コードギアス 反逆のルルーシュ ~全ての命に祝福を~ 作:あーさぁ
Phase12
艦から脱出したルルーシュとカイトの二人は、新たにルルーシュの"力"を用いて2機のサザーランドを奪い帰路に着いていた。撤退を始めているブリタニア軍が居る地上ではなく、地下鉄を通って。その途中、何も言わないカイトへ業を煮やしたのか、ルルーシュから通信が入る。
『──何も聞かないのか?』
その質問が出た根拠は、奇妙であったからだ。ルルーシュがブリタニアの皇子であったことを含めて、傍らで話の一部始終を聞いていたはずのカイトは何も聞いてこない。それが、あまりにも不気味だった。
「ああ、あいにくと俺は他人の家庭事情に首を突っ込むほど空気読めない奴じゃないんでね。ルルーシュがどうしても聞いてほしいなら聞くけど?」
『────お前──』
おそらく通信機の向こうで、ルルーシュは苦笑を浮かべているだろう。神聖ブリタニア帝国の皇位を巡る覇権争いを"家庭事情"と吐き捨て、さらには気にしている様子さえ見せない相手──その気遣いに対してルルーシュは、胸中だけで感謝を述べる。
「そんなことよりもさルルーシュ、お前これからどうする?」
『もう後戻りはできない、俺は正体を隠したままブリタニアと戦うさ──』
「そっか、一応、聞いておくけどウチに来る気h『ない』──あ、そう」
「ちぇー」と冗談めかして口を尖らせるカイトだったが本心からのものではない、理由はルルーシュの立場上の問題を理解していたから。皇子である前に彼はブリタニア人だ、日本人が構成員の多数を占めるテロリストとは相容れない。陽の当たる表の世界はもちろん、影で活動する裏の世界にも国境の差、差別はある。
「お前が居ると心強いんだけどな──」
『それはサザーランドを現地調達できるからか?』
「──あ、バレてた?」
『──当たり前だ』
通信機越しに笑い合う二人、それは友人同士が他愛のない話で盛り上がっているだけのように見えるが──ハタから聞けば、とても物騒な話題だという自覚はあるのだろうか?
「あ、そうだ、あと女の子。悪いな、任せちまって」
『いいさ、どうせ俺も聞きたいことが山ほどあったからな。この"力"のことや、"契約"の事とかな──』
二人が言っているのは、毒ガス装置と思っていたモノの中から出てきた拘束衣の少女のこと。本陣侵入前に地下へ置き去りにしており、コトが終わった後に回収してからもいまだに意識を戻さない彼女は今、ルルーシュが駆るサザーランドに乗せられている。
というのも、この少女が二人へ"力"を与えたことは明白だが何の説明もない、加えて"契約"という言葉も出たが明確には言われていない。つまりは、不明瞭な点が多過ぎるのだ。故に、捨て置くことはできなかった。
意識を取り戻すのを待ち話をする必要がある、というのは二人の共通見解だったのだが──では二人のうち、どちらが保護するかという話になった。
その結果は、意外にもルルーシュが自ら引き取ると申し出てきた。理由はルルーシュの言もあるが、実はカイトの家は家族が居るというのが決め手だった。
『俺には家族と呼べる者は一人しかいない、家政婦が一人居るがな。これはまぁ、どうとでもなる。だからカイト、お前が気に病む必要はない』
「そう言ってもらえると助かる。でも"契約"とかは俺も関わってるからさ、その娘が気付いたら連絡して欲しい──あ、これが俺の番号な」
そう言ってカイトがコンソールを叩くと、数分ほどで彼のポケットの中の携帯電話が震えた。おそらく、ルルーシュが自分の番号を教えるために折り返しコールしてくれたのだろう。
『それが俺の番号だ、この女が起きれば連絡する。それと、分かっているとは思うが──」
「無駄に連絡してくるな、だろ。あの時みたいにならないように、さ」
「ああ、そうだ、理解が早くて助かる──最後の一言は余計だがな」
そこで会話は途切れ、二人のコックピットにはサザーランドの駆動音しか聞こえなくなる。その数分後には、駆動音さえ聞こえなくなった。理由はもちろん、二人のサザーランドが止まったからだ。
坑道のような地下鉄は今まで一本道だったが、サザーランドの進行方向は二つに別れている。そのトンネルの片方は租界の中心方面、もう片方は租界とゲットーの境界エリア付近へと続いている。
「俺はこっちだ、サザーランド置いてかなきゃいけないんでね」
『そうか──カイト、お互い生きていれば、また会おう』
「ああ、またな、ルルーシュ──」
ルルーシュがサザーランドを向けたのは、租界中心部へと続くトンネル。対してカイトがサザーランドを向けたのは、租界とゲットーの境界エリアへ続くトンネル。
──その言葉を最後に
──二人はサザーランドを走らせる
──別々の暗闇へと
──振り返ることなく
───
──────
─────────
と、いうのが数日前の話。
そんな二人の別れから数日が経った今、場所は租界にあるブリタニア人が数多く通うアッシュフォード学園の生徒会室。
「はいはーい、この二人が新しく生徒会へ入ることになったシュタットフェルト兄妹でーッす。みんな、仲良くしてあげてね──ッ!!」
アッシュフォード学園の生徒会長であるミレイ=アッシュフォードが、勢いよく生徒会室の扉を開け放ちサムズアップ。なんともハイテンションかつ唐突すぎる登場、加えて見知らぬ誰かを連れてくるというサプライズに生徒会室に居た面々は反応できない。
ブリザードのように凍った雰囲気の生徒会室、そんな中、他のメンバーとは明らかに違う、なんとも険しい表情をしている二人が居た。
「────────」
──露骨に目を反らすカイトと
「────────」
──明らかに不機嫌そうなルルーシュ
無駄な連絡はするな、云々。
生きていればまた、云々。
それなりに綺麗に別れたはずの二人は数日後、特に何の前触れもなく再会することとなった。特にルルーシュに至っては、背後からドス黒いオーラのようなモノを立ち昇らせている。
──示し会わせたわけでもなく
──二人は先ほどまでの表情を一瞬で取り繕うと
──絞り出すような一言を発した
「「──ハジメマシテ──」」
──と
~scene out~