艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
「…さすがにちょっとキツくなってきたな」
夕月は辛そうな顔で敵艦を見る、支援艦隊の到着予定まであと2分といったところだが、敵艦へのダメージはあまり通っていない。
「こっちは全員大破寸前だし、そろそろマズいよね、私も少しフラフラしてきたよ…」
夏潮が顔を歪めて言う、自分と同格の相手ならともかく、はるかに格上の戦艦棲艦や空母棲艦を相手しているのだ、疲労の溜まりかたも尋常でなはい。
『夕月!聞こえるか!』
ここからどうしたものか、と考えていると、Pitから海原の声が聞こえてくる。
「司令官殿か、聞こえるぞ」
『よし、良く聞け、今から雪風をそちらに向かわせて敵艦の動きを封じるための作戦を行う、お前たちは出来るだけ敵を一カ所に固めておいてくれ』
「えっ!?ど、どう言うことですか司令官殿!」
『それじゃあ10秒後に作戦開始だ!準備にかかれ!』
「え、えぇ!?」
夕月たちは困惑しながらも敵艦の周辺に砲弾を発射、敵にそれをよけさせて中央よりに誘導させた。
『今だ雪風!“飛べ!”』
「うぴゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
そのきっかり10秒後、鎮守府本館の方から雪風の悲鳴が聞こえてきたので、何事かと声のした方を向く。
「な…!?」
「へ…?」
そこには、大きなネットを手に持って本館の屋根からこちらに向かって飛び降りる雪風の姿があった。
◇
(死ぬかと思った!死ぬかと思った!)
なんとか無事着水できた雪風は自分がまだ生きている事を確かめると、敵艦に向かって
それに気づいた敵艦がそれを阻止しようとこちらを向くが、すでに遅い。
「いっけええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
雪風は持っていた地引き網漁のネットを一気に広げると敵艦に向かって被せる、それに驚いた敵艦は少しの間動きを止めてしまった。
「まだまだ!」
続いてネットの紐を持って敵艦の周りをぐるりと旋回、2周ほどしたら旋回ルートから外れ、紐をめいっぱい引けば…
「…よし!完成です!」
敵艦隊はネットに巻かれて完全に身動きが取れなくなっていた。
◇
「す、すごい…」
「あの敵艦隊を網でぐるぐる巻きに…」
三日月たちはその様子に唖然としながら見入っていた、しかもこの作戦にはもう一つ海原の策略があった。
このネットは少し目が粗めに作られているタイプのモノであり、戦艦棲艦の主砲の砲身をくぐらせることができるのだ、これをすれば砲撃で網を破られる事もなく拘束出来る。
空母棲艦の方にもこのネットは役に立つ、戦艦棲艦の砲身は通る網目のネットだが、空母棲艦の艦載機は通さない大きさになっている、艦載機の能力で破ることも出来るが、超至近距離で艦爆や艦攻を発動させることになるので自身もダメージを負ってしまう。
「司令官!拘束完了です!」
雪風がネットの紐をギュッと引っ張り、敵艦の動きを封じる。
「よし!お前ら!一斉攻撃!」
海原の合図で夕月たちが一斉に主砲を発射、三日月は弾が残っていないので魚雷を
…その後、到着した支援艦隊の攻撃により、敵艦の掃討に成功した。
◇
「本当に助かりました、ありがとうございます」
「いえいえ、同じ深海棲艦と戦っている者同士、助け合うのは当然です」
頭を下げてお礼を言う海原に対し、支援艦隊
「しかし、駆逐艦だけの艦隊で敵にあそこまでの打撃を与えるとは、よほどあなたの指揮が適切だったのですね」
妙高は三日月たちを見て感心するように言う、低
「いえ、俺は少し指示を出しただけですよ、頑張ったのはあいつらです」
「ふふっ、艦娘の事を大切になさっているんですね、あなたの部下が羨ましいです」
「…いえ、俺には、とてももったいない言葉です」
海原は一瞬の逡巡の後にそう言った、しかし、その時ほんの少し顔が曇ったのには誰も気づかなかった。
「………」
…三日月以外は。
○コラム、我が艦隊の艦隊名公開。
・第1艦隊「!!!吹雪タイム!!!」
・第2艦隊「虹色・夢色・初霜色」
・第3艦隊「三日月ノ舞」
・第4艦隊「キュアップラパパ!」
・第5艦隊「ラ王とんこつしょうゆ」
・第6艦隊「艦隊2000」
・第7艦隊「お好み焼き」
…こうして見るとひどいセンスだなぁ…。