艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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上半身布団に巻かれた女の子が自転車の前カゴに押し込まれるって感じの内容のアニメ、2~3年前くらいに放送してたけど、あれのタイトルって何だっけ…?

…これの下書き打ってる時にずっと↑の事を考えてました、結局思い出せませんでした。


第76話「大鯨の場合11」

「すまない、出来れば大鯨救助まで手を貸したかったんだが…」

 

 

「いいっていいって、そんなの気にすんな」

 

 

次の日、舞浜組が鎮守府へ帰る日がやってきた、響たちは外泊許可の延長を考えていたようだが、さすがにこれ以上休むと他の艦娘のスケジュールにも影響してくるのでそれは叶わなかった。

 

 

「大鯨の件は進展し次第連絡入れるから」

 

 

「了解、頼んだよ」

 

名残惜しさを見せつつ、舞浜組は自分たちの鎮守府へと帰って行く。

 

 

 

「さて…と、大鯨オモチカエリ計画を実行させたいが、なにぶん敵艦の反応が無いんだよな…」

 

「こうなったらこちらから海に出向きます?」

 

 

「そうですね、暇つぶしに戦艦棲艦でも狩ってればそのうち現れるかもしれませんし」

 

 

「それはいいアイデアね、ひと狩り()っていくわよ!」

 

 

「(…てか、暇つぶしに戦艦棲艦狩れる私たちって一体…)」

 

 

台場鎮守府の数少ない常識人のハチがこっそりつぶやく。

 

 

 

 

そんな経緯もありDeep Sea Fleetは台場近海へ出撃する、出撃して数十分で敵艦に出くわした。

 

 

「敵は雷巡棲艦が5体だね」

 

 

吹雪が双眼鏡で敵艦を遠巻きに見る、まだ敵艦はこちらに気づいていないようだ。

 

 

 

「なら、あれが使えるわね」

 

 

そう言ってマックスはポケットからあるモノを取り出す。

 

 

「出よ、クーゲルシュライバー!」

 

 

「…って、ただのボールペンじゃん」

 

 

マックスが取り出したのはクーゲルシュライバー…もといボールペンだ、ちなみにクーゲルシュライバーとはドイツ語でボールペンの事だ。

 

 

「それ、マックスさんが普段使ってるボールペンですよね」

 

 

「えぇ、インクが無くなったから芯を換えようと思ったんだけど、このメーカーの作ってるボールペンが生産終了しちゃって…」

 

 

「あぁ、インクが換えられないからどうにもならなくなったのね」

 

 

「そうなのよ、だから武器として使えるようにちょっと改造を…ね」

 

 

そう言ってマックスがボールペンをノックすると…

 

 

「わっ!スパイクが飛び出した!」

 

 

インクの芯の代わりに鋭い針が飛び出した。

 

 

「うまく敵に肉薄すれば目潰しくらいには使えると思って」

 

 

「えっ!目潰し!?やりたいやりたい!」

 

 

「私もやりたいです!」

 

 

「お前らは黙ってろ」

 

 

目潰しと聞いて急にはしゃぎ出す暁と三日月に対してハチが冷静にツッコミを入れる。

 

 

そんなやりとりをしているうちに敵艦がこちらに気づいたので戦闘開始、Deep Sea Fleet全員が敵に肉薄する。

 

 

「てやあぁ!」

 

 

マックスが雷巡棲艦の砲弾を切り落としながら敵に近づき、雷巡棲艦に飛びかかる。

 

 

「ーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!」

 

 

刹那、マックスが素早く取り出したボールペンで雷巡棲艦の目を突き刺す、すると雷巡棲艦が声にならない声で悲痛な声を上げる。

 

 

「…効いてるみたいね」

 

 

目を突かれた雷巡棲艦はフラフラと左右に動く、視界が奪われてまともに動けないようだ。

 

 

「なら…!」

 

 

マックスは残りの雷巡棲艦の目を潰して移動不能にする、少なくとも雷巡棲艦は目潰しで移動を封じられることが証明された。

 

 

「今です!」

 

 

マックスが他のメンバーに攻撃の合図を出す。

 

 

「ヒャッハー!」

 

 

「死ねええええぇぇ!!!!」

 

 

残りのメンバー、特に暁と三日月が張り切って敵艦の掃討を行い、3分もしないうちに戦闘は終了した。

 

 

「意外とやるね、クーゲルシュライバー」

 

 

「戦艦棲艦とかに使ったら割と効きそうね」

 

 

「はいはいはーい!次は暁が使いたい!」

 

 

「ズルいですよ暁さん!ここは三日月に!」

 

 

「はいはい、順番ね」

 

 

我先にと暁と三日月がクーゲルシュライバーを借りたがっており、マックスがそれをどうどうとなだめている。

 

 

「…吹雪、この光景にそこはかとない異常性を感じる私はおかしいのかなぁ?」

 

 

「大丈夫だよハチ、私もハチと同意見だから」

 

 

ちなみにその後の会敵で戦艦棲艦4体、重巡棲艦3体の敵艦隊と出くわしたのだが、狂喜乱舞しながら敵の目にボールペンをねじ込んでいく暁と三日月の活躍もあり、割と簡単に勝つことが出来たのだった。

 

 

 

 

 

それから2時間後、戦艦棲艦10体、重巡棲艦20体、雷巡棲艦19体、駆逐棲艦45体を狩りまくったDeep Sea Fleetの前に、ようやく大鯨が姿を現した。

 

 

「やれやれ、ようやく会えましたね」

 

 

「早速会話を試みましょう」

 

 

吹雪と三日月が大鯨に向かって話しかけるが、何も返事を返さない。

 

 

「とりあえず、鎮守府まで連れて帰ろうか」

 

 

「そうね、オモチカエリしましょ」

 

 

試しに吹雪が大鯨の手を引いてみたところ、驚くほど簡単に牽引出来た。

 

 

「ずいぶん素直な子だね」

 

 

「…あるいは、これから自分がどうなるかなんてまるで興味を持っていないか」

 

 

ハチの言葉に全員が息をのむ、大鯨が自我をまだ持っていながらこうしてされるがままなのであれば、彼女の心は完全に壊れてしまっている。

 

 

「…絶対に助けるよ、みんな」

 

 

真剣な吹雪の言葉に、全員が大きく頷いた。




ちなみにクーゲルシュライバーは以前マックスの深海棲器のアイデアとして貰っていたものです、使い方がこれで合っているかは知りません(おい)、多分また登場します。


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