艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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朝潮の改二が実装されたみたいですね、wiki見てきたら「何この美少女」でした。

朝潮好きの僕にとってはこの上ない朗報ですが、Vita版提督なので改装できず、改二追加のアップデート配信してくれませんかねぇ…。




第64話「Z3の場合14」

「なっ…!?」

 

 

あまりに突然の出来事にその場にいた全員が絶句する。

 

 

「がはぁ…!」

 

 

砲撃された島風はそのまま吹き飛ばされ海面を石切のようにバウンドしていく。

 

 

『島風!』

 

 

マックスは再び島風に突撃すると、主砲から砲弾を次々と撃ち出していく。

 

 

「うっ…!」

 

 

マックスの撃った砲弾を島風はかわしていくが、所々に被弾してダメージを蓄積させていく。

 

 

『許さナい…!ユルサナイ!』

 

 

今度はマックスが島風に急速に接近していき、島風の胸ぐらを掴んだ。

 

 

『許さない!島風!許さない!許さない!島風ェ!』

 

 

主砲の砲身で島風を殴りつけながら狂ったロボットのように同じ事を叫び続けるマックス。

 

 

「………」

 

 

ボコボコにされていく島風を見ながら三日月は考えていた、今のマックスの様子は少しおかしい、これまでの“面影”持ちは譫言のような言動をしている個体もいたが、どれもそれなりの意思を持っていた、しかしマックスは違う、まるで何かに取り憑かれているように感情に突き動かされ、本来のマックスの人格を完全に無視しているようにも見える。

 

 

「…ひょっとしたら、何かのきっかけでマックスの元の人格を呼び起こせるかも…?」

 

 

すでに中破している島風など初めから気にしていない三日月はそのまま頭を悩ませていた。

 

 

「ぐふっ…!ごほぉ…!」

 

 

一方島風は依然としてマックスに殴られ続けていた、すでに歯の何本かが折れ、顔のあちこちが腫れ上がっている。

 

 

「マッ……ク…ス!」

 

 

『死ネエエエエエエエエェェェェ!』

 

 

マックスが主砲を持った手を大きく振りかぶり、島風の顔を潰さんと構える。

 

 

『…ェ』

 

 

 

「…ごめん、ごめんね」

 

 

 

しかし島風がそれより速くマックスに抱きつき、絞り出すような声で言った。

 

 

『アアアァァ!ガギャアアアァァ!!!!』

 

 

島風に抱きつかれたマックスはじたばたと暴れ出し、島風の肩に噛みつく、深海棲艦化して鋭くなっているマックスの歯はブレザーと皮膚をいとも簡単に貫き、島風の肉に食い込む。

 

 

「ぐっ…!」

 

 

鋭い激痛が走り、ブレザーに赤黒い染みが広がっていくが、それでも島風はマックスを離そうとはしなかった、今離したら二度と会えなくなる、そんな気がしたから。

 

 

(今度は離さない!絶対に!)

 

 

「マックス、最初にあなたのことを置いていってごめん、助けられる力が無くてごめん、あなたを殺したのは私…本当にごめんなさい…!」

 

 

砲身で殴られて鼻の骨が折れようとも、ブレザーごと肩の肉を食いちぎられても、島風はマックスを抱きしめ続けた、自分の思いがマックスに届くと信じて…。

 

 

『ウうゥぅ…?セン…パ……イ?』

 

 

「っ!!」

 

 

マックスが微かに呟いたその言葉を、三日月は聞き逃さなかった。

 

 

「島風さん!マックスさんが自我を取り戻しかけてます!島風さんをセンパイって呼んでますよ!」

 

 

「本当!?」

 

 

「はい!このまま呼び掛ければ、艦娘化も不可能ではないと思います!」

 

 

ならばもっと呼び掛けなければいけない、絶対にマックスを艦娘に戻す、その一心で島風は想いをぶつける。

 

 

「マックス!私だよ!島風だよ!戻ってきて!」

 

 

『セン…パイ…!…グギャアアァァ!!!』

 

 

一度は自我が戻りかけるが、その度に深海棲艦に侵蝕されてしまう。

 

 

「…私ね、後悔してるの、自分のつまらないプライドのせいで何も悪くないマックスを疎んでた、マックスは私を慕ってくれてたのにそれを受け入れようとはしなかった、でもあなたがいなくなって、私はようやく気付いたの」

 

 

島風は一呼吸置くと、確かな意志を持ってマックスに告げた。

 

 

「マックスは、私にとって大切な友達で、仲間なんだって」

 

 

 

『…センパイ…』

 

 

 

「大好きだよ、マックス」

 

 

島風はそう言って、再度マックスを強く抱きしめた、すると先ほどまで暴れていたマックスはピタリと動きを止めると、ゆっくり島風から離れ…

 

 

『……はい、私もセンパイが大好きです』

 

 

あの時と変わらない笑顔を島風に向けて言った。

 

 

その直後、ピキッ!という音と共にマックスの身体にヒビが入り、それが全身に広がっていく。

 

 

そして、卵の殻が砕けるように深海棲艦の装甲が弾け飛び、マックスが姿を現した。

 

 

「おっとと…」

 

 

自分の方へ倒れてくるマックスを島風は慌てて支える、艦娘化したマックスは眠っていて、どこか安心したような表情をしていた。

 

 

「マックス…良かっ…た……」

 

 

無事にマックスを解放できて安堵した島風だったが、自身も相当なダメージを受けており、急に意識が遠ざかる。

 

 

「セーフ」

 

 

そのままマックス諸共倒れそうになるのを金剛がキャッチ、優しく抱きかかえた。

 

 

「ったく、冷や冷やさせやがって、一時はどうなるかと思ったぜ」

 

 

「そうですね、私も冷や汗が止まりませんでした」

 

 

摩耶と金剛が口々に言うが、その表情は笑っていた。

 

 

「よく頑張りましたね、立派でしたよ」

 

 

金剛はそう言って、島風の髪を優しくなでた。




そろそろ三日月の改二が来てもいいのよ?

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