艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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Android版のリリースが待ち遠しい今日のこの頃。

アルペジオコラボの動画この前見たんですけど、火力100オーバーの潜水艦がビームで全体攻撃とか…


第40話「三日月の場合25」

『沖ノ鳥島』

 

 

住所で言うなら東京都小笠原、場所で言うなら大平洋に位置するそれは日本領土最南端の場所だ、しかしこの島は他の島々とは違う所がある、沖ノ鳥島は人工浮遊島(メガフロート)で造られた人工島なのだ。

 

 

一昔前は大きな岩山のような無人島…といった島であったが、近年になって人工浮遊島(メガフロート)の技術を使った国土拡張計画が活発化していき、その先駆けとなったのが“沖ノ鳥島人工島化計画”だ。

 

 

島自体は1km四方の人工浮遊島(メガフロート)を無数につなぎ合わせて巨大な人工島を作り出しており人口は2500人ほど、そしてその島々の連結、及びけん引を担っているのが“巨人の剛腕(タイタン・アームズ)”と呼ばれる極太のケーブルだ、本島と近くの島とで繋がっており沖ノ鳥島が分解したり流されたりするのを防ぐ役割を持ち、それが人工浮遊島(メガフロート)の周りに6本ある。

 

 

「…で、今回私たちが警護するのがコレ…と」

 

 

三日月は巨人の剛腕(タイタン・アームズ)を見て息をのむ、ケーブルの直径は10mちょっと、しかしそれは細いケーブルが幾重にも絡み合ってこの太さになっている、それを覆うカバーは衝撃を吸収する特別な作りになっていてちょっとやそっとの波ではびくともしない。

 

 

「大きいな、人工浮遊島(メガフロート)を支えてるだけのことはある」

 

 

「今回はこれを守るだけの任務なんでしょ?簡単じゃん」

 

 

「油断しちゃだめだよ、敵艦が湧いて出てくるかもなんだし」

 

 

夕月たちが口々に言う、ケーブルの長さはそれぞれ500m~1kmほど、あまり目立たないように半分が海水に浸かっているとはいえ敵艦の標的になる可能性だって十二分にある。

 

 

「それはいいけど、なんか暇だね」

 

 

おそらくここにいる全員が感じているであろう事を遠慮なしで口に出す秋月、なにせ早朝から出撃してケーブル付近を航行しながら見回っているが、どの巨人の剛腕(タイタン・アームズ)も何も起こっていない、いや、本当なら起こらない方がいいのだが、こうも何もないとどうしても暇を感じてしまう。

 

 

『暇なのは平和な証拠だろ、別になんも悪い事じゃねーよ』

 

 

海原がインカム越しに言う、今回の出撃では全員に通信用のインカムを持たせている。

 

 

「確かにそうなんだけど…っていうか提督こそ大丈夫なの?男所帯でムサくない?」

 

 

『それに関しては大丈夫だ、だが秋月、お前のいうムサい連中もお前の声を聞いているのを忘れてないか?』

 

 

「…あ」

 

 

秋月は顔を青ざめさせてカタカタと震えだす、完全に忘れてたようだ。

 

 

「し、失礼しました!続けて警護任務にあたります!」

 

 

本人もいないのに秋月はその場で敬礼していた。

 

 

 

 

「ったく、秋月のやつ、いちいち変なこと口走りやがって」

 

 

海原はため息をついて机に頬杖をつく。

 

 

「お前の所の艦娘は礼儀ってモンを知らねぇみてぇだな」

 

 

そう言って海原に嫌みを言うのは呉鎮守府の提督をしている川原木秀平(かわらぎ しゅうへい)、まだ30代という若さで呉の艦隊運用を任されている優秀な人間だ。

 

 

「特にそういったことは教えてないですからね、うちみたいな辺境の鎮守府にお呼びがかかるなんて夢にも思ってませんでしたし」

 

 

「よくそんな事をぬけぬけと…」

 

 

川原木は不機嫌そうに吐き捨てる、ちなみに海原たちがいるのは大本営の中央作戦司令室だ、現在この中で元帥を含む召集された提督たちが各艦娘に指示を出している。

 

 

「第1、第2艦隊の様子はどうだ?」

 

 

「現在敵主力艦隊との交戦を開始しました、今の所甚大な被害は報告されていません」

 

 

佐世保鎮守府の提督の奥村裕貴(おくむら ゆうき)は第1艦隊と第2艦隊の様子を見て南雲に言う。

 

 

 

「第3艦隊は?」

 

 

「こちらも特に異常は報告されていません」

 

 

大湊鎮守府の提督の荻波秀典(おぎなみ ひでのり)も異常が無いことを南雲に報告する。

 

「分かった、何か異常が報告されたらすぐに知らせてくれ」

 

 

「「了解!」」

 

 

提督たちはそれぞれの持ち場で任務を再開した。

 

 

「しっかし、カメラ付きの艤装とはまたハイテクなモンを考えついたな…」

 

 

海原はモニターに映る戦闘中の映像を見て言う、今回作戦に参加する艦娘の艤装にはカメラが取り付けられている、コレは艤装のオプションパーツの一つで市販のビデオカメラよりもかなり性能がいい。

 

 

「艤装のオプションパーツは前からあったろ、何を今更」

 

 

「そうは言われても俺最近着任したばかりだし…」

 

 

などとのんきに会話をしていたまさにその時…

 

 

『別動隊三日月より報告!巨人の剛腕(タイタン・アームズ)第3ケーブル付近に敵艦隊の存在を確認!その数6体!』

 

 

三日月の報告に中央作戦司令室は緊張に包まれた。

 

 

 

 

「な…何コレ…」

 

 

三日月は目の前の敵艦隊を見て戦慄していた。

 

 

◎戦艦棲艦×4

 

○空母棲艦×2

 

 

というガチも甚だしい編成だった。

 

 

「マズいぞ!全員第3ケーブルに集結!三日月の援護に入れ!」

 

 

夕月がインカムで秋月たちに呼び掛ける、今は見回りの効率を考えてそれぞれのケーブルを1体ずつで見ていたのでバラバラになっているのだ

 

 

「「了解!」」

 

 

それを受けて夏潮、秋月、雪風は三日月のいる第3ケーブルへと全速力で向かう。

 

 

 

 

一方その頃、中央作戦司令室では巨人の剛腕(タイタン・アームズ)の敵艦隊をどうするかで大騒ぎになっていた。

 

 

「すぐに支援部隊を第3ケーブルへ送るべきだ!」

 

 

「バカ言え!第1、第2艦隊は交戦中だぞ!」

 

 

「本島に第3艦隊がいるだろう!あいつらならケーブルから一番近い!」

 

 

「そんな事をしたら本島の守りが手薄になる!本土から増援の艦隊を呼ぶべきだ!」

 

 

「何分掛かると思っている!」

あちこちで怒号が飛び交い、あーでもないこーでもないと叫びあっている。

 

 

「第3艦隊を巨人の剛腕(タイタン・アームズ)へと向かわせろ、それと入れ替わりで別動隊を本島へ撤退だ!」

 

 

南雲が提督たちへ指示を出す、それを聞いた荻波と海原が第3艦隊と別動隊にそれぞれ指示を出す。

 

 

『司令官殿、支援部隊は助かるのだが…もう一つ別の問題が浮かんだ』

 

 

「…別の問題?」

 

 

夕月の言葉に海原はイヤな予感しかしなかった。

 

 

『…第4と第2ケーブルに新手の潜水棲艦が多数出現、三日月のもとへ向かうのが困難です…』

 

 

それを聞き、中央作戦司令室に絶望の空気が漂い始めた。




三日月編が終わったらちょっとした日常編を入れてみようかな~、と計画中。

ほのぼのとした要素はいるよね、いるに違いない(断言)。

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