コードギアス 反逆のルルーシュ ~全ての命に祝福を~   作:あーさぁ

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すごいやっつけ感…修正するかも



TURN4 その名はゼロ
Phase18


 

(さて、ルルーシュの奴、どうする気だ?)

 

 昨夜ルルーシュに言われた通り、カイトはリーダーである扇に伝言を伝えた。シンジュクゲットーでの一件以来、音信不通だった謎の声の人物。彼が突如としてコンタクトを取ってきたということを。

 

 その事実を聞いた扇は謎の声を無視はできない、そうメンバーへ指摘し数人の仲間と共に東京タワーを訪れた。しかし指定場所であった東京タワーを訪れた後は、しばらく租界を堂々巡り。数時間の長旅の末に彼等は、とある電車へと乗ることを指示される。

 

 そして今、東京タワーの忘れ物受付センターを経由して電話を受け取ったカレンを先頭に、カイトと扇や他のメンバーが電車の端々で待機している所。

 

「────連絡は?」

 

「ううん、まだ──」

 

 カレンの傍らに控えるカイトは、周囲へ視線を巡らせながら思案する。ルルーシュから具体的な詳細を聞いていない彼は、カレンを含む他のメンバーと同様に暗中模索。どこで、何が起きるのかを今か今かと待っていた。

 

「──ッ──もしもし?」

 

 その時、カレンが手にしていた携帯電話を耳元へ持っていく。同時に傍らへ控えていたカイトを始め、すこし離れた位置に陣取る他のメンバーの間に緊張が走る。

 

「──ブリタニア人の街だ、私達の犠牲の上に成り立つ強盗の街」

 

 カレンの瞳が電車の進行方向から見て右側へと向けられる、それにつられてカイトも視線を向けると、立ち並ぶ小綺麗なビルと整った街並みが見えた。

 

「──私達の街だ、ブリタニアに吸い上げられた絞りカスの街」

 

 次は、左側。そこには、見るも無惨な荒野。ビルなどの建物は崩れ落ち、荒廃した大地へ無造作にガレキを投げ打ったような、無秩序で色褪せたゲットーの街並みが見える。

 

「───先頭車両に来いって」

 

 カレンはカイトへ耳打ちすると、歩き出す。それを追うようにカイトが続くと、二人が移動し始めたのを見た他のメンバーも同じく後を追う。いくつかのドアを抜け、人垣を掻き分けるように先頭車両を目指す一団。

 

──そして、最後のドアを抜ける

 

──先頭車両に乗客は一人しか居なかった

 

「────お前、なのか?」

 

 彼等が入ってきたドアの反対側、運転席へと続く扉の前に居る"誰か"に向けてカレンが問いかける。しかし答えはない、ただただ謎の人物は背中を向けたまま佇むだけ。

 

──一行に返事をしない謎の人物に対し

 

──他のメンバーから上がる不審がる声、不満の声

 

──そんな中、突如として車両内に闇が訪れた

 

──瞬間、謎の人物はカイト達へ向き直る

 

「──ッ───ッ!?」

 

 電車がトンネルへ入ったのだろう、補助灯のみの緩やかな光源で照らされる仄暗い先頭車両の中で誰かが息を飲む音が聞こえた。

 

「私の名は、ゼロ──」

 

 彼等と相対した謎の人物、それは誰なのか分からない。理由は周囲が暗いせいではない、ゼロと名乗ったその人物は、顔を仮面で覆っていたからだ。さらには黒と金をベースにした服とマントのせいで、体の輪郭さえ不明瞭。正体どころか顔、国籍、性別、全てが闇の中。

 

「どうだ? 租界ツアーの感想は?」

 

 ふと、ゼロが口を開いた。誰もが頭へ疑問符を浮かべた後に、大げさな言動をもって言葉を繋いでいくゼロへと不審、不満の声が漏らす。しかしカイトだけは、他のメンバーとは違う反応を見せていた。

 

(おいおい、あれ、ルルーシュかよ──趣味悪すぎ)

 

 昨晩の会話から察するに、いま目の前に現れゼロと名乗った謎の人物の正体は、ルルーシュで間違いない。その確信が、カイトに苦笑を浮かばせる。辺りが薄暗いのが幸いにも、つい漏れてしまった彼の苦笑を隠してくれた。

 

「正しい認識をしてもらいたかった──租界と、ゲットー」

 

「確かに我々とブリタニアの間には大きな差がある、絶望的な差だ。だから、レジスタンスとして──ッ!!」

 

 メンバーの中からリーダーである扇が一歩、前に出る。租界とゲットーの差、それが、つまりはブリタニアと日本の差であるという事実を認めた。なぜなら、その上でレジスタンスという方法で戦う道を選んだのは、ほかならぬ彼等なのだから。

 

「テロでは、ブリタニアは倒せないぞ──」

 

 しかし、ゼロは扇の言葉を否定によって遮った。

 

「テロなんて、子供っぽい嫌がらせに過ぎない──」

 

 続けざまに放たれる否定の言葉、それに反応しメンバーが声を荒げるもゼロは止まらない。自身へと向けられる怒りと不信感を浴びつつも、萎縮した様子を見せることなく淡々と言葉が紡いでいく。

 

「──相手を間違えるな、敵はブリタニア人ではない、ブリタニアだッ!! やるなら戦争だ、民間人を巻き込むな、覚悟を決めろ、正義を行えッ!!」

 

 語気を強めたゼロから放たれる言葉の矢、だが、メンバー達は納得いくはずがない。

 

 戦いとは互いが拮抗した強さを持っているからこそ成立する、力のないレジスタンスがブリタニアという国を相手取り行う戦いは、もはや戦いとは呼べない。ただ、一方的に蹂躙されるだけ。

 

「ふ、ふざけるなッ!!口だけなら何とでも言える、顔も見せられないような奴の言うことが信じられるか──ッ!!」

 

「そうだ、仮面を取れ──ッ!!」

 

「──ああ、顔を見せてくれないか?」

 

 最初にゼロへ怒気を纏った言葉を投げつけたのはカレンだ、一方的な言葉に業を煮やした彼女には怒りだけではなく敵意さえ見せ始めている。そんな彼女の言葉は、周囲へと伝染していく。他のメンバー、そして、扇にも。

 

(さぁ、どうすんだ、ルルーシュ──いや、ゼロ?)

 

 そんな周囲のヒートアップをヨソに、カイトはあくまで冷静に、そんなメンバーとゼロの会話を聞いていた。ブリタニアには怨みがないが、妹が敵視するからという理由でレジスタンスとしてテロ行為を行う彼にはゼロの言葉で揺れることはない。

 

「分かった、見せよう。しかし、見せるのは顔ではない、力だ。クロヴィス暗殺事件の犯人が明日、軍事法廷へ移送されるのは知っているな。君達に少し手伝ってもらう必要があるが、その犯人を奪ってみせようじゃないか──不可能を可能にして見せれば、少しは信じられるだろう?」

 

 その時、彼等が乗る電車の速度が落ちていく。それを感じながらもメンバー達はゼロの言葉、不可能を可能にするという言葉に疑問符を浮かべる。しかし、その言葉の意味を理解した面々は、"クロヴィス暗殺事件の犯人を強奪する"という宣言に驚いた様子を隠せない。

 

「───無理だ、死にに行くようなものだ」

 

「いいや、できる──」

 

 扇が否定するも、ゼロは可能だと断言する。罠だと知りながら渦中へと身を投じる自殺行為だけにあきたらず、犯人を奪うなど妄想もいいところだ。それは、他のメンバーも同意見。

 

──ただ、一人を除いては

 

(なるほどね、ここで俺の出番ってワケか──)

 

 一瞬だが、ゼロの仮面の奥に光る瞳が自分へと向けられたのをカイトは自覚する。どうやって不審がられることなく自分を手伝わせるのか、ずっとカイトは疑問だったが──その答えが、まさに今この状況なのだと理解した。

 

「吐いたツバは呑むなよ、ゼロ──何をすりゃいい?」

 

 扇の傍らを通り過ぎ、もっともゼロに近い位置へ立つカイト。今まで黙ったままだったカイトが突如として取った行動に、カレンを含めた他メンバーの驚愕が彼の背中へ突き刺さる。

 

「カ、カイ兄ッ!? こいつを信じる気ッ!?」

 

「──ああ、ちょっと興味が湧いたんでね」

 

「興味本意で死ぬ気か、カイトッ!?」

 

 暴挙とも言えるカイトの言動を制止しようとするカレンと扇だったが、その制止の甲斐もなくカイトはゼロへと近付いていく。その途中、緩やかに減速していた電車がわずかな揺れの後、完全に停まる。

 

 すると示し会わせたかのようにゼロの脇、もっとも前方のドアが開く。まだ外はトンネルの中、降りても十分な足場がある。

 

「──お前一人か。では、ついて来い」

 

 マントを翻し、ドアを潜り外へと出ていくゼロ。無言で後を追うカイト。その背中を見送るメンバー達だったが、とっさに二つの影が走り出す。扇と、カレンだ。

 

 扉から外へと飛び出した二人は、周囲を見回す。するとトンネルの一角、おそらく作業用と思われる扉の前へ立つゼロとカイトを見つけて駆け寄っていった。

 

「──あれ、二人とも来ちゃった」

 

「な、なに考えてんのよ、この馬鹿兄貴ッ!!」

 

「か、勝手な行動はするなカイト──」

 

 いきなりの行動、そして二人へ駆け寄ったことで息を切らしてしまったカレンと扇が肩で息をしていた。その様子を振り向き見たゼロは、ゆっくりと扉を開ける。重々しい音と共に開いた扉、その先はまったく光源のない完全な闇。

 

「──こっちだ」

 

「──おう」

 

「あ、コラ、カイ兄ッ!!」

 

「ちょ、だから、待てって──ッ!!」

 

 臆することなく扉を潜るゼロ、それに続くカイト。その二人を見失わぬよう駆け出すカレンと扇、彼等は扉の奥へと広がる闇へと溶けていく。

 

──そして誰も居なくなったトンネル内

 

──再び発進し始めた電車

 

──薄暗いトンネル内で

 

──彼等を見送るように

 

──盛大な警笛が鳴り響いた

 

 

 

~scene out~

 

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