艦隊これくしょんーDeep Sea Fleetー   作:きいこ

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今回は演習編です。




第9話「暁の場合3」

海原たちが舞浜に来て第6駆逐隊と話をしてから2日後、今度は響たちが台場鎮守府にやってきた。

 

 

「司令官に無理を言って3泊4日の外泊許可を貰ってきた、これで多少は時間とチャンスを作れるハズだよ」

 

 

そう言って響は舞浜の提督に発行してもらった外泊許可証を見せる。

 

 

「よし、ならあとは暁が現れるのを待つだけだな」

 

 

「そうは言いますけど、そう都合よく現れてくれるでしょうか?」

 

 

「来ないなら、来るまで待とう、暁さん、ですよ」

 

 

吹雪の疑問にハチが本で読んだ詩のもじりで答える、要は根気勝負だ。

 

「ヒマなら訓練でもしてきたらどうだ?せっかく余所の艦娘もいるんだし」

 

 

「それもそうですね、じゃあハチ、訓練所行こう」

 

 

「はい、今日も頑張りましょう」

 

 

「私たちもついて行っていいかい?吹雪たちの訓練を見学させてもらいたい」

 

 

「せっかくだから一緒に参加しましょうよ!演習みたいで楽しそうだし!」

 

 

「はいなのです!」

 

 

吹雪はハチと第6駆逐隊を引き連れ、いつもの訓練所へと向かっていく。

 

 

 

 

訓練所に着いた吹雪たちは台場艦隊と舞浜艦隊とで向かい合って立っていた。

 

 

「それではこれより、台場艦隊対舞浜艦隊との対艦演習を始めます!」

 

 

雷がフィールドの中央でそれっぽい雰囲気で声を上げる、せっかく余所の艦娘がいるのだからと響が演習を提案したのだ。

 

 

「ルールは一般的な模擬戦闘のルールとし、大破判定が出た時点で戦闘から脱落となります、どちらかが全滅するか制限時間になった時点で終了となります」

 

 

雷がいつもより真面目な口調でルールを説明していく、今回の演習は最もスタンダードな模擬戦闘という形式を取っている。

 

 

艦娘の艤装には演習用のトレーニングモードが存在し、受けたダメージにより小破、中破、大破の判定がランプで表示される、大破判定になると警告ブザーが鳴り、戦闘から抜けなければいけない。

 

 

ちなみに演習で使う弾丸や魚雷は艦娘に傷を付けない特別なモノとなっており、艤装のダメージ判定にのみ影響する。

 

 

「それでは、演習開始!」

 

 

○台場艦隊

 

・駆逐艦 吹雪 Lv.72

 

・潜水艦 伊8 Lv.69

 

VS

 

○舞浜艦隊

 

・駆逐艦 響 Lv.62

 

・駆逐艦 電 Lv.58

 

 

 

訓練所の電光掲示板には互いの艦娘名と練度(レベル)、ダメージの度合いが分かる簡易的なゲージが表示される。

 

 

「嘘っ!?台場のふたり練度(レベル)高っ!」

 

 

吹雪とハチの練度(レベル)が思った以上に高かったため、雷は驚きの表情を浮かべる。

 

 

「そいやっ!」

 

 

「ていーっ!」

 

 

先手必勝、と言わんばかりに響と電が砲撃を開始する。

 

 

「甘いっ!」

 

 

しかし、吹雪とハチはその砲撃をいとも簡単にかわして見せ、響たちに向かって猛スピードで肉薄する。

 

 

「何っ!?」

 

 

「接近!?」

 

 

響は近付けさせまいと吹雪に向けて弾丸を次々連射していく。

 

 

「なのです!」

 

 

電も負けじと弾丸を射出、ハチを狙い撃ちする。

 

 

しかしふたりがいくら撃っても吹雪とハチはダンスを踊るような軽やかさでその全てをかわしてしまう。

 

 

「…すごいな」

 

 

練度(レベル)以上の力量を感じるのです…」

 

 

響と電はすでにふたりがただ者ではないことを感じ取っていた、深海棲艦との混血艦(ハーフ)という特異点を抜きにしてもこのふたりは強い、向かい合っただけでそれがありありと伝わってくる。

 

 

「たぁっ!」

 

 

吹雪が再び砲撃を開始、それに気付いた響が自身も砲撃を行い砲弾を相殺する、爆発音と共に正面が硝煙で覆われて視界が塞がれる。

 

 

「これじゃあ狙いが…!」

 

 

体制を立て直そうと響が後ろに下がろうとする。

 

 

「っ!?」

 

 

刹那、最高速力で加速した吹雪が硝煙を突き破り響の目の前まで近づいてきた。

 

 

「しまっ…!」

 

 

響が慌てて後退しようとするが、吹雪に腕を掴まれて身動きがとれなくなっていた。

 

 

「魚雷全弾発射用意…」

 

 

「っ!?」

 

 

魚雷発射管を全てこちらに向けながらそう呟く吹雪を見て響は顔を青ざめさせる、零距離からの魚雷一斉射出など食らおうモノなら一撃で大破は免れない。

 

 

「発射!」

 

 

吹雪の合図と共に全ての発射管から魚雷が射出され、響を直撃して大爆発を起こす。

 

 

その数秒後、響の大破判定を告げるアラートが鳴り響いた。

 

 

「…まずはひとり」

 

 

大破状態でへたり込む響を見下ろしながら、“小破”判定を受けた吹雪は不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

「ホントにナニモノよあの子…」

 

 

自爆技で響を戦闘不能にさせた吹雪を見て雷は戦慄する。

 

 

「自分も大破するかもしれないのに何のためらいもなく自爆技なんて…」

 

 

そこまで呟いて雷はハッとする。

 

 

「違う…“分かってたんだ”、魚雷一斉射出じゃ自分は大破しないって、じゃあ吹雪は駆逐艦の通常砲撃じゃ小破未満(カスダメ)で済むほどの防御力があるって事なの…?」

 

 

もしそうであれば物凄い事だ、駆逐艦の艦娘は駆逐棲艦の攻撃でも中破にさせられる…なんてことはザラにある、なのにそれを小破未満(カスダメ)で済んでしまうというのは革命的ともいえる事だ。

 

 

「…これが、混血艦(ハーフ)の力」

 

 

雷は無意識にゴクリと生唾を飲み込んでいた。

 

 

 

 

「…マズいですね」

 

 

電は確実にハチに追いつめられていた、本来駆逐艦は潜水艦に対して優位に立てる艦種である、それは戦艦や重巡洋艦などと違い、駆逐艦や軽巡洋艦は対潜水艦用装備…対潜装備を持つことが出来るからだ。

 

 

しかしハチは、そんな電の対潜攻撃をモノともせず水中を縦横無尽に泳ぎ回り電に雷撃を撃ち出している。

 

 

「でも、これなら!」

 

 

電はその場でくるりと回り、爆雷を360度まんべんなく投射する。

 

 

 

その直後、電を取り囲むように破裂音と共に水柱が上がる。

 

 

「これならどれかには当たるはず…」

 

 

そう呟いて電は警戒態勢を取る。

 

 

「残念でしたね」

 

 

刹那、電の背後で聞き慣れた声がする。

 

 

「っ!?」

 

 

「爆雷で私を仕留められるなんて思ってたんですか?だとしたら随分とナメられたものです」

 

 

振り向いた電が見たのは、大量の魚雷を構え、拳銃の銃口をこちらに向けているハチの姿だった。

 

 

発射(シュート)

 

 

その直後、魚雷と弾丸のダメージを受けた電の大破判定を知らせるアラートが聞こえた。

 

 

「…演習結果、台場艦隊の勝利」

 

 

その様子を見ていた雷は、呆然と立ち尽くすだけだった。




はっちゃんが建造できた!


…という夢を見ました。
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