艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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三日月の改二早く来てくれないですかね~

…といってもパソコン持ってないのでブラウザー版プレイできないんですけどね…。


第45話「三日月の場合30」

 

 

「…とまぁ、俺の過去はこんな所だな、たいして面白くもなかったろ?」

 

 

海原の話しを聞き終えた吹雪たちは沈黙していた、何も聞こえてこないので海原がどうしたー?とおちゃらけた声を出す。

 

 

「そんなの、司令官は悪くないじゃないですか!」

 

 

「そうよ!司令官への仕打ちはあんまりだわ!」

 

『はい、提督への処罰は不当です!』

 

 

『そんなの、絶対に許せません!』

 

 

吹雪、暁、ハチ、三日月は一斉に海原への処罰は不当だと訴える。

 

 

「って、吹雪さん、南雲元帥と鹿沼補佐官って確か…」

 

 

「…うん、大本営で作戦説明をしていた人だね」

 

 

吹雪は数日前の記憶を掘り起こす、あのジジイが海原を嵌めた、考えただけで腸が煮えくり返ってくる。

 

 

『っ!どこですか!そいつは今どこにいるんですか!?』

 

 

吹雪の肩をゆっさゆっさと揺らして聞いてくる三日月、相当頭に血が上っているらしい。

 

 

「ちょ、ちょっと落ち着いて三日月、行ってどうするつもりなのさ」

 

 

『決まってるじゃないですか!殺してやるんです!肉をズタズタに引き裂いて腸をえぐり出してグチャグチャに踏み潰して頭をかち割って脳みそ踏みつぶさないと気が収まりません!』

 

 

「お、落ち着いて三日月!色々マズい事言いまくってるから!」

 

 

なんとか三日月を落ち着かせるが、その身体は未だにワナワナと震えている。

 

 

「でも何で三日月はこんな所にいるのかしら、轟沈したのが沖ノ鳥島なら、その周辺にいた方が自然なのに…」

 

 

『それは私にも分かりません…でも、司令官に会いたい、鎮守府に帰りたいって一心で進んでたらいつの間にかこんな所に来てたみたいです』

 

 

「帰巣本能ってヤツね」

 

 

「ハトじゃないんだから…」

 

 

暁の発言に吹雪がつっこむ、しかし本当に帰りたいという一心で東京から北海道まで来たのだとすれば相当すごいことである。

 

 

『…まあ何であれ、また三日月と話せたんだ、とても嬉しいよ』

 

『司令官…』

 

 

海原の言葉に三日月は目頭が熱くなるのを感じる、深海棲艦となってからは何も感じることなく過ごしてきたが、今海原と話をして心の奥底から満たされるような気持ちになる。

 

 

『私も、司令官とお話出来て嬉しいです、轟沈してからも私たちを思ってくれて、ありがとうございます』

 

 

三日月は目尻にうっすら涙を浮かべながらPitに向かって頭を下げる、すると…

 

 

『っ!?これは…!』

 

 

三日月の艦娘化が始まった、深海棲艦となった三日月の身体全身にヒビが入る。

 

 

「大丈夫だよ、艦娘に戻るだけだから」

 

 

「純粋な艦娘とは言い難いけどね…」

 

 

暁がそう言った時、三日月の殻が弾け飛び、かつて艦娘だった三日月が姿を現した。

 

 

「私、戻ったの…?」

 

 

三日月は自分の身体を見回す、先ほどまでは深海棲艦の姿をしていたが、今はあの時と同じ駆逐艦三日月としての姿をしている。

 

 

…もっとも、完全に一緒というわけではなかったが。

 

 

「…これは…」

 

 

「深海棲艦だったときの名残よ、アザみたいなモンだと考えればいいわ」

 

 

三日月にも深海棲艦の名残…深海痕が現れていた、場所は左腕全体と右の脇腹の2カ所、左腕に至っては指先まで変色しており長手袋をしているようだった。

 

 

『三日月の声が聞こえるって事は、艦娘化したか?』

 

 

「はい、やはり深海痕は残りましたが、艦娘化成功です」

 

 

吹雪が海原に報告する、深海痕があるということは三日月も混血艦(ハーフ)になっていると見て間違いないだろう。

 

 

「司令官、私の声が…?」

 

 

『あぁ、しっかりと聞こえるぞ、この日をどれだけ待ち望んでたことか…』

 

 

『うわ、提督泣いてる、似合わなーい』

 

 

ハチのちゃかしたつっこみにうっせ!と海原が返す。

 

 

『こほん、それでだ三日月、お前にひとつ提案がある』

 

 

「提案…ですか?」

 

 

突然の提案という言葉に三日月は首を傾げる。

 

 

『もしお前さえよければ、俺のいる台場鎮守府に来ないか?』

 

 

「もちろんです!是非入れてください!」

 

 

即答だった、一切の躊躇いもなかった。

 

 

「もう一度司令官のお役に立てるなら、これ以上の喜びはありません!この三日月、台場鎮守府への着任を希望します!」

 

 

「眩しい!目の前の天使が眩しすぎる!」

 

 

吹雪と暁が両手で顔を覆う、彼女を見ていると、自分たちはなんて心の荒んだ存在なのだろう…という気分にさせられる。

 

 

『三日月の声も聞けたことだし、そろそろ切るぞ』

 

 

「三日月と話さなくていいんですか?積もる話もあるでしょう?」

 

 

『三日月が戻ってからでも遅くはないさ、それにお前らは今大規模作戦中だ、そっちに集中してもらいたい』

 

 

「司令官…」

 

 

『その代わり、三日月をしっかり頼んだぞ』

 

 

海原は強い意志を込めて吹雪に言う、それは絶対に誰一人欠けることなく3体で帰ってこい、という意味も込められていた。

 

 

「はい!この吹雪、必ず三日月を台場鎮守府まで連れて帰ります!」

 

 

そう言って吹雪はPitの通話を切る。

 

 

「さてと、司令官にああ言った手前、ちゃんと三日月を連れて帰らないと」

 

 

「その前にこの島から出ることを考えないといけませんよ」

 

 

張り切る吹雪に三日月は言う、大規模作戦真っ只中の今、参加メンバーにいなかった三日月を連れ帰ったら怪しまれる可能性もある、そこも踏まえて作戦などを練らなければいけない。

 

 

「そんなの一休みしてからでいいわよ~」

 

 

もともと少し休んでからここを出るつもりだった暁はすでにぐうたらモードである。

 

 

「何を甘ったれた事言ってるんですか!善は急げ!鉄は熱いうちに打て!です!」

 

 

(うわぁ、めんどくさい子が来たなぁ)

 

 

渋々作戦会議に混ざりながら心の中でそんな事をボヤく暁だった。




…そういえば登場人物紹介とか作ってないなぁ、三日月編終わったら一度挟んでみよう。

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