コードギアス 反逆のルルーシュ ~全ての命に祝福を~   作:あーさぁ

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学園ほのぼの回、前回までの血生臭さは微塵もなし!
あと、このあたりから独自性が強くなるかも…



Phase13

 

「あー、3年のカイト=シュタットフェルト、です──始業式の後から、ちょっと事情があって登校できなかったんだけど──」

 

 ミレイに生徒会室へと連行されてから数分、とりあえず自己紹介でもやっておけと言われたので部屋に居た者達へ向けて当たり障りのないことを並べていく。だが、彼には秘密にしておかなければならないことがいくつかある。

 まず第一に、自分がテロリストであること。

 二つ目に妹のこと。具体的に言えば本性、そして彼と同じくテロリストであること。

 そして最も重要な三つ目、それはルルーシュと関わりを持っていること。

 この三つは何が何でも秘密にしなければならない。

 その他大勢には特に制約はない、この三つ全て明かさなければいい。ただ妹であるカレンには、自分がルルーシュとすでに顔見知りであることは絶対に秘密だ。先の謎の声がルルーシュである、というのがバレてしまう可能性があるから。

 

「──ってなワケで、まぁ、よろしく頼むわ」

 

「よ、よろしくお願いします──」

 

「よろしく、カレン。カイトせーんぱい」

 

 自己紹介が終わるや否やカイトへ握手を求めてくる青髪の青年、その手を握り返すと人懐っこい笑みを浮かべる彼の名は──

 

「俺はリヴァル=カルデモンド、生徒会書記っす。あ、カレンは同じクラスだよね、俺のこと分かる? あーっと、分からないことがあったら何でも聞いて下さいね」

 

 握手するカイトを尻目にカレンの口元には苦笑が浮かんでいる、あまりこういう会話に慣れていないのだろう。

 ところで、友好の証として握手しているはずのカイトの様子がおかしいのは何故だろうか。何がおかしいのかと言われると、笑っているようにも見えるが目が笑っていないのだが──

 

(カレンに色目使ってんじゃねぇ、このモブ夫──)

 

 はて、どこかで誰かの心の声が聞こえた気がするが──気のせいだろう。

 ああ、そんな二人の内情をヨソに、リヴァルと名乗る青年と入れ替わりに二人の少女が近付いてきた。

 

「私、シャーリー=フェネットです。水泳部と掛け持ちですけど、よろしくお願いします」

 

「ニーナ=アインシュタインです、よ、よろしく──」

 

 茜色の長い髪の少女と、眼鏡を掛けた少女の二人だ。

 シャーリーと名乗った娘は笑顔で二人を見比べる、その表情は感心するような、嘆息するような、どこか呆としたモノなのは何故だ?

 対してニーナと名乗る少女は、どこか腰が引けているようにも見える。そこまで強面ではないカイトと、"猫を被った"カレンを恐れているのだろうか?

 そして、他のメンバーに連れられ、最後に二人と対面したのは──

 

「ルルーシュ=ランペルージ、まだ2年ですが副会長をやらせてもらってます──よろしく」

 

 カレンへ微笑みかけた後、ルルーシュはリヴァルと同じようにカイトへ握手を求めてくる。シンジュクゲットーで見たどの表情にも当てはまらない、穏やかな表情。

 

「ああ、よろし、く──?」

 

 カイトが手を握り返すと人の手とは違う感触に彼は眉を潜めた、その感触の正体は紙だ──それに気付くと同時にカイトは胸中へ嫌な予感、背中に悪寒を感じる。しかし、だからといって受け取らないワケにはいかないだろう。カイトは受け取った紙を、ポケットに手を入れるフリをして収めた。

 

「はーいはい、それじゃ人も増えたことだし、始業まで時間もある──となれば、みんな揃ってお仕事ターイムッ!!」

 

 お互いの自己紹介が終わったのを見計らって、ミレイが全員へ向けて声を上げた。いつの間に用意したのだろうか、生徒会室の長机には所狭しと書類が広げられている。

 

「はぁ? 集合は聞いてましたけど、仕事って──」

 

 リヴァルが机上の書類を持ち上げると、「うげっ」と露骨に顔をしかめた。それに習い他の面々も続々と書類を見るが、その表情が明るい者は一人もいない。

 

(部費? ああ、予算審査ってやつか──)

 

 書類の活字を追っていたカイトが納得したように苦笑する、それぞれの紙には馬術部、科学研究部、水泳部などを始めとした部活名が明記されており、その下には活動に必要な物品やイベントなど多岐に渡る申請項目と数字の羅列が並べられている。

 

「会長、なんで今コレを──?」

 

 はぁ、とこれ見よがしに溜め息を吐くルルーシュ。非難するとまではいかないが、どこかジト目でミレイへ視線をやると──ミレイはルルーシュと目を合わせないまま「にゃはは」と愛想笑い、その後、歯切れ悪くボソボソっと呟いた。

 

「"それ"、締め切り今日だったニャン」

 

「──締め切り当日に思い出したわけですか?」

 

 にっこり、とルルーシュが微笑む。先のカイトの一件もあり内心には鬱憤が溜まっているのだろう、明確には出さないものの静かな怒気が彼から立ち昇っている。

 その静かな威圧を受けたミレイは「うっ」と言葉を詰まらせ、観念したかのように両手を合わせ──

 

「だから、お願いッ!! 手伝って下さいッ!!」

 

 合唱、そして平謝り。生徒会長であり学園では年長にあたる3年が後輩である面々へ頭を下げる光景は、何というか──とてもシュールだ。しかし、各々は溜め息を吐いたり苦笑を浮かべた後、長机へと着き1枚ずつ書類へと目を通していく。

 

「──えっと、教えてくれれば手伝うけど──」

 

 各々が審査を始めた生徒会室、手持ち無沙汰なカイトとカレンだったが──先に動いたのは、カレンだった。彼女が向かったのは、書類とにらめっこしていたシャーリー。クラスメイトということと同性であり、話しかけやすかったのだろう。

 

「あ、じゃあ俺が──」

 

 が、そこでモブ夫、もとい──リヴァルが立ち上がり二人の会話へ入り込もうとするが──

 

「リヴァル君、俺にも教えてくれない?」

 

 いつの間に移動したのか、カイトがブロックに入った。おまけに、リヴァルからカレンとシャーリーが見えない立ち位置で。「お、おぅ」と体を仰け反らせるリヴァル、それはカイトの雰囲気によるものか、出鼻を挫かれたせいなのかは定かではない。

 

 「えっと、じゃあ──」

 

 それから軽い説明を受け、カイトとカレンはメンバーと共に書類とにらめっこを始めた。

 カイトとカレンの二人は最初の頃リヴァルやミレイへ手伝ってもらっていたものの、数分ほど処理し続けたことによって慣れたのかテキパキと書類を片付けていく。なんとも飲み込みが早い、と他のメンバーは感心した様子。そんな中、ルルーシュだけは別のことを考えていた。

 

(カイトが同じ学園に居たというのも驚きだが、妹だというあの女。あいつはトラックの中で見たテロリストの女だ、間違いない。あの時の違和感の正体はコレだったか。となれば、色々とややこしい事態になるな。明かしてはならないことは、まず俺とカイトの関係、指示を与えていたのが俺だということ、それから──えぇい、面倒事を増やしてくれるな──ッ!!)

 

 彼は無表情を装ったまま手元の書類へ視線を落とし、思考に没頭する。秘匿しなければならない事、その関連性、やらなければいけないこと、万が一に備えての保険。考えても考えても出てくる問題、疑問をルルーシュは頭の中だけで処理し続けた。

 その代償として、手が動いていない。顔は伏せている。だから見えない、目の前で書類をクルクルと巻き棒を作るミレイのことが──

 

「こォら、ルルーシュ、いま寝てたでしょ──」

 

「──ッ──だからって叩かないで下さい」

 

 パコパコと紙で作られた棒を使いルルーシュの頭を叩くミレイ、どうやら彼女は顔を伏せ思考に耽っていたルルーシュが居眠りをしていたのだと勘違いしたらしい。

 その光景を眺めるメンバー達は黙々と作業を続けていた反動か、ぽつぽつと二人の会話へ参加し始める。

 

「俺を置き去りにした罰だって──」

 

「そうそう、何やってたのよ昨日──」

 

 置き去りにした、とはリヴァルの弁。そのせいでルルーシュはテロに巻き込まれ"全て"が始まったのは、カイトしか知らない。

 次いで頬を膨らませたのはシャーリーだ。そういえば確認のために電話したな、と今さらながらにルルーシュは思い出す。

 

「─────あ、あぁ──」

 

 さて、どう答えるべきか、とルルーシュが悩むも──

 

「はいはいはい、話を脱線させないの。もう半分くらい終わってるんだから、スパートかけて、ちゃっちゃと終わらせましょ」

 

 ミレイによって、話題が逸れた。ルルーシュにとっては、むしろ助け船だったわけだが。

 

「そうだよねぇ、また馬術部に突入されるとか勘弁ですよ──」

 

「い、嫌なこと思い出させないでよね──」

 

 リヴァルが冗談っぽく笑うが、それに対し露骨に顔をしかめるミレイ。それにしても馬術部が生徒会室へ突入とは、なんとも穏やかではない話である。その現場に遭遇しなかったことに、カイトはホッとした様子を見せ、カレンは苦笑を浮かべている。

 

「せめて、もう1日早く思い出してくれれば良かったんですよー」

 

「もう1日遅く、が正解。諦めがつく」

 

「いい考えだ、今からでも──」

 

 もはや話は脱線に脱線を重ね、とうとう話題が根本的なところ、つまり全てミレイが悪いという流れになりつつある。その空気を察してか、ミレイは突如として──

 

「──ガァァァッツ!!」

 

 と、雄叫びを上げた。そんな奇行にカイトとカレンを含めたメンバー全員の肩がビクッと跳ねた。その微妙な雰囲気のなか、恐る恐るといった様子でリヴァルが一言。

 

「またガッツの魔法ですか?」

 

「はーい、あなた方は頑張りたくなりまーす」

 

「かかりませんよ、そんなインチキ魔法じゃ──」

 

 ルルーシュが言うことは、もっともだ。人に何かを願う上で必要なのは魔法ではない、心か金、またはそれに見合う何かである──とはいえ、いまミレイが言う魔法とは冗談の類いだ。

 

「会長、私かかったことにしまーす」

 

 冗談には冗談で、というわけではないだろうが、挙手して明るく応えたのはシャーリーだ。

 

「うん、肉体派は素直でよろしい」

 

 ようやく自分の冗談にノッてくれる仲間ができたせいか、ミレイは嬉しそうだ。もっとも運動系の部活をしている=肉体派という方程式などないし、誉め言葉なのかは甚だ疑問だが──

 

「鍛えてるって言ってくれないと──」

 

 何故かドヤ顔なシャーリー、もはや会話が迷子である。

 

「──そうじゃなくてさぁ、立派じゃん? この間、女子寮のバスルームで確かめた。トップとアンダーのバランスがいいよねぇ」

 

 が、そこでミレイは意味深に微笑む。いや、ニヤニヤという表現のほうが正しいかもしれない。その視線の先は、シャーリーの胸元へ注がれている──先ほどの言葉、視線の先、つまりは、そういうことである。

 余談ではあるが、そんなメンバーの会話を黙って聞いていたカイトが、ふと視線をカレンへ向けていたのを見逃してはいけない。もちろん、彼の視線の先にあるのは2つのメロn

 

「─────なに、兄さん?」

 

「──ッ──いや、別に?」

 

 しかし、にっこりと微笑むカレンの殺気に気付きカイトは露骨に視線を逸らした。危ない、あと数秒でも視線を逸らすのが遅れていたら間違いなく殺(や)られていた。

 

「な、なに言ってるんですか、ヘンタイッ!!」

 

──そんなシャーリーの罵声を皮切りに

 

──生徒会室からは笑い声が漏れる

 

──さぁ、騒がしい1日の始まりだ

 

 

 

~scene out~

 

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