艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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この前攻略サイトで「フィット砲」なるモノを見たんですけど、これってポケモンで例えるなら…

戦艦金剛に35.6cm砲→ピカチュウの10まんボルト!

戦艦金剛に46cm砲→ピカチュウのかみなり!

…みたいなモンなんですかね?

威力を取るか命中精度を取るか、悩ましい所です。


第58話「Z3の場合8」

次の日、島風とマックスの2体は呉近海の警備任務に就いていた。

 

 

「警備任務に駆逐艦2体だけっていうのはいささか不用心な気もするけど」

 

 

「それだけ私たちの力が認められてるってことじゃん!まぁスピードは私が一番だけどね」

 

 

慎重なマックスと楽観的な島風、対照的な2体が警備ルートを航行していく、このあたりは深海棲艦の掃討が進んでいるので敵が出ると言ってもはぐれ艦隊が迷い込む程度だ、それを見越して提督は島風とマックスを選んだのだろうが、いくら戦闘能力が高いといえど自分たちは駆逐艦…万が一巡洋艦や戦艦が出没しようものならあっという間にやられてしまう。

 

 

出来れば提督もその辺を考えてほしかった、とマックスは心の中で愚痴を言う。

 

 

それからは特に敵などの出現もなく、警備ルートを航行し終えた、後は鎮守府まで戻るだけだ。

 

 

(さてと、じゃあ始めちゃおうかな~)

 

 

島風はその時をずっと待っていた。

 

 

「マックス、鎮守府まで競争しない?」

 

 

「えっ?」

 

 

唐突に言う島風にマックスは首を傾げる、鎮守府までおおよそ2km、直線距離なので普通に行っても時間はあまりかからない。

 

 

「先に鎮守府の桟橋に着いた方が勝ち!ね、やろう!」

 

 

「嫌ですよ、先輩と競争したって勝てるわけ無いんですから、わざわざ速力(スピード)上げて体力と燃料を消費したくないです」

 

 

「なっ…!?」

 

 

マックスの言葉に島風はカチンと来る、自分より遅いくせに、ちょっと戦闘能力が高いからって調子に乗ってる、島風はそう思った。

 

 

「競争は絶対やるの!じゃあスタートね!」

 

 

「あ、ちょっと…!」

 

 

マックスの制止を振り切ってスタートしてしまう。

 

 

「もう…!」

 

 

仕方なくマックスは速力(スピード)を上げる、別に島風に追い付く必要は無いが、あまり間隔を開けて戻ると金剛にとやかく言われそうなのでついて行く。

 

 

 

「ふっふ~ん、私に追いつける艦娘なんて誰もいないんだから」

 

 

島風は誇らしげに言いながら快速で飛ばしていく、すでにマックスの姿は見えなくなっており、このまま振り切るつもりでいた。

 

 

「そう、私が一番速い、これから先戦闘能力がマックスより低くなっても、この速力(スピード)があれば戦線から外される事はない、快速駆逐艦の私が主戦力でありつづけるんだ!」

 

 

島風は絶対の自信を持ってそう言い切る、島風は昔から艦娘一の快速駆逐艦として周りから色々な期待をされてきた、島風はそれに必死で応えようと努力を怠らなかった、みんなが流行りのファッションやカルチャーなどの話題に花を咲かせていたときも、一緒に美味しいモノでも食べに行こうと誘われたときも、轟沈してしまった仲間の葬儀を行うときも、それらを全て断って戦闘訓練や速力向上(スピードアップ)の訓練に明け暮れてた。

 

 

誰よりも必死に努力をして、誰よりも一番であろうとして、誰よりもその期待に応えようとして、島風は常に一番であろうとした、その結果彼女は誰にも負けない速力(スピード)と駆逐艦の枠に収まらない戦闘能力を手に入れ、主力艦隊の席を守り続けた、しかしそれと引き換えに鎮守府の艦娘との友好関係は失われてしまった、訓練ばかりにのめり込む島風を疎ましく思う艦娘が次第に増え始め、特に同じ駆逐艦との仲は完全に冷え切っていた。

 

 

しかし島風はそれでもいいと思っていた、自分が一番であれば、周りの期待に応えられればそれでいい、仲間や友達なんてモノは不要だ、自分は戦艦や空母に混ざって主力艦隊のメンバーを努める艦娘なのだ、世間の情勢に現を抜かしている連中とは違う。

 

 

そんなある日、呉鎮守府にマックスが着任した、島風は同室だった金剛と一緒にマックスの戦闘訓練を監督する事になったが、正直島風はあまり期待していなかった。

 

 

(私より遅いんだから、どうせたいしたことない)

 

 

しかし島風の予想は大きく裏切られ、マックスはその卓越した戦闘能力を十二分に見せ付けた。

 

 

「すごい…」

 

 

島風は素直にそう思った、この艦娘はそう遠くないうちにもっと強くなる、いずれ自分を追い越すくらいに…。

 

 

「っ!!」

 

 

そんな考えが頭を過ぎったとき、島風は身体を震わせた。

 

 

(もしこの先マックスが強くなったら、いずれ出撃部隊への誘いが来るかもしれない、そしたら自分は…?もし外されたりなんかしたら…)

 

 

周りの期待に応え続ける事でしか自身の存在意義を見いだせなくなっていた島風にとって、出撃部隊から外されるのは自己の存在を否定される事に等しかった、単に頑張ってほしいというだけだった周りからの期待は、何時しか島風にとって脅迫観念のようなモノになっていた、みんなが自分に期待している、それに応えられなければ、自分に存在価値など無い…。

 

 

島風がだんだんとおかしくなっていったのはそのあたりからだった、いままで以上に訓練にのめり込み、食事のときと眠るとき以外はほぼ全ての時間を訓練に注ぎ込んだ、さすがに金剛も心配になって止めようとしたが、島風は聞く耳を持たなかった。

 

 

そしてなにより、マックスの事を過敏過ぎるくらいにライバル視していた、彼女は日々の訓練を涼しい顔でやってのけ、いつも水準以上の優秀な成績を出していた、島風にとってマックスの存在は自分の立場を脅かす脅威となっていた。

 

 

もちろん島風だってマックスが努力をしている事は知っていた、一方的にライバル視している島風を“先輩”と慕ってくれて、自分より能力が優れている島風に追い付こうと努力をしていた、それが嬉しくもあり、同時に腹立たしかった。

 

 

『先輩に早く追い付けるように、頑張ります!』

 

 

やめて…

 

 

『早く戦闘能力を上げて、先輩と同じ出撃部隊に入りたいです』

 

 

やめて!私に追い付こうとしないで!

 

 

 

『早く先輩の隣で戦えるように…役に立てるようになりたいんです』

 

 

あんたなんか…!あんたなんか…!!

 

 

いなくなっちゃえばいいのに!

 

 

『だって私、先輩の事が大好きですから』

 

 

「っ!!」

 

 

気がつけば島風はいつの間にか止まっていた、距離的に鎮守府まで残り約1kmといった所だろうか。

 

 

「何で…何で…」

 

 

最初はいい仲間が、いいライバルが出来たと嬉しかったはずなのに…

 

 

 

いつから私は、マックスの事を邪魔だと思うようになってしまったのだろうか…

 

 

 

島風が目尻に涙を浮かべたその時…

 

 

 

「っ!?」

 

 

自分の後方から大きな爆撃音が聞こえた、距離が遠いので詳しい様子は伺えない。

 

 

(あの方向にはマックスが…っ!!)

 

 

最悪の可能性が脳裏を過ぎった島風は、猛スピードでUターンしてマックスのもとへ向かった。




ブラウザー版の艦これでは「運」はまるゆでしか上げられないと最近知って絶望しております(Vita版は同じ艦娘を合成しても運を上げることが出来る)。
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