コードギアス 反逆のルルーシュ ~全ての命に祝福を~   作:あーさぁ

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Phase7

 

 日本人の虐殺現場からサザーランドで脱出したカイト達は、周囲に機影が無い、すこし主戦場から外れた場所で気配を殺していた。というのも、数分前にルルーシュが「電話を掛けたい」と要望したからだ。そして今、ルルーシュは二、三言ほどの通話をサザーランドの手の中で行っている。

 

「うん、分かってる──ああ、それと、今日は帰りが遅くなるって妹に伝えてくれ」

 

 カイトが操るサザーランドの手の中で、ルルーシュはハンズフリーで交わしていた通話を切る。話していたのは同じ学校へ通うクラスメイト、シャーリー=フェネット。

 何故こんな状況で彼女へ電話したかというと、彼には確認したいことがあった。"シンジュクゲットーで行われている日本人の虐殺"が、どのように公表されているかというもの。

 通話を終えたルルーシュはサザーランドの手のひらから降り、足元へ散乱していた物の一つ、チェスの駒を拾い上げた。

 

(なるほど、全てが終わってから都合の良い報道をするつもりか。しかし逆に言えば情報を規制している以上、援軍は呼び難いはず。となれば、今シンジュクゲットーに居る勢力が既存の最高戦力。とはいえ周囲を囲うように布陣されていて、逃げるのは難しい──)

 

 ルルーシュは手にするチェスの駒を弄びながら思考に没頭し始め、自分が取れる行動として最適な解を模索する。ブリタニア軍に保護されるパターンから、自身が持つ"力"を駆使するパターン、誰かを囮にするパターンまで。

 しかし、どれも彼が求める最適解に行き着かない。

 周囲は相変わらず銃声と爆音が聞こえ、時々、日本人と思われる人々の悲鳴が重なるような地獄。あまり時間がない、彼にも、いま虐殺されている日本人にも。

 

『──ルルーシュ?』

 

 不意に彼の頭上から、声が聞こえた。スピーカーを通して聞こえたのは、サザーランドを操縦するカイトのもの。そこで、ふとルルーシュは先程カイトが漏らした言葉を思い出す。

 

──『仲間のところに』、という言葉

 

(そういえば、カイトは仲間が居ると言ったな──)

 

 "使える"と彼は思った、駒は多いに越したことはないのだから。それに彼等はテロリストだ、ブリタニアへの憎しみも十分、自分達が窮地に陥っているという状況を鑑みれば、彼等は自分の側に着くという確信があった。

 そして、最も重要な要因は、カイトだ。

 彼はルルーシュと同じ経緯で"力"を得た上に、互いが互いに"力"の存在を知る、いわば一蓮托生の身。ここで別れて、ルルーシュと"力"の存在が露呈してはマズいのだ。

 しかし──

 

(だが、俺が奴等の仲間へ入るのは無理だ。俺はカイトと違い生粋のブリタニア人、それも元皇室関係者。リンチに遭うだけだろう、良くて人質にされるのがオチだ)

 

 ならば、どうするか、ルルーシュが出した結論は──

 

「カイト、頼みがある──」

 

『ん? 何だよ?』

 

「俺は素性を隠し、お前達に力を貸す。だから、お前達には俺の駒となってもらいたい」

 

 これしかないと、ルルーシュは覚悟を決める。ブリタニア人であること、皇室関係者であること、それだけではなく"ルルーシュ"という存在を秘匿したままテロリストと手を組むという選択肢。

 この時ルルーシュは、自分に対するデメリットを逆に利用する計画を立てた。ブリタニア軍に対抗する戦力の確保と、"共犯者"であるカイトの監視を両立できる最善手として。

 

("力"は得たがブリタニア軍との戦闘は避けられない、故に早急な戦力の確保が重要事項。加えて俺の"力"を知るカイトを放逐することができないのなら、その組織ごと押さえてしまえばいい。それならば監視も容易になる、最悪の場合、始末することも可能だ──)

 

『お前が、どうやって俺達に手を貸すって言うんだ?』

 

「さしあたり"力"を使い先程の要領でナイトメアを確保し、お前の仲間達へ引き渡そう。その後、俺が指示を出しブリタニア軍に勝たせてやる──」

 

 ハタから聞けば、眉唾物でしかない。たしかにルルーシュの"力"があれば、ナイトメアは容易に鹵獲できるだろう。しかし重要なのは、その後。指示を与えるだけで勝てるならば苦労はしない、その提案は"信頼"が絶対条件だ。

 

(拒否した場合、カイトに"力"を使えば済むが──)

 

 着々と外堀を埋め、思考を重ねるルルーシュの口元には苦笑が浮かぶ。カイトへ"力"を使う選択肢もあるが、その必要はないという自信があったからだ。なにせ状況が状況だ、さらにはナイトメアを鹵獲し与えるという条件は、歩兵戦術しか取れない場末のテロリストには破格の好条件。

 

『状況を逆手に取って、ヤらしい契約ふっかけてくるなぁ。それって俺の答え、"はい"か"YES"しかないように見えるんですけど?』

 

 どうやら、カイトもルルーシュの論理に気付いたらしい。スピーカー越しの声にも、どこか喜色が混じっているように聞こえた。

 

「聡明だな、つまりはそういうことだ。どうする?」

 

『分かったよ、その話、俺は乗った。まず何をすればいい?』

 

(よし、これで第一条件はクリアしたな──)

 

 ルルーシュは内心ほくそ笑むと、サザーランドの手のひらへ向かう。その胸中で、これからのこと、彼等テロリストとの付き合い方など、諸々のことを考えながら。

 

 

 

~scene out~

 

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