コードギアス 反逆のルルーシュ ~全ての命に祝福を~   作:あーさぁ

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Phase15

 

「ここで合ってる、よな?」

 

「うん、たぶん──」

 

 退屈な授業も終わり、放課後。学園の一角へ建てられたクラブハウスを見上げるカイトとカレン。なぜ二人がクラブハウスの前で、このような場所に居るのかというと──話は十数分前に遡る。

 授業も全て終わった二人は帰宅しようと学園の出入口で待ち合わせていた。なぜ一緒に下校するのかというと、"カレンは病弱"という設定で入学したため怪しい目で見られないため共に下校するのを常としていたからだ。

 そして今日もまた、共に帰宅しようとし学園の出入口で合流したカイトとカレン。お互い特に予定はなかったので、そのまま帰宅しようかと思った矢先──不吉な校内放送を聞いてしまった。

 アッシュフォード学園生徒会長、ミレイによる『シュタットフェルト兄妹はクラブハウスへしゅーごーッ!!』という間の抜けた声だ。二人とも嫌な予感がしつつも、会長命令なら仕方ないと諦め二人はクラブハウスを訪れたワケである。

 

「何だろ、新人の試練的なやつかな?」

 

「体育系の部活でたまに見るやつ? それはない、と思うけど──」

 

 カイトの予想は、いわゆる新人へのイビり。古くさい風習ではあるものの、上下関係を叩き込むには最適な方法だったりする。まさか、とは思いながらも二人は同じ思いだった。

 

((あの生徒会長なら、やりかねないかも──))

 

 と。

 しかし、ここまで来て入らないわけにもいかない。

 

「は、入らないのかカレン?」

 

「え、ここは普通、男からでしょ? どうぞ、カイ兄」

 

「レ、レディファーストで──」

 

「はぁッ!?」

 

 二人の予想では扉を開けた瞬間に何かが起こるというテンプレを予想していたが故に、どちらが先に入るかで兄妹の醜い争いが勃発してしまった。仲の良いことだ。

 騒がしく口論する二人だったが、ついにカイトの背をカレンが取った、いわゆるマウントポジションだ。そのままカレンは背中を押して、カイトを無理やりクラブハウスへと近付けていく。

 

「ちょ、待った待った、兄貴を売るのか妹よ──ッ!!」

 

「いいから、さっさと逝きなさいっての──ッ!!」

 

「おい、言葉のニュアンスに悪意を感じたぞッ!?」

 

 もうクラブハウスの入口は目の前だ。そのまま押し込めば、カレンちゃんだいしょーり──の、ハズだったのだが。

 

「────何してるんですか、二人とも?」

 

 いきなり、クラブハウスのドアが開けられた。そして中から困惑気味な顔を覗かせたのは二人の顔見知り、シャーリーだった。

 

「あれ、シャーリー?」

 

「早く来てくださいよ、みんな待ってるんですから──」

 

「え、えぇ──?」

 

 まさかメンバー全員で新人イビりか、と思ったカイトだが──シャーリーの様子から察するに、どうやら新人イビりを行うような雰囲気ではない。

 それを感じたのか、先程までカイトの背中を押していたカレンは咳払いを一つ残し──そのままシャーリーへと引き連れられるままにカイトを追い抜き、クラブハウスへと入っていく。

 どうやら、兄妹でじゃれあっていたのを見られたのが恥ずかしかったようだ。カイトの横を通り過ぎるカレンの頬は、少し赤く染まっていたように見えた。

 

「──悪ノリが過ぎたかな?」

 

 苦笑しつつ、シャーリーとカレンと追ってクラブハウスへと入っていくカイト。扉を潜ると広々としたエントランスに迎えられ、中央から伸びる左右へ分かれた階段も雰囲気が出ている。

 クラブハウス内を物色しながらも、前を歩くシャーリーとカレンを追うような形で連いて行くカイト。しかし、前を行く二人が不意に足を止める。どうやら目的地には着いたようだが、その部屋には扉がなかった。追い付いてしまったカイトが、ぽっかりと口を開けている部屋の中を覗き込むと──

 

(ああ、ダンスホールか、意外に広いな──)

 

 エントランスに負けず劣らずの広さを誇る部屋は、カイトの推測通りダンスホールだった。時期が時期ならば、ここで生徒達の社交パーティが開かれていたかもしれない。

 

「おっそーい、主賓が居なきゃ始められないでしょ?」

 

「え? 会長?」

 

 ダンスホールを注視していたカイトが肩を叩かれたので振り返ってみると、そこには白いエプロンを着けて料理を運び入れようとするミレイと目が合った。

 

「あの、主賓って──?」

 

「うん、カイトとカレンの歓迎会。ちゃんとやってなかったからね」

 

 ひらひらと手を振りダンスホールへと入っていくミレイを見送ったカイトは、困惑した様子で頬を掻いていた。

 

「ホラ、先輩も──」

 

「え? おいおい、引っ張らないでくれシャーリーッ」

 

 呆けていたカイトの手を引き、シャーリーへとダンスホールへ連行されていくカイト。広々とした空間へ足を踏み入れると、そこにはいくつかのテーブルが並べられており、その上には色とりどりな料理が並べられていた。

 

「お、主役のお二人さん、いらっしゃーい」

 

 入口から少し離れた場所に居たリヴァルがカイトとカレンへ手を振ってくる。相変わらず騒がしいな、と苦笑する二人だったが──リヴァルの傍らに、見慣れない少女が居ることに気付き眉根を寄せる。

 車椅子に座る、ウェーブが掛かった長い栗色の髪が特徴的な少女だ。見たところ高等部ではない、制服も違う。そんな彼女は、幼い年相応な可愛らしい微笑みで二人を迎える。

 

「──ルルーシュの妹よ」

 

 ふと気付けば、先ほど運んでいた料理を並べ終えたミレイが二人の傍らへ立っていた。その気配を感じさせなかったミレイにも驚いたが、二人はミレイの言葉のほうが驚きは強かったようだ。

 

(あの無愛想で頭でっかちなルルーシュに、まさかあんな可愛い妹が居たとは驚きだね──と、なると、あの子もルルーシュと同じく元皇族ってことになるよな?)

 

「あの──」

 

「────ん?」

 

 思考に耽っていたカイトを引き戻したのは、ルルーシュの妹だという少女の声。車椅子を前進させカイトとカレンへ近付いてきた少女は、柔和に微笑みながら二人を見上げてきた。

 

「ナナリーです、中等部なので生徒会じゃないんですが──」

 

「────構いませんよね、二人とも?」

 

 遅れてクラブハウスへと入ってきたのはルルーシュだ、彼はそのままナナリーの車椅子の傍らまで来ると二人へ首を傾げた。歓迎会を催し祝ってくれるというのに、断る理由などない。カイトとカレン、二人の意見は当然のように一致した。

 

「もちろん、よろしくな、ナナリーちゃん──」

 

「ええ、よろしく──」

 

 挨拶が終わった頃、入口とは違う方向から声が聞こえた。ふと目を向けると、ちょうど急いで階段を降りてくるニーナの姿があった。

 

「ご、ごめんなさい、ちょっと探し物してて──」

 

「そうなんだ、探し物って見付かったの?」

 

「え? あ、えっと、その──」

 

 駆け寄るミレイの言葉に、ニーナは歯切れ悪く言葉を詰まらせる。すると、それを察してかミレイはエプロンを外しながら周囲を一瞥し──

 

「主賓の二人とルルーシュは、ここで待機、それ以外は二階で宝探しだーッ!!」

 

 「のりこめー」という号令に習い二階へと駆け上がっていくミレイ、その数秒後に"それ以外"へ含まれていると自覚したシャーリー、リヴァル、ニーナも後を追っていった。

 取り残されたのはシュタットフェルト兄妹と、ランペルージ兄妹。呆然とメンバーが駆け上がっていくのを見送った四人だったが、ミレイ達が二階で騒ぎ始めたのを聞いて我に返ったのはカイト。彼は何やら視線を感じ視線を移すと、ふとナナリーが自分を見上げていることに気が付いた。

 

「ん? どうかした、ナナリーちゃん?」

 

「あ、いえ、お二人は兄妹なんですよね。私とお兄様と一緒だな、と思って──」

 

 嬉しそうに微笑むナナリー、それを見たカイトは内心で『幼女の笑顔の破壊力ってヤバい』と思ったが──その邪念は、脇に構えていたルルーシュへ気取られてしまったらしい。

 

「どうしました先輩、何かに目覚めた顔をしてますよ?」

 

 にっこり、と満面の笑みを浮かべるルルーシュ。しかし彼の背後からはドス黒いオーラが漂っており、それは『ナナリーをヘンな目で見るな、このロリコン』と語っているような気がした。

 

「カイトさん、カレンさんはどんな方ですか?」

 

「──え?」

 

「──うぇッ!?」

 

 そんな二人の巧みな(?)心理戦などヨソに、ナナリーは次の話題をカイトへ振る。おそらく自分達以外の兄妹に興味があっただけなのだろうが──いきなり自分の話を振られたカレンは、顔を赤くして動揺し彼女にしては珍しい高い声を上げていた。

 

「カレンはねぇ、意外と寂しがり屋なんだよ。あと、たまに俺がメシを作ると、そりゃもう嬉しそうに食べるのが可愛くて可愛くて。あとは──もがっ──ッ!!」

 

「───わー、わーッ!!」

 

 嬉々として喋りだすカイトだったが、途中で顔を真っ赤にしたカレンに口を塞がれた。ドタバタと目の前で繰り広げられるシュタットフェルト兄妹の痴話喧嘩を見て、ナナリーはクスクスと笑っていた。

 

──そんな中

 

──ふとルルーシュが口を開いた

 

「ナナリーは誰にでも優しい、それに努力家だ。自分がハンデを抱えていることを悲観せず、手助けしてくれる人達へ何とか恩返しをしようと毎日を頑張っている──」

 

「お、お兄様──ッ!?」

 

 いきなりナナリーのことを語り始めたルルーシュ、どうやらカイトの語りに触発されてしまったのだろう。しかし、それは仕方のないことかもしれない──なにせカイトとルルーシュ、この二人は共に『ウチの妹が一番かぁいい』と思ってやまぬシスコンの鏡、いわば同じ穴のムジナである。

 外野でありながらも当事者であるカレンとナナリーは、突如として勃発した妹自慢を止めようとするが──

 

「あと小遣いねだってくる時とか、お願いするときの『お兄ちゃん』とか破壊力ヤバすぎるってもんだ。最近は見る回数が減ったけど、寝ボケてる顔とかマジ天使。あれだ、もう猫そのもの。見てて癒されるとか、どんだけだよ──」

 

「毎晩、寝かしつけれる時の幸福感は良いぞ。なにせ長居すれば寝顔まで見れるという素晴らしさ、加えて稀にだが本を読んでくれとせがまれるが、その時の気恥ずかしそうな顔といったらもう──」

 

──あかんこれ(ドン引き)

 

 ヒートアップしていくカイトとルルーシュによる『第一次俺の妹が一番かぁいい大戦』、周囲のことなど目に入らず互いが一歩も引かぬ激戦を繰り広げている(本人達の前で)。

 何とか二人の暴走を止めようと最初は顔を真っ赤にするだけだったカレンとナナリーだったが、兄二人の奇行に耐えかねたのか──

 

「兄さん?」

 

「お兄様?」

 

「「────え?」」

 

 ついに、妹二人が羅刹を背負った。ゴゴゴと擬音が聞こえてきそうなほどに怒りのオーラを背負うカレン、そしてナナリー。

 

「ちょっと、あっちで話しましょ──」

 

──カレンへと襟を掴まれ

 

──ズルズルと引きずられていくカイト

 

「あちらでお話があります──」

 

──ナナリーに裾を引っ張られ

 

──抵抗できず連行されていくルルーシュ

 

 残念ながらカイトとルルーシュによる『第一次俺の妹が一番かぁいい大戦』は、褒めちぎられている彼等が愛しやまない妹達の手により(強制的に)終結した。

 

──もちろんカイトとルルーシュは

 

──このあと滅茶苦茶 説教された

 

 シュタットフェルト兄妹の歓迎会をするはずが、なぜかカイトとルルーシュは反省会からスタートする結末となってしまい──それは、探し物を見付けた他のメンバーが降りてくるまで続いたそうな。

 

──あまりにもあっけない決着

 

──クラブハウスの一角で正座する兄二人は

 

──心の中だけで同時に毒づいたという

 

 

 

 

((──あのシスコンめ──ッ!!))

 

 

 

 

──と

 

 

 

~scene out~

 

 

 

 

 






書いてたら暴走した、後悔はしているが反省はしない(吐血)


とりあえず、カイトとルルーシュの最後の言葉に対して(たぶん)読者様も思った一言を作者が代弁してみようと思います。


こほん…







「お ま え が 言 う な」
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