艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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台場艦隊中二病デビュー&三日月白兵戦デビュー(一瞬)編。

こうして吹雪たちは黒歴史のページを開き始めたのだった。

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第48話「三日月の場合33」

「さてと、そろそろベースキャンプに戻ろうか、瑞鶴さんたちも心配してるだろうし」

 

 

三日月が艦娘に戻ってから数時間後、身体の傷もほとんど治ってきたので吹雪たちはベースキャンプに帰投する事になった。

 

 

「三日月の事はどうやって説明する?」

 

 

「終わるまで隠れててもらうか、テキトーにごまかせばいいんじゃない?」

 

 

「そんないい加減な…」

 

 

やる気があるんだか無いんだかよく分からない会話をしながら吹雪たちは国後島を出る準備をする。

 

 

「吹雪さん、本当にこれを使って戦うんですか?」

 

 

「そうだよ、特に三日月は持っててもらわないと困るし」

 

 

それはそうですけど…と言いながら三日月は自らの右手に握られている太刀の深海棲器を見る。

 

 

 

三日月が艦娘化してすぐに分かったことだが、彼女は主砲や魚雷といった、艦娘の正規の艤装を何ひとつ持っていなかった、深海棲艦化した際に無くなったのかもしれないが、さすがにそれでは戦闘が出来ないということで吹雪の太刀を借りて少し訓練を受けていた。

 

 

「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だよ、深海棲器の扱い方は暁より飲み込み早かったし」

 

 

「特訓開始120分で暁と互角に組み手出来るようになったときは流石に少し引いたわよ…」

 

 

未だに信じられないといった様子で暁は言う、戦うまでは無理でも身を守る程度の技術は身につけてほしい、という方針のもと三日月に深海棲器の扱い方をレクチャーしたのだが、三日月の飲み込みが思った以上に早く、わずか2時間で最近熟練者の域に達し始めている暁とも互角にやり合えるようになった。

 

 

流石に砲弾斬りをこの短時間で習得するのは無理だったが、弾を刀身に当てて軌道を逸らす“受け流し”程度なら使えるようになった。

 

 

(これなら駆逐棲艦くらいなら相手できるかもね)

 

 

そんな事を考えながら吹雪たちはベースキャンプを目指して出航する。

 

 

 

「でも本当に三日月はスゴいよね、私ももっと強くならいと」

 

 

ベースキャンプへの航海路(シーレーン)を辿りながら吹雪は言う。

 

 

「そう言えば、前に響が…」

 

 

 

 

『カッコイイ技名を叫びながら戦うといつもより強くなるみたいだよ』

 

 

 

 

「…って言ってたわよ」

 

 

「いや、それ絶対騙されてるでしょ」

 

 

「いえ、案外そうでもないかもしれないですよ?」

 

 

吹雪が即座につっこんだが、三日月は意外と肯定的な反応を返してきた。

 

 

「昔司令官が言ってたんですけど、肉弾戦で声を出して戦うのは効果的なんだそうです、ただのパンチも無言で出すより腹から思い切り声を出して相手をブチのめした方がいいんだとか…」

 

 

「へぇ~、三日月スゴいね、そんな轟沈する前のこと覚えてるなんて」

 

 

「いえ、それを話している司令官が少し楽しそうだったので、司令官が好きなアクション映画を見てたときの合間に聞いていたんです」

 

 

「なるほどね、艤装の砲だったらあまり意味ないかもしれないけど、私たち白兵戦メインの艦隊だったら意外と役に立つかも」

 

 

「ならちょっと考えてみましょうよ!本当に強くなるかも!」

 

 

 

「うぇ…マジで?」

 

 

いくら理屈が通っててもいざやるとなると恥ずかしいものである。

 

 

(てか、響もからかうつもりで言ったハズなのにこうもマトモな展開になるとさぞ複雑だろうなぁ…)

 

 

そんな事を思いつつ吹雪たちは技名考案という中二くさい行為を始めた。

 

 

 

それから数十分後、もう少しでベースキャンプに到着という所で深海棲艦が現れた。

 

 

「駆逐3に軽巡1…か」

 

 

編成は典型的な水雷戦隊なので勝つのはそう難しくないだろう。

 

 

「暁!ちゃっちゃと終わらせるよ!」

 

 

「了解!」

 

 

三日月はそこで見学ね!と言って吹雪と暁は敵艦隊へ向かって突撃していく。

 

 

「えっ!?本当に白兵戦で戦うんですか!?」

 

 

手甲拳(ナックル)と鎌を持って肉薄する吹雪たちを見て三日月は驚愕する。

 

 

まずは敵艦と距離を詰めて得物の攻撃範囲(リーチ)内に入る、その間に敵艦隊は砲撃をしてくるが、砲弾斬りをマスターしている吹雪たちにとってはなんの障害にもならない。

 

 

「す、すごい…」

 

 

いともたやすく敵の砲弾を叩き斬っていく姿に三日月は魅入っていた、本当に艦娘の戦いなのか?そう疑いたくなるくらいだった。

 

 

「まずは…旗艦(リーダー)!」

 

 

吹雪が手甲拳(ナックル)で軽巡棲艦を殴りつける、軽巡棲艦はその一撃で一気に大破まで追い込まれた、普段は一撃で撃沈できるのだが、当たり所がよかったのか大破で止まった。

 

 

(なら、さっき考えたアレを…!)

 

 

吹雪は深海棲器をナギナタに切り替え…

 

 

雪華繚乱(セッカリョウラン)!」

 

 

さっき暁たちと考えた技名を思い切り叫ぶ、技名とは裏腹にその実は普通に素早く連続斬りをするだけなのだが、そこは気分である。

 

 

雪華繚乱(セッカリョウラン)…もとい連続斬りを食らった軽巡棲艦は今度こそ撃沈する。

 

 

舞闘鎌撃(ブトウレンゲキ):暁闇(ギョウアン)!」

 

 

暁も技名を叫び、鎌を踊るように振り回して駆逐棲艦の船体のあちこちを切り落としていく、そのダメージで駆逐棲艦は次々と戦闘不能に陥っていく。

 

 

「これで勝ち…!」

 

 

敵艦隊は全て倒したと思われたが、胴体を真っ二つにされた駆逐棲艦の頭部だけが最期の悪足掻きで暁に向かって飛んでくる。

 

 

「ヤバ…!」

 

 

三日月夜の閃剣(クレセント・ブレイド)!」

 

 

一瞬大破を覚悟したが、三日月が太刀を使い駆逐棲艦を目にも止まらぬ速さで一閃の如く斬り裂く。

 

 

三日月の剣撃を食らった駆逐棲艦は音もなく真っ二つになり、海の底へと沈んでいく。

 

 

「大丈夫でしたか!?」

 

 

「だ、大丈夫…ありがと」

 

 

暁はなんとか平静を装うが、その背筋がゾッとなるのを感じていた。

 

 

(この子…駆逐棲艦斬るとき凄く狂気的な笑い浮かべてた…)

 

 

三日月の知ってはいけない一面を知ってしまったような気がして、暁は人知れず冷や汗を流していた。




暁の狂人度も大概だけど三日月も大概。

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