コードギアス 反逆のルルーシュ ~全ての命に祝福を~   作:あーさぁ

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Phase14

 

 「よっ、お待たせ──」

 

 昼休み、学園の屋上を訪れたカイトは待ち人へ片手を挙げる。しかし、待ち人であるはずのルルーシュはそれに応えることはなく、ただただ冷めた瞳をもってカイトを見つめてきた。

 朝、生徒会室でルルーシュから手渡された紙に書いてあった一文、『昼休みに屋上へ来い』という指示に従って上がってきたカイトは予想通りな相手の反応に溜め息を吐く。何やら、とても面倒なことになりそうだという予感があったのだろう。

 

「さぁ、話してもらうぞ、色々とな──」

 

「どっから話したもんかねぇ──何から聞きたい?」

 

「──この学園に居たのは偶然か?」

 

「ああ、偶然だ。始めからこの学園の生徒だ、妹もな──」

 

 カイトの言動から真偽を見定めようとしているのか、ルルーシュは動かない。深読みし過ぎているのではないか、とカイトの胸中へ不安がよぎる。まだ知り合って間もないが、カイトはルルーシュの性格、能力を異質なものを感じているから。

 

("力"のこともあるけど、ルルーシュって頭良いからな。考えまくって、ヘンな言い掛かりつけられそうだな──けど証拠もない、学園の連中にはバレてない、カレンもルルーシュを全く疑ってない。大丈夫だとは思うけど、ちょっと心配だな)

 

 そんなカイトの推測通り、ルルーシュは彼の言葉を噛み砕いた上で現在の状況を整理すべく思考し始めていた。

 

(まだ完全にクリアしたわけではないが、学園の状況や生徒達の反応から察するに、おそらく嘘は吐いていないだろう。この結果が奴の言う通り偶然によるものだとすれば、出来すぎな気もするが、表立った俺達の関係は学園の生徒同士であり、生徒会メンバーとなる。つまり、今回のように学園や外で密会していたり、電話をしていても何ら不自然ではない。しかし──)

 

 ルルーシュが懸念するのは、自分の正体と目的の露見。彼がブリタニア帝国の皇子であること、ブリタニア帝国へ反旗を翻そうとしていることが露呈することである。

 しかし、カイトが情報を漏らしていないと仮定するならば、この状況、そして関係は決してマイナスではないとルルーシュは考えている。デメリット、不安要素を挙げるならば、彼のテロリスト仲間であり家族である妹、カレンの存在だろう。彼女はシンジュクで会話した謎の声がルルーシュであることを知らない、加えて"力"とも無関係だ。だが、秘密に近い位置に居るのは確かな事実である。

 

「妹には、どこまで話している?」

 

「カレンか? いや、まったく話してないよ。ただ仲間の追求がキツかったから、謎の声が最初にコンタクトを取ってきたのは俺ってことにしといた。あとは何も喋ってない、もちろん"力"のことも、な」

 

「──────そうか」

 

 あくまでカイトが嘘を吐いないと仮定すれば、だが──テロリスト達へ与えた情報は最小限、妹も同程度の情報しか与えていない。加えて"力"については誰にも話していない。これらの話を総合した結果、ルルーシュは問題ないという結論に達した。

 信頼ではなく、あくまでルルーシュの理論に基づき導き出した結論である──もしカイトが少しでも怪しい動きを見せれば、彼は容赦なく処理するか、切り捨てるだろう。

 

「分かった、今回の件については保留しよう。もちろん互いの素性、"力"については絶対に秘密とした上でな」

 

「最初からそのつもりだよ、俺はね──」

 

 どこか含みがあるようにも感じられるが、ルルーシュは特に追求しない。これで話は終わりだ、とばかりに足早で屋上を後にしようと歩を進めるルルーシュ。しかし、カイトを横切ろうとした瞬間、彼が小さな声で呟く。

 

「そういえば俺の"力"、少し分かってきたよ──」

 

「───ッ──」

 

「今回の件で少し信用されてないみたいだし、代わりに俺のことを教えるよ──俺の"力"には、できることが2つあった。一つ目はお前も知ってる通り、電子機器に触れるとその情報を読み取れること。そして二つ目は、"デバイス"を介さず電子機器へアクセスすることができる"ってこと」

 

「──"デバイスを介さず"というのは?」

 

「言葉の通りさ、例えばパソコンへ文字を入力する時はキーボードを使うだろ? だが俺は、パソコンへ触れて入力したい単語を考えるだけで、勝手にパソコンへ文字が入力されてくんだ」

 

「パソコンがお前をデバイスと認識していたのか?」

 

「いや、マネージャーを見たけど認識してなかった。原理は分からないし、影響も分からない、今はまだ色々と検証中──とりあえず、そんなもんだ」

 

 そこで、カイトは踵を返しルルーシュよりも先に学園の屋上と屋内を繋ぐ扉へと向かっていく。その背中を眺めていたルルーシュだが、ふと彼が顔だけ振り返ったのを見て眉根を寄せる。

 

「そうそう、これだけは言っとく。俺はお前をどうこうするつもりはないし、無駄に秘密をバラしたりしない。俺のことが信用できないなら、それで構わない。けど──」

 

──空気がザワつき、周囲の温度が下がったような錯覚

 

──その震源地は、顔だけ振り向いたカイト

 

──瞳に宿るのは敵意と殺意

 

 溢れてくる激情、漏れ出す殺意、それらを受けて一瞬だがルルーシュの体が強張る。数メートルの距離があり、背を向けているのはカイト──なのに、ルルーシュは自身の首筋へ刃を当てられているような感覚に陥った。

 

「妹に、カレンには手を出すな──」

 

──ゆっくりとドアを開け

 

──その向こうへと消えていくカイト

 

──扉が閉まる瞬間、確かに聞こえた

 

──警告と、呪いの言葉

 

 

 

 

「もし守らなかった場合──俺は、お前を殺す」

 

 

 

 

──その言葉を最後に屋上を後にするカイト

 

──ルルーシュは体を硬直させ彼を見送る

 

──その時、どこか遠くで

 

──始業を告げる鐘の音が響いたような気がした

 

 

 

 

~scene out~

 

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