でも使えるという事ですよね?」

 

 

「あぁ、もちろん使えるぞ、おまけに艦娘用に開発されたものだから縮小して武装に取り付ける機能もある、大本営も忘れてるだろうから許可とかはいらないと思うし」

 

 

「………司令官」

 

 

吹雪はしばらく深海棲器を見つめた後、海原の方を見て、言った。

 

 

「私、これを副砲(サブウェポン)にします」




中途半端かもしれませんがここで切ります。


最近伊8が欲しくて潜水艦レシピを回しているのに、出て来たのは伊58と伊19が2体ずつ…

はっちゃんカモオオオオォォン!!!!!!

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