艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

85 / 231
Web版のリゼロを読みふけっていたせいで更新が遅れてしまいました(汗

大鯨と龍鳳の水着グラフィックがめちゃカワで撃沈しております、運営のTwitterに載っていたマックスの水着イラストも中々良かったです。

次は三日月の水着グラフィックを…


第83話「雪風の場合2」

「軍法会議というのはどういう事ですか!俺は何も聞いていません!」

 

 

「どういう事も何も、お前の後ろにいる連中がその原因の発端だ」

 

 

そう言って南雲は海原の後ろにいる吹雪たちを指差す。

 

 

「おっしゃっている意味がよく分かりませんが…」

 

 

そこまで言って海原はふと気づく、自分がこの部屋に入ったとき、南雲は確かにこう言った、『深海棲艦庇護』と、つまりこの男は…

 

 

 

「だってそいつらは、深海棲艦じゃないか」

 

 

Deep Sea Fleetの秘密を、知っている。

 

 

 

 

「暁…?暁なのか!?」

 

 

「ハチ!お前確か轟沈したはずじゃ…!」

 

 

いきなりDeep Sea Fleetの秘密を見破られて海原は驚きを隠せなかったが、もっと驚いていたのは暁やハチがかつて所属していた鎮守府の提督たちだ、轟沈したと思っていた部下が生きて目の前にいる、我が目を疑いたくなる光景だった。

 

 

「互いに思うことはあるでしょうが、まずはこの写真をご覧ください!」

 

 

いつの間にか場を仕切っている横須賀の佐瀬辺がプロジェクターを起動させ、スクリーンに映像を映す。

 

 

「なっ…!?」

 

 

「これは…!?」

 

 

そこには、台場鎮守府の何気ない日常が写った写真が映し出されていた、特に特筆すべき点も何もない写真だ。

 

 

 

もっとも、その吹雪たちの身体にある深海痕まで写り込んでいる、という点を除けばだが…

 

 

 

「この写真は我が横須賀鎮守府の有能な艦娘が撮影したものです、これらの身体には深海棲艦の装甲と酷似した痣のようなモノがあります、つまりあれらは深海棲艦という結論にたどり着くのです!」

 

 

普段の口調とはまるで違う、どこぞの有権者のような話し方で饒舌(じょうぜつ)に語ってみせる佐瀬辺、しかしそこで意義を唱えたのは大湊鎮守府の提督である。

 

 

「その考えは飛躍しすぎじゃないのか?そいつらはどう見ても艦娘の姿をしてるぞ、深海棲艦の装甲と同じような痣があったとしても100%深海棲艦だと決めつけるのは尚早だ」

 

 

「なら、真偽のほどは当事者に話して貰おうではありませんか」

 

 

佐瀬辺はそう言って海原にビシッと一差しを突きつける。

 

 

「洗いざらい話して貰うぞ、海原」

 

 

「何でお前が仕切ってんだよ、上から目線で言われたくねぇわクソが」

 

 

一気に胸くそが悪くなった海原は佐瀬辺に悪態をつく。

 

 

「口の効き方がなってねぇみたいだな~?お前は深海棲艦を匿っている罪でここにいるんだ、拒否権なんて無いと思えよ?」

 

 

いつの間にか容疑者から被告人になっていることに若干のイラつきを覚える、しかしDeep Sea Fleetが混血艦(ハーフ)である事を秘密裏にしていたのも事実なので、佐瀬辺に強気で返すことも出来なかった。

 

 

「…はぁ、分かったよ、話してやるから俺に土下座して感謝しろ」

 

 

「図に乗ってんじゃねぇよ艦娘殺し、とっとと話せ」

 

 

相変わらずの上から目線にさらにイラつくが、ここは大人の対応で受け流し、海原は吹雪に出会ってから今までのことを軽く説明する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…つまり、そいつらは深海棲艦と艦娘の混血艦(ハーフ)で、今後の深海棲艦の貴重な情報源として残すべき…というのがお前の言い分なんだな?」

 

 

「そう言うことだ、分かったらとっとと帰らせてくれ」

 

 

海原がダルそうに言うと、周りの提督連中が驚きの声でざわつく、今の海原の話はこれまでの深海棲艦に対する常識を覆す内容だ、驚くのも当然と言えよう。

 

 

しかし佐瀬辺はそんな周りの空気を無視して仰々しい態度で南雲に向き直る。

 

 

「どうですか元帥!海原はこのような危険因子を秘密裏に匿っていたのです!これは即刻解体処分にさせるべきかと思います」

 

 

 

「はぁ!?テメェ何寝ぼけたこと抜かしてやがる!」

 

 

佐瀬辺がとんでもないことをほざくので海原が声を荒げる。

 

 

「だってそうだろう?深海棲艦と艦娘の混血艦(ハーフ)と言うことは、深海棲艦としての思想も持っているという事だ、いつ深海側に寝返って我々に牙を剥くか分かったもんじゃないからな」

 

 

「テメェもういっぺん言ってみろ!」

 

 

とうとう堪忍袋の緒が切れた海原が佐瀬辺の胸ぐらを掴んで突き上げる。

 

 

「吹雪たちはちゃんとした艦娘だ!確かに深海棲艦だったときもあったが、今は艦娘だ!」

 

 

「それは分かんねぇだろ?艦娘のフリをして我々人間を皆殺しにする機会を伺ってるかも…」

 

 

「黙れ!」

 

 

 

「双方落ち着けぇい!」

 

 

すると、南雲が互いを仲裁させるために声を荒げて言う。

 

 

 

「互いの言い分は分かった、佐瀬辺くんはこの混血艦(ハーフ)の艦娘を危険なので解体処分にするべき、海原は深海棲艦の貴重な情報源として確保しておくべき…と言うことだな?」

 

 

 

南雲がそう言うと、佐瀬辺と海原が互いに頷く。

 

 

「…榊原所長はどう思う?」

 

 

南雲が榊原の方を意見を聞こうとそちらを見やる。

 

 

「ここは解体処分でしょう所長!こんな危険な存在を野放しにはしておけません!」

 

 

 

佐瀬辺は榊原を丸め込もうとアピールを繰り返す、なぜこんなに必死になっているかというと、艦娘の建造や解体など、艦娘に関する権限は全て造船所に帰属されるからだ。

 

 

例えばこの状況を例に取ると、南雲を含む提督たちが満場一致で吹雪たちの解体に賛成しても、造船所がそれを拒否すれば解体は出来ない、建造も解体も造船所でしか行えないのである意味当然と言える。

 

 

 

しかしそのシステムに意義を唱える提督も少なくなく、艦娘技術の詳細を開示して各鎮守府毎に建造や解体を行えるようにするべきだという意見もある。

 

 

しかしそれを行うことは絶対に出来ない、艦娘の素材は人間の死体だ、当然数には限りがあるから無尽蔵に建造し続けることは出来ないし、この情報を開示してしまえば提督たちが生きている人間を素材の徴収と称して殺し集めかねない。

 

 

提督たちは造船所を艦娘を建造するための体の良い道具屋のように考えているが、実際は誰よりも権限も立場も上なのだ。

 

 

「そうですねぇ、確かに佐瀬辺提督のいうことも一理ありますが、深海棲艦の貴重な情報源を解体するのは愚考…というのが造船所の考えです」

 

 

「つまり、これらの解体処分は出来ない…と」

 

 

 

「そうなりますね」

 

 

榊原の答えを聞くと、佐瀬辺は心底悔しそうに歯ぎしりをする、そう言えば佐瀬辺や南雲はなぜあんなにも悔しがっているのだろうか?深海棲艦を倒し戦争を終わらせるのであれば吹雪たちほど有用な材料は無いだろうに…。

 

 

「そうか、なら…」

 

 

榊原の返答を聞くと、南雲はしばしの間熟考し、言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「台場鎮守府の艦娘全員を、こちらで雷撃処分する」




雪風の深海棲艦のアイデアですが、早速色々なネタを頂きました、ありがとうございます!皆さん本当に武器の知識が豊富で脱帽です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。