コードギアス 反逆のルルーシュ ~全ての命に祝福を~   作:あーさぁ

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Phase2

 

『だぁかぁらぁ、しゃーねぇだろ、抵抗しやがったんだから』

 

「言い訳は後で、もう切りますよ──ッ!!」

 

ハンドルを握る手に力を入れた俺は、荒々しくトラックのアクセルを踏み込んだ。通信機から聞こえてくる玉城の言葉は無視だ、今は言い争いをしてる場合じゃないし、これ以上に事態が悪化するのは避けたい。

 

「────チッ」

 

 無意識に出た舌打ちと共にバックミラーを覗くと、数機のヘリが向かってくるのが見える。こっちも高速道路を走ってはいるけど、さすがに空を飛ぶヘリが相手じゃ追い付かれるのは時間の問題かもしれない。

 こんなにも頭を痛める事態を招いた発端は、すべて玉城のせいだ。奴は第2区の走者だったけど、追っ手を処理していたら合流するのが遅れたとか意味が分からないコトをほざいていた。兄貴の計画だと、追っ手は処理するんじゃなくて振り切るはずだったのに。

 

「ヘリが2~3機くらい追ってきてる、最悪の場合は軍が出てくるな──カレン、いけるか?」

 

「軍用ヘリ相手なら"荷台のアレ"で楽勝よ、任せといて」

 

「ああ、頼りにしてる──」

 

 "荷台のアレ"ってのは俺達が持つ唯一のナイトメアフレーム、グラスゴー。旧式だがヘリくらいの相手なら楽勝だろう、そもそもカレンのナイトメア操縦技術は俺達の中で群を抜いてる、間違っても返り討ちに遭う心配はない。

 なんて頭では分かってるし冷静に分析できてるけど、本音を言えばやっぱり心配だ。軍用ヘリだけならいいが、ナイトメアが来た場合を考えると──

 

(俺が何とかするしかない、よな)

 

 幸いにも、まだブリタニア軍のナイトメアやヘリの姿は見えない。つまり、まだ逃げ切る猶予はあるってことだ。ブリタニア軍が俺達に追い付くのが早いか、俺達が地下鉄へ潜るのが先か──

 

「えーっと、ここから地下へ入れるのは──」

 

 俺はハンドルを握ったまま端末を取り出し、表示していた位置情報把握アプリを地下鉄マップと照合して──

 

「カイ兄、前、前──ッ!!」

 

「────え?」

 

 そこで俺は端末へ落としていた頭を上げ、前方へ視線を向ける。すると、いつの間にかトラックの前にはサイドカー付きのバイクが走っていた。これは、ヤバい。今さら減速しても間に合わない、かといってブレーキなんざ踏んだら荷台の毒ガスが危ねぇ──ッ!!

 

──とっさに視界に入ったのは高速道路の側道

 

──数瞬の思考の後、俺がとった行動は

 

「────クッソ──ッ!!」

 

「──ッ──駄目、そっちは──ッ!!」

 

 大きくハンドルを左に切り、トラックの進路を左へ。急な方向転換とトラックの重量から生まれた横への圧力が、俺の体をシートへ押し付ける。

 隣でカレンが声を荒げていたみたいだけど、あいにくともうハンドルは左への進路を取ってしまってる。何とか側道へと強引に進路を変えバイクを避けれた、なんて安心したのも束の間。

 

「───────ッ!!」

 

 今度はトラックが上下に大きく跳ねた、たぶん舗装されてない砂地を走ってるせいだろう。さらに嫌な予感がしながらも揺れる視界が収めたのは、建設中っぽい鉄骨や足場が組まれた建物。実際にはトラックが向かってるんだけど、こっちから見たら壁がこっち目掛けて飛んできてるようにも見えた。

 

「──────う、うわぁぁぁあッ!!」

 

 情けなく叫び声を上げちまったけど、それ以上の轟音と衝撃が俺の体を叩き、そして柔らかい何かが胸を圧迫してくる。一瞬でよく分からなかったけど、たぶんエアバッグが作動したんだと思う。

 

「────カ、カイ兄、無事?」

 

「──ああ、何とかな。そっちは?」

 

「ん、大丈夫、だと思う──」

 

 カレンが座る助手席のエアバッグも問題なく作動してくれていた、見たところ外傷もない。とはいえ我ながら情けない、扇さんには「トラックの運転くらい──」とか大口を叩いておきながらこのザマだ。

 

「カイ兄、運転代わろうか?」

 

「馬鹿言え、そんなことしたら後ろのアレが荷物になっちまう。大丈夫だよ、まだいける──とはいえ、コイツはもう駄目かもしれないけどな」

 

 駄目になったのは、俺の足元へ無造作に転がる端末。ディスプレイは事故の衝撃で大きくヒビが入っていて、先程まで映っていたマップも今は表示されていない、真っ暗だ。やれやれ、特に大事なデータは入れてなかったけど惜しいことしたな。

 

「────分かった、でも無理だけはしないでね?」

 

「ああ、もちろん──」

 

 分かったとは言っても、カレンは心配そうに俺の顔を覗き込んできた。やっべ、素直に心配されたことが嬉しい。っていうかカレンの奴、可愛すぎか。

 なんてボケた頭を振り、気合いを入れ直す。

 

「──よし、出すぞ──ッ!!」

 

「うん──ッ!!」

 

 ギアをバックに入れ、踏み抜くほどの勢いでアクセルを踏む。するとトラックの重々しいタイヤが砂地を吹き飛ばす音が聞こえ、見る見るうちに目の前の壁が遠ざかっていく。

 

(元のルートは駄目だ、ヘリがいる。となれば──)

 

 見えたのは建物に沿って伸びる道、たぶん工事車両の搬入に使われていたんだろう。あれくらいの大きさなら、このトラックでも十分な車幅がある。

 そう判断した俺は再びギアを変え、進路をそちらへ取った。

 

 

 

─scene out─

 

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