伝説の超問題児が異世界から来ちゃ駄目でしょう?   作:BroBro

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異世界?そんな物より食い物寄越せ

 

 

「なに?ブロリー様が消えた?」

 

「ああ、間違いなく"消えた"様だ」

 

 

所々にヒビが入り、窓もなく、味気の無い城の様な建物の屋上、そこに緑の肌の者と紫の服を着た者が話し合っていた。

 

 

「消えたとは一体どう言う事だ?」

 

「俺が実際に見た訳でも無いのでハッキリとは言えんが、奴隷の1人がブロリー様が消える瞬間を目撃したらしくてな。ソイツの話しによるとブロリー様の体を光が包み、光が消えた瞬間にブロリー様も消えていたらしい」

 

「・・・今までそんな事例は?」

 

「ないな。ブラックホールにでも飲まれたのなら話は別だが、対極の存在の光が生き物を呑み込むなど聞いたことも無い」

 

「つまり、対処法は無いと言うことか・・・」

 

 

緑の肌の者、『モア』は顎に手を当てて考える。パラガスと言う指導者の元、ブロリーと言う存在は"計画"には切り札と成りうる存在だ。消えたと言うならば探すしか無い。

 

だが、どうやって探す?光に呑み込まれた者を探すなぞ恐らく全宇宙で初の試み。光がワームホールと言う可能性もある以上、宇宙を飛び回って探さなければならないだろう。

 

それに、その光に呑まれた時点で死んでいると言う可能性もある。生きているか死んでいるか、もし生きているならどこを探せばいい?まず、どうやって生きていると言う確定情報を入手する?

 

どこまでいっても思考の数は果てしなく、底が無い。どうやら、モアはこの手の出来事が苦手な様だ。

 

だからこそ、モアには頼れる主導者がいた。

 

 

「そうだ、パラガス様に助言を求めよう。アンゴル、パラガス様は何処に居られる?」

 

 

モアが目の前の男、『アンゴル』と呼ばれた仮面の男に問う。

 

すると、期待とは違う、更に絶望的な、モアを仕留めるに値するトドメの言葉がアンゴルから発せられた。

 

 

「それが・・・どうやら、パラガス様もその光に呑まれたらしく・・・」

 

 

 

 

瞬間、モアは体全体で空を見上げ、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わっ!」

 

「きゃ!」

 

「うおっ!」

 

 

ん?なにが起こってるんだ?

 

ここは・・・空中?一体何故こんな事になっている?俺と同じく空中から落下している周りの3人は誰だ?

 

いやそれよりも、俺は何だ?

 

名はブロリー。うん、名前は分かる。それ以外が点で思い出せない。俺は何者?何故こんな状況に陥っている?

 

ああ、そういえば俺は地上何千mから落下してたんだった。既に数秒の時が過ぎたはず。と言うことは。

 

 

ドボォン・・・

 

 

うむ、見事に池の様な場所に着水したな。水じゃなかったら死んでいる所だった。何故か俺自身に全く緊張感が無かったのはどういう事なのだろうか。まぁ過去の事だからいいとして、今はとにかく寒い。せめて温水に落ちれば良かった。腹も減った。飯食いたい。

 

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空中に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう、身勝手ね」

 

 

にしても、ここは本当に何処なのだろうか。周りにあるのは植物や建物。どれもこれも記憶のない俺にとって興味深い物だ。巨木もあればよく分からない先端が枝分かれしている植物もある。あれは何なのだろうか。とても毒々しい色をしている。興味深い。図鑑か何かあればあれらの植物を調べてみたい。叶うのならば食べてみたい。毒で無いかを調べなければ。

 

 

「・・・ここ、何処だろう?」

 

「さあな。世界の果てっぽいのが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」

 

 

興味深い物といえば俺の周りにいる3人もそうだ。人型であるため、俺と同じ種族であるのは間違いないだろう。金髪の男と黒い髪の女、それと茶色っぽい色の髪の女。茶色っぽい髪色の女が別種の生き物を抱えている。白い毛並み、恐らく四足歩行で移動するのだろう。目が鋭い。さっきから何故か俺を睨んで来る。1発ぶん殴れば別のところを向くだろうか。

 

あ、コイツら飯持ってるかな?

 

 

「まず間違いないだろうが、一応確認しとくぞ。もしかして、お前達にも変な手紙が?」

 

そうだけど、まずはオマエって呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気をつけて。それで、そこの猫を抱きかかえているあなたは?」

 

「・・・春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。で、見るからに野蛮で凶暴そうなそこのあなたは?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様。で、後はアンタだが」

 

 

この金髪、俺に一体何を求めているんだ?面倒だ。名前だけ言えば俺以外の者に話しかけるだろう。名前しか言うことないしな。

 

 

「ブロリー」

 

「ブロリー?随分と珍しい名前だな。見た感じ間違いなさそうだが、外国人か?てか何で上半身裸?」

 

「・・・変態」

 

 

変態ってなんだ?

 

それよりこの金髪、まだ俺に答えを求めるか。外国人ってのが何だか知らないが、そういう事にしておくか。

 

 

「ああ、外国人だ」

 

「・・・そうか、よろしくな」

 

「ああ」

 

 

金髪、確かサカマキ イザヨイとか言ったか。コイツは好きになれない気がする。何か、俺の事を探っている様だ。何よりも奴の笑みが気に食わない。何で俺を見て笑ってんだコイツは・・・?アレか、同性愛者って奴なのか?だとしたらコイツは食い物の毒よりも注意しなければならない。野草図鑑の前にイザヨイ図鑑を探さなければならないか。今は別方向を向いているからいいが、いつ俺に牙を向くかわからない。もしなにかのアピールがあれば今出せる最高の拳で答えてやらねば。

 

身の危険に対する処理の仕方と記憶の採掘、それに加え食料の確保。やる事は多い様だ。この場所の知識も欲しい。本が多く集まる場所、確か図書館と言ったか、そこに行けば少しは基礎知識もついて生きやすくなるだろう。だが、恐らくそれは容易な事ではない。図書館を探すのだけでも相当な労力を用するだろう。

 

まあ、何故かやりたくないという気持ちにならないと言う事は、楽しいんだろうな。俺自身も。

 

 

「あなた、何で笑ってるの?」

 

「・・・気にするな」

 

「そう、なら気にしないでおくわ」

 

 

どうやら俺は小さく笑っていたようだ。この女、確かクドウ アスカとかいったか。コイツはそこまで危険視する必要もなさそうだ。俺にさほど興味も無いようだし、カスカベ ヨウとかいう女と同様に見ていいだろう。気にせずに、自分の世界に入るとしよう。

 

これからの事・・・うむ、一先ず腹ごしらえが先だな。コイツらは見た所飯は持っていない様だ。女が抱えている四足歩行の白い獣を焼いて食うってのもいいが、女が抱えているせいで食うタイミングが無い。

 

なら、そこにいる野生の何かしらを食すとしよう。焼いたら美味そうな臭いがする。

 

 

「ブロリー、何処に行くの?」

 

「腹ごしらえする」

 

「腹ごしらえ?そこにいるのは食べられないわよ?」

 

 

何を世迷言を。貴様らが何を言おうとあれは俺のもんだ。誰にも食わせん。狙いはあの茂みの中にいる奴。人の臭いがするが獣の臭いもする。人間に飼われた獣か、それとも人間を飼った獣か。どちらにしても獣の可能性がある以上、見に行く必要はある。

 

 

 

・・・いや、あれは獣だ。間違いない。近づくにつれて見えてくる長い耳がその証拠だ。やはりあの女の言うことは間違いだった様だ。なら良し。早速とっ捕まえて食ってやろう。

 

だが

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください!何で涎を垂らしながら美味しそうな目で黒ウサギに近付いて来るんですか!?」

 

 

人型・・・だと・・・!?

 

そんなまさか・・・通りで獣の臭いと人間の臭いがすると思ったら獣と人間の合体系だと?なんてことだ・・・

 

あんなのじゃ食える部分なんて殆ど無いじゃねえか!!

 

 

「あの・・・何で黒ウサギの全身を眺めた瞬間にこの世の終わりの様な表情になるんですか・・・?」

 

「同情するぜ。かわいそうになぁ」

 

「その割には全然同情する気の無いような顔をしている気が・・・」

 

 

・・・いや、飯を諦めるのは早いかもしれない。喋ると言う事は人間と共に生活している可能性が高い。ここにいた連中は現地民では無さそうだが、コイツは現地民な気がする。あくまで気がするだけなのだが。もし現地民だとしたら、コイツは飯の場所を知っているかもしれない。

 

そうと決まれば、迷ってはいられない!

 

 

「おい!」

 

 

長耳の肩をガシッと掴む。長耳の女はやや驚いた顔をしたが、かまっている暇は無い。事態は一刻を争う。

 

 

「な、なな、何ですか!?」

 

「飯は何処だ!?」

 

「・・・はい?」

 

 

聞こえなかったのか?何故目を見開いて妙な顔をする?もう1度言わねばならないと言うのか、この長耳は!

 

 

「だから、食い物はあるのかと言っているんだ!」

 

「食べ物?有りますけど・・・その前に話を聞いて頂かないと」

 

「話なぞどうでもいい!飯だ!何でもしてやるから飯を寄越せ!」

 

「でもこちらの事を説明しないと・・・え、何でもするって言いました?」

 

「言った。何でもしてやるから飯くれ!俺もそろそろ死ぬぞ!」

 

「分かりましたから揺らさないで下さい!じゃあ、私達のコミュニティに入って---」

 

「入る!入ってやるから何か食わせろ!」

 

 

これで飯の確保は成功した。

 

 

だがまあ、人の話というのは聞いておくもので、俺はこの後、後悔することになった。




これは酷い・・・
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