砕蜂のお兄ちゃんに転生したから、ほのぼのと生き残る。   作:ぽよぽよ太郎

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第11話

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 「――いやあ……まさか本当に成功するとは……」

 

 「……おい、一応理論的には大丈夫って言ってなかったか?」

 

 まったくこいつは……。霊力回復薬の件といい、俺をモルモットかなんかと勘違いしている気がするぞ。まあ今回は俺というよりは喜助のほうがモルモットだといえるんだろうが。

 

 喜助は無事三日間で卍解を習得し、とりあえずはその期間中の安全性の確認もできた。三日間を過ぎればどうなるのかはわからないのだが、これで原作通り一護の時も使うことができるだろう。あとは夜一さんに使い方を教えるだけだ。

 

 喜助の卍解や具象化した斬魄刀も見てみたかったが、俺が転神体に霊力を込めたらそれを持ったまま見えないところまで消えちゃったんだよな。大規模な戦闘の余波とかも感じなかったし、どういった試練だったんだろうか。気にはなるが、そう安易に尋ねるのもどうかと思うから聞けずにいた。喜助がそうするということは、なにかしらの考えがあるってことだろうし。

 

 とまあそんなこんな三日が過ぎ、俺は今、喜助との修行を終えて一息ついていた。

 

 この秘密の修行場内にある温泉で、だ。

 

 「野郎二人で温泉とか、誰得だよ……」

 

 「イヤイヤ、ボクも同じこと考えてたんスよねえ」

 

 いやホント、なんでこうなった? こういうのは夜一さんとのイベントだろ、普通。

 

 だがまあ、俺の時にはなんとかして夜一さんと一緒に入ろう。偶然を装うとかさりげなく誘ってみるとか、やりようによっては可能かもしれん。失敗したら死ぬかもしれないけど、それだけは譲れん。

 

 「それよりも、この温泉どうっスか? ある人の作った温泉の効能を真似してみたんスけど、だいぶ劣化しちゃってて……」

 

 「ある人? こんなバリバリ傷が治るのにこれで劣化してるとか、その人ってすげえんだな……」

 

 ヘラヘラと笑っている喜助だが、身体には細かい傷がたくさんついていた。それがこうして温泉に浸かっているだけでジュウジュウと音を立てて治っていくのだ。

 

 原作の知識として知ってはいたが、実際に見てみるとよりすごく感じる。オリジナルを作った人は相当な技量を持っているんだろう。というかこれよりも効果が強いとか溶けるんじゃねえのか?

 

 結局、この後は喜助からこの温泉開発までの道を延々と聞かされ続けた。

 

 うん、わかりにくいけど、たぶん卍解を習得できて嬉しかったんだろうなあ。

 

 

 

 

 

 

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 「――てことがあったんですよ」

 

 「ふーむ、喜助らしいのう」

 

 俺の言葉に、夜一さんはカラカラと笑った。

 

 所は変わらず秘密の修行場。夜一さんと俺の二人は、それぞれ装束をまとって向き合っていた。かの特殊霊具”転神体”を使って、とうとう俺の卍解習得を行うのだ。

 

 「じゃが確かに、この霊具は封印したほうが良いの。快く思わぬ者もおるじゃろうしな」

 

 確かにそうだな。喜助が実際にこれで卍解を習得できたという前例もできてしまった。瀞霊廷内では旧態依然とした考え方が主流だし、総隊長を筆頭に護廷十三隊の面々も忌避感を持つかもしれない。

 

 「ま、そういうことだから夜一さんとこの家に封印してもらおうかと思って頼んだんすよ」

 

 「任せい。しかしのう……実体験を聞かされるまでは半信半疑じゃったが……」

 

 夜一さんはそこまで言うと、手元の霊具を凝視する。気になって仕方がないみたいだ。

 

 「とりあえず、霊力を込めれば良いじゃったか?」

 

 「そうですね、それで斬魄刀を刺してっと――」

 

 俺は斬魄刀を抜いて、夜一さんの近くに立ててある転神体にその切っ先を向け突き刺した。

 

 刹那――

 

 「――っ!?」

 

 「――うぉっ!?」

 

 空間が振動し、バチバチバチ!と電気の弾ける音とともに俺と夜一さんの周囲が光で満たされる。やけに電気が俺を目掛けて飛んできている気がするな。あ、若干腕が痺れてきた……。

 

 そしてその光がおさまると、そこには俺の相棒(彼女)の姿があった。

 

 「……」

 

 むすっとした表情で、上下に黄色いジャージを着込んだ鳴神(なるかみ)。腕を組んで仁王立ちしているが、ジャージの胸部に膨らみがないため、持ち上げるものがない組んだ腕はどこか寂しそうにも思える。

 

 そんな彼女は黄色い髪と小さな角からはパチパチと火花を散らし、口を真一文字に結んで俺を睨んでいた。というか、なぜか角が三本に増えている。心なしか先ほどよりも機嫌が悪そうだ。一体なぜだ……?

 

 どこのキ◯ビルだとか色々と突っ込みたいとこがあるけど、とりあえず――

 

 「なあ鳴神、お前、もしかして怒ってる……?」

 

 「ふん、なんでアタシが怒らなきゃいけないのかしら?」

 

 鳴神は吐き捨てるようにそう言うと、ぷいとそっぽを向いてしまう。うん、可愛い。

 

 「だけど、全然思い当たる節がないな……」

 

 「ああそう? 別にこのクソ猫やあのヤンデレ娘ばかりにかまって私を放っておいたこととかを怒ってるわけじゃないわ。自惚れて勘違いしないことね!」

 

 ツーンとそっぽを向いたままだが、これは怒っているというよりも拗ねているみたいだ。胸を隠すように身を(よじ)っているのは気のせいだろう。

 

 クソ猫は夜一さんのことだとして、ヤンデレ娘って誰だ? 俺の近くにいる娘って言ったら砕蜂(ソイフォン)くらいだけど……。いやまあとにかく、確かに最近は鳴神と対話していなかったのは確かだ。相棒を蔑ろにしたのはどう考えても俺が悪いな。

 

 俺は素直に頭を下げることにする。

 

 「すまん、鳴神。俺が悪かった。今日お前を呼び出せるようにするためいろいろと動いていたんだが、蔑ろにしたと思われても仕方がない」

 

 「……」

 

 俺の言葉に、鳴神はなにも答えない。そう簡単に機嫌は直してくれないのだろう。

 

 だが、これから三日間は鳴神とみっちりと過ごすことになる。卍解習得のためというのもあるが、相棒である鳴神をもっと理解したいという気持ちも強かった。こんな美少女が俺の斬魄刀であり、生涯を添い遂げる相棒でもあるのだ。彼女を理解し、もっともっと仲良くなりたいと思うのはおかしいだろうか。いいや、そんなことはない!(反語)

 

 「……ぅ、わわ、も、もういいわ!」

 

 瀞霊廷でもここまでの美少女はそういないと言える。確かに胸こそ貧こn……慎ましやかだが、そんなのは些細なことだ。女性(レディー)の魅力は胸だけじゃない。鳴神の魅力も多々あるが、中でもあの適度に筋肉のついたお尻から御御足のラインだ。

 

 「ちょ、わかったから、もういいから!」

 

 今でこそジャージに隠されてしまっているが、それでもジャージ越しにもわかるあの肉付きはやばい。エロい。むしゃぶりつきたい。俺の両手で覆えそうなほど小ぶりで、だけどしっかりとジャージを押し上げている魅惑的なお尻に、少しダボついている脚の部分とかもう――

 

 「――のう、龍蜂。よくわからぬが、もう許してやったらどうじゃ……?」

 

 不意に、夜一さんがため息を吐いてそう言った。その言葉で我に返ると、夜一さんはなぜか唇を尖らせて拗ねているようにも見える。そして、バリバリに拗ねていたはずの鳴神は、なぜか頭を抱えてしゃがみこんでしまっていた。顔こそ見えないが、耳は真っ赤になっている。……なんでだ?

 

 

 

 

 「……じゃ、じゃあ、そろそろ始めるわよ!」

 

 それからしばらく(30分くらい)して復活した鳴神は、尊大な態度でそう言った。角は一本に戻っている。

 

 夜一さんはそんな彼女をふしゃーっと威嚇し、鳴神もムッとした表情で視線をやっていた。復活するまでに少し二人で話していたみたいだが、そこで何かがあったのだろう。よくわからないが、女の諍いには口を出さないほうが身のためだ。

 

 ていうか、この時間中も夜一さんの霊力を使ってるんだよな。なんとも贅沢な時間の使い方をしている気がする。

 

 「とりあえず、よろしく頼む」

 

 「――ふん……」

 

 俺の言葉に鳴神は鼻を鳴らすが、次の瞬間、その雰囲気は一変していた。ピリピリとした刺すような空気に変わり、うっすらと冷や汗すらもかいてきた。夜一さんも雰囲気の変化を感じ、少し離れた場所まで移動する。

 

 俺の少し前に立つ彼女からは、強敵と対峙するような、雰囲気を感じる。そう、まるでブラックと……いや、あの時に見た藍染レベルの威圧感だ。

 

 「アタシがアンタを認める条件は簡単よ」

 

 鳴神はぶっきらぼうな様子でそう言う。だが、その口調からは僅かに喜色を感じた。

 

 「”お互いを理解し、認め合うこと”」

 

 認め合う、か。どうすれば彼女に認めてもらえるのだろうか。見たところ、彼女は斬魄刀を所持していない。原作では大量の斬月もどきの中から本物の斬月を探すという試練だったが……。

 

 「つまり、俺はなにをすればいいんだ……?」

 

 鳴神は、ニヤリと嗤う。

 

 「拳で……語るわよ――ッ!」

 

 

 ……俺の斬魄刀が実は脳筋だったと、否応なく理解させられた瞬間だった。

 

 

 

 




鳴神ちゃんは龍蜂の大雑把な感情を感じることができます。
好意は好意、悪意は悪意、疑問は疑問などなど。
唯一、胸に関することだけは相手が誰であってもほぼ正確に読み取れます。
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