艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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♪はじめてのけんぞう

だーれにーもーなーいしょーでー、けーんーぞーおーなーのよー、レーシピーはーどうするーのー?(さいてーいちー!)

BBクイーンズ風に歌ってみよう!


第35話「三日月の場合20」

一方こちらは夕月と夏潮と秋月サイド、夕月たちが着いた時点で三日月はかなり危ない状態だった。

 

 

「三日月!助太刀に来たぞ!」

 

 

「三日月!大丈夫!?」

 

 

「やば!大破になってるし!」

 

 

残敵は駆逐棲艦が全て撃沈、戦艦棲艦が1体中破、空母棲艦が1体小破…といったところだ、そして三日月は大破とかなり窮地に追い込まれている。

 

 

「あれ、みんな帰ってたんですか!?」

 

 

「ついさっきな、それより喜べ三日月、司令官殿がこちらに応援を呼ぶと言ってくださった」

 

 

「そ、それは本当ですか!?」

 

 

「あぁ、今雪風を護衛につけて緊急通信室にいる」

 

 

「…よかった、本当によかった」

 

 

夕月の朗報を聞いて安堵の表情を浮かべる、この兵力を相手に大破になるまで戦い続けて、とても辛かったのだろう。

 

 

『夕月!応援要請が通った!5分後に合流予定だからなんとか踏ん張ってくれ!』

 

 

 

すると、別れる前に海原から渡されていたPitから海原の声が聞こえる、どうやら支援艦隊が来てくれるようだ。

 

 

「了解した!なんとかしてみせよう!」

 

 

夕月はPitをポケットにしまうと、艤装を展開させて敵艦を見据える。

 

 

「さて、これからが正念場だ!応援が来るまで持ちこたえるぞ!」

 

 

「「了解!」」

 

 

夕月たちは敵艦隊に向かって突撃していく、三日月はすでにボロボロなので休ませることも視野にいれていたのだが、本人が“まだいける”というので“少しでも危ないと感じたら絶対に離脱する”、という条件付きで夕月たちが戦闘参加を許可した。

 

 

まずは空母棲艦の艦載機が三日月たちに向かって急降下を始める、布陣の関係で空母棲艦は艦攻をうまく扱えない(敵艦は水上にいるが三日月たちは陸上の埠頭に立っているので魚雷がうまく働かない)ので艦爆に気をつければ最悪致命傷は免れる。

 

 

「させないよ…っと!」

 

 

まずは先陣をきって秋月が主砲を連射、秋月の主砲は対空砲を兼ねているので敵艦載機には有効だ。

 

 

秋月が敵艦載機を相手取っている隙に三日月たちが敵艦に砲撃を仕掛ける、しかし駆逐艦の…ましてや練度(レベル)10にも満たない艦娘が戦艦棲艦や空母棲艦を攻撃しても結果は火を見るより明らかだった。

 

 

「やはり小破未満(カスダメ)しか与えられないか…」

 

 

「こうなったら“小破未満(カスダメ)も積み重ねれば致命傷になる”作戦でいくしかないね」

 

 

「…それってただこれまで通り攻撃しまくるって事よね…」

 

 

秋月はそうつっこむが、実際そうするしか手がないのでひたすら攻撃を繰り返す。

 

 

しかし敵もただ豆鉄砲を受けているだけではない、時折戦艦棲艦の主砲が三日月たち目掛けて飛んで来ては埠頭のコンクリを抉っていく。

 

 

「…夕月たち、残弾数は?」

 

 

「…全員ほぼ半分といったところだ、三日月は?」

 

 

「私はもう底をつきかけてるわね、補充はさせてくれなさそうだし、申し訳ないけど、弾が尽きたら離脱してもいい?攻撃できないとただの足手まといでしょう?」

 

 

「何を言う、ここまで戦ってくれただけでも大金星というものだ、たとえ今ここで離脱しても責めはしない」

 

 

「そうだよ!むしろ三日月は休むべきだよ!」

 

 

申しわけなさそうに言う三日月に夕月と秋月は十分だ、とねぎらいの言葉をかける。

 

 

「…ありがとう、でもまだ大丈夫!」

 

 

三日月は主砲を構えて敵艦を見据える、彼女はまだ諦めていない。

 

 

「…敵わないな、三日月には」

 

 

「さすが室蘭鎮守府の秘書官だねぇ、提督とは大違いだよ」

 

 

「あの提督の下で育っただけはあるね」

 

 

3体はそれぞれ好きな感想を言っているが、夏潮と秋月の海原に対するボヤキがトランシーバーモードのPit越しにダダ漏れなのは気づいていなかった。

 

 

 

 

「ったく、あいつら好き勝手言いやがって」

 

 

海原は鎮守府の3階でフッ…と笑う。

 

 

「司令官!お願いですから通信室にいてください!今の私の練度(レベル)じゃ何かあっても司令官を守れないんですよ!」

 

 

雪風は海原の袖を引っ張って抗議するが、海原は聞く耳を持たない。

 

 

「安心しろ、俺は簡単に死なない、約束する」

 

 

海原は再び雪風の白い髪を撫でる、そのたびに雪風はもう…と頬を赤らめてため息をつく。

 

 

(しっかし、改めて触るとこいつの髪サラサラできれいだな、なんか興奮しちまいそうだ)

 

 

そんな下心を抱いたことは内緒にしておく。

 

 

「さてと、雪風、今から屋根に登るから一緒に来い」

 

 

「……は、はぁ!?司令官今何と!?」

 

 

「言ったろ、屋根に登るから来い、あいつらに好機(チャンス)を与えるのは司令官である俺の仕事だからな」

 

「いやいやいや!それと屋根に上がるのと何の関係があるんですか!あとその手に持っているモノは!?」

 

 

雪風が言っているのは海原の手にある大きなネットだった、これは地引き網漁などで使われる特大サイズのモノで、なぜか通信室の奥に仕舞い込まれていたのだ。

 

 

「見ての通り網だ、敵の布陣が最初見たときと変わっていないなら、これが大いに役立つ」

 

 

「ふえぇ…?」

 

ますます困惑する雪風を引き連れて海原は鎮守府の屋根へと登る。

 

 

 

「…よし、敵の配置は特に変わっていないな」

 

 

屋根の上から息を殺して下を観察したが、敵の布陣はそれほど変わっていなかった。

 

 

「よし、雪風、今から作戦を伝えるから心して聞け」

 

 

「は、はい…」

 

 

この時点ですでにイヤな予感しかしなかったが、とりあえず海原の作戦とやらを聞く。

 

 

 

「……えええええぇぇぇぇぇ!!!!!????」

 

 

 

この時、雪風は今度こそ死ぬかもしれないと思った。




そう言えばアーケードのアプデで雪風が実装されるみたいですね、もちろん白じゃなく茶色の方です。

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