艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー 作:きいこ
・94式爆雷投射機
・3式爆雷投射機
・93式水中聴音機
ロクなのがねぇ…
「吹雪たちの事だから手早く倒しそうだとは思ったけど、まさかこんなに早いとは思わなかったよ」
「そう?結構普通だよ」
「普通の艦娘は白兵戦したり駆逐棲艦をパンチで一撃必殺したりはしないよ」
神無月は呆れ顔で言う。
「っ!?敵艦隊接近中!数は1!会敵までおよそ30秒!」
響の電探が再び敵艦隊の接近を察知する。
「って、1体だけ?」
「電探の反応を見るに1体だね」
「はぐれ駆逐でもいるのかな…」
「案外戦艦棲艦がソロプレイしてたりしてね」
「それは勘弁願いたいね、戦艦棲艦は倒すのが大変だし」
「大変でも倒せるってあたり台場艦隊は異常だね…」
神無月の中で駆逐艦の定義が揺らいでいた。
響の言葉通り30秒前後で敵艦隊と遭遇した。
「よし!今度は私が!」
先ほどはほとんど出番のなかった神無月が張り切って駆逐棲艦に向かっていく。
「待って」
しかし吹雪が腕を横に伸ばして神無月の進路を塞ぐ。
「…どうしたの?」
真剣な顔で駆逐棲艦を見る吹雪に神無月は怪訝な表情を浮かべる、そして気付けば三日月とマックスも吹雪と同じような顔をして駆逐棲艦を見つめている。
「吹雪、もしかして…」
吹雪たちの様子を見て何かを察した響は吹雪の近くに寄る。
「うん、あの深海棲艦、“面影”持ちだよ」
そう言って吹雪は目の前にいる“面影”をじっくりと観察する、背丈は一般的な軽巡くらいだろうか、青紫色のセミロングの髪をお下げにしており、鯨の絵が書かれた白いエプロンを着けている。
「ならここは台場組に任せた方がいいみたいだね、頼むよ」
「了解、私とマックスで話を聞いてくるから、響たちは三日月とここで待ってて」
「分かった」
吹雪はマックスを連れて“面影”のもとへ向かう。
「…ねぇ、“面影”とか話を聞くとか、何のこと?」
すると、台場組の事情を知らない神無月が首を傾げて三日月に聞く。
「そうですねぇ…“面影”というのは、平たく言えば深海棲艦になった艦娘…ですかね」
「はぁ!?艦娘が深海棲艦に!?どういうこと!?」
目を剥いて驚く神無月に、三日月は台場組の事情を軽く説明する。
「…そんな事ありえるの?」
「ありえますよ、現にコレが証拠です」
そう言って三日月は自分の深海痕をさらす。
「…信じられない…こんな事が…」
神無月は呆然としながら三日月の深海痕を見つめる、とここで神無月はあることに気づく。
「てことは、暁も!?」
「…やれやれ、騙し通せるかと思ったけど、ばれたか」
「どうせなら騙されときゃ良かったのに」
響と雷がそれぞれ口走る。
「知ってたの!?」
「当たり前田のクラッカーだよ、暁の艦娘化に立ち会ったのは私たちだからね」
「朝潮と神無月には知られたらめんどくさいから黙ってたのよ、だから神無月、この事は他言無用だからね、余所に
響と雷は絶対に話すな、と神無月に念を押す。
「わ、分かったわよ」
3体の勢いに気圧され、渋々了承する神無月。
「お待たせ」
すると、深海棲艦との会話を終えた吹雪とマックスが戻ってくる。
「どうでした?」
「全然だめ、何言っても答えてくれないよ」
「そうですか…なら仕方ありませんね、一度引き返しましょう」
吹雪たちは駆逐棲艦を残して台場鎮守府へ帰投する。
◇
帰投後、海原に似顔絵を渡して
「出た出た…って、ん?」
ディスプレイを見ている海原が眉をひそめる。
「どうしたんですか?」
「これを見てくれ」
そう言うと海原はディスプレイを吹雪たちの方へ向ける。
○艦娘リスト(轟沈艦)
・名前:
・艦種:潜水母艦
・クラス:大鯨型1番艦
・
・所属:横須賀鎮守府
・着任:2049年10月26日
・轟沈:2050年6月30日
「普通のリストに見えますけど…」
「て思うじゃん?問題は最後なんだよ」
「最後…?」
○備考
・建造失敗艦(四肢の一部不自由、身体能力低下)。
「…えっ?」
書かれている内容を見て、吹雪たちは一斉に疑問符を浮かべた。
今回の大鯨編は少し長くなる予定です、マックス編以上三日月編未満…になればいいな。