砕蜂のお兄ちゃんに転生したから、ほのぼのと生き残る。 作:ぽよぽよ太郎
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その後は屋敷の縁側でぐうたらしていると、裏廷隊伝令部の者がやってきた。
「――
一応俺も貴族で、隠密機動の中でも席官クラス。だから敬語を使われているんだけど、正直むず痒いものがある。
俺は彼の言葉に頷いて、現場へと向かった。もちろん、すでに装備は整えている。隠密機動の真っ黒な装束を身にまとい、斬魄刀を腰に刺した状態だ。頭巾は被っていない。あれを被るとモブ臭が半端じゃないんだよな。いや、俺なんてモブみたいなもんなんだけどさ。
……どうやら俺は、自身の死亡フラグを前にしても緊張はしていないみたいだ。
そのことに安堵しつつも、瞬歩で現場へと向かった。
「――ここ……だよな」
夜一さんから聞いた場所に着き、俺は隠形で隠れる。周囲は木々に囲まれていて、ここだけぽっかりと空き地になっていた。この場所から等間隔の位置で複数の霊圧を感じることから、今夜も各地で
こうしてその中心部に来たのはいいが、隊士たちが消息を絶つような原因は見当たらない。もしくは、まだ出現していないのだろう。
仕方なく隠形を解いて、周囲の警戒を強める。消息を絶ったということは、なにかしら敵性を持つものにやられたと見て間違いない。そしてそれは、おそらく――
だが、見た限りでは
改めて周囲を見ようとした瞬間――
「……ッ!!!」
ゾクリ、と何かを感じ、俺は後方へと飛び退いた。そして、先ほどまで俺の立っていた場所が轟音とともに土煙に包まれる。
この気配は
土煙がはれると、そこにはやはり
「
見た目は
どうやら、俺の知っている
「……くそ、なんだこの霊圧は!?」
こいつからは、
隊務として
それにそもそも、攻撃されるまで霊圧どころか気配すら感じなかったのだ。
「――気配を……
これじゃあまるで、後に現世の魂葬実習で出てきたあの
「――まさか……っ!」
――これは、藍染の実験体なのか……!?
藍染とは数度だけ会ったことがあった。すでに5番隊の副隊長になっていて、人柄は極めて温厚。人望が厚く、護廷十三隊の死神からはよく信頼されている。俺だって、原作知識がなければその姿を信じてしまっただろう。
だが、藍染だけは信用してはいけない。
ましてや、こうして俺の死亡フラグが藍染に関係しているっぽい。もし生き残れたら、今後はさらに警戒を強めるべきだろう。
……これが藍染の実験ならば、切り抜けたとしても命が危うい気がするけどな。
「……だが、そんなことも言ってらんねえか」
何もせずに死ぬのだけは勘弁だった。
まだ出会っていない原作キャラだってたくさんいるし、なにより物語の続きも知りたかった。俺が知っているのは
腰から斬魄刀を抜いて構える。あの
「――破道の三十三”
詠唱破棄で唱えた蒼い炎が、ブラックへと放たれる。これで弱い
そう思って放ったのだが……
「おいおい、無傷かよ……」
それに、こいつだって
「おらぁッ!」
そのまま瞬歩で距離を詰めて、斬魄刀で切りつける。斬術は得意というわけじゃないが、
だが、ブラックは両手を顔の前で交差させ斬撃を防ぎ、同時に斬魄刀を振り払った。腕ごと両断する気で切りつけたのだが、予想以上に固く簡単に弾かれてしまったのだ。
それでも、俺は弾かれた衝撃はそのままに後方宙返りの要領で回転し、左足でブラックの腕を蹴り上げる。そしてそのまま空中で身体を捻り、右足の踵でブラックを蹴り飛ばした。
ブラックは吹き飛ばされ、数本の木をなぎ倒して止まった。
仮面を狙って霊力を込めた蹴りを繰り出したのだが、それにしては手応えがなかった。
「……くそ、やっぱり効いてねえか」
案の定、ブラックは無傷で立ちあがった。やはり、ただの白打ではダメージを与えるのは難しいのかもしれない。
ブラックは立ち上がると同時に、こちらへと向かってきた。俺もそれを迎え撃つ。ブラックは無手で攻撃を繰り出してくるが、その一撃一撃が重い。基本的にはその攻撃を避けつつも、避けきれないものは斬魄刀で防ぐ。だが、斬魄刀で防ぐ度に火花が散って、悲鳴を上げているようだった。
俺も白打で応戦し何度も打ち合うが、お互いに決定打は出ない。否、俺がもし一撃でもブラックの攻撃を食らったら、それだけで勝負は決まってしまうだろう。それほどまでに、一撃の破壊力が違いすぎた。
このままでは、ジリ貧だ。
「散在する獣の骨――」
俺はブラックと打ち合いつつ、詠唱を始める。
「――尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪 動けば風 止まれば空 槍打つ音色が虚城に満ちる」
そして、詠唱が終わると同時にブラックに手をかざす。
「――破道の六十三”雷吼炮”!」
俺の言葉とともに、巨大な雷がブラックを襲う。雷吼炮は俺の使える鬼道で一番威力の高いものだ。だが、これでも倒すことはできないだろう。
近距離でそれを食らったブラックは、咆哮をあげつつ後退した。やはり、それほどダメージは通っていないようだ。それがわかっていたため、俺もブラックと同時に後退して距離をとった。
「見せてやるぜ、俺の切り札……!」
そして、
「
解号を、小さく呟く。
「――”
隠していた能力を出すことで、OSR値を上昇させました。
なお、敵にカウンターOSRをされた場合は著しくOSR値が減少します。