姫ギルな我の周りには変な雑種共が多すぎる   作:招き蕩う黄金劇場

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少し、分かりにくいところがあったので修正しときました。


三話 姫ギル様は甘草君家に居候となる

「ククク、クハハハ!よもや、俗世にこれほどまで我を昂らせる者がいたとはな!

来るがよい、雑種。もっと我を興じさせよ!」

 

俺は、甘草家で『王の財宝』から取り出した極上カーペットにうつ伏せに寝転びながら、『Playing station 3rd』、略してPS3というTVゲームを家主である奏と、格闘ゲームで勝負していた。

最初は一人でCP相手と闘っていたのだが、このギル様の頭脳の前では、弱すぎて一瞬で勝ってしまいつまらなく感じていたところ、奏が朝食が出来たことを呼びに来たため、無理矢理参加させて今に至る。

奏は格ゲー慣れしているようで、この俺とほぼ互角に闘えている。まあ、だけど最終的に勝つのは俺なんだが。

 

「なあ、ギルガメッシュ。本当にこの格ゲー、初めてなのか?」

「無論だ」

「お前の動き、廃プレイヤーとおんなじくらいなんだけど……」

「この程度雑作もないわ。そのようなことよりも、我の動きについてこれる奏の方が驚いたぞ」

 

いや、ほんとにびっくりだよ。奏くん、どんだけ強いんだよ。

一応、千里眼を使ってはいないとはいえ、ギル様の頭脳についてくるなんて。

 

「このゲーム一時期すんごいハマっててさ。一睡もせずにプレイしてたんだよ。一睡もせずに何時間も……」

「そ、そうか」

 

一睡、という部分を強調して言う、奏に引き気味に相鎚を打つ。

確かに自分が何時間もして、身に付いた技術を一日で覚えてしまう奴がいたら面白くはないわな。

 

「てかさ。……何でお前、平然と寛ぎながらゲームやってんの?

何で家主である俺がお前の一時間前に起きて、洗濯と、朝食の準備をしている間、居候のお前が寛いでんだ?」

「そのようなことをわざわざ聞くな。王たる我に尽くすのが臣下の務めであろうが」

「いつ俺がお前の臣下になったんだよっ!」

 

そんなやり取りをしながら、俺が甘草家に居候になることになった、昨晩の経緯を思い出す。

 

◇◆◇◆◇◆

「かみ……さま?」

「うむ、我が忌々しい神に使われるなど癪ではあるが、望みを叶えるためだ。やむを得ん」

 

奏が訝しげに視線を送る。まあ、呪いの解き方を教えてくれる奴が神だとか信じにくいだろうな。

 

「ふむ、奏は信じてはおらんようだな」

「いやいや、唐突に神とか言われても……ん?」

 

すると、奏のセリフに合わせるかのように、奏の携帯にメールの着信があった。

奏は携帯を開き、画面を覗き込むと「なんだこれ?」といった表情になる。

 

「奏よ、なんと書いてあったのだ?」

「あ、ああ。えーっと、《雪平ふらのを心の底から笑わせろ 期限 五月八日 (水) 》?」

 

なんだそれ?雪平ふらのを心から笑わせろ?めっさくだらんミッションじゃん。

とは言え、雪平ふらのと個人名で指定している所を考えると、その雪平さんって人は笑わないクールな性格の人なのだろう。

 

「その雪平という女は知っているのか?奏よ」

「ああ、知ってる。同じクラスの奴で、性格は基本クールだけど唐突にボケをかましてみたり、テンションをあげてみたりとよくわからん」

 

なんだか変人臭がするな。

そんなことよりも、やはりその人を笑わせるのは骨が折れそうだ。

そんなことを考えていると、奏の携帯の電話の着信を示すメロディが鳴った。十中八九、チャラ神だろう。

 

「奏よ。多分、神からだぞ」

 

そう奏に声をかけると、奏は少し躊躇いがちに携帯を耳に当てた。

 

「もしもし……」

 

そんな言葉を皮切りに、奏と神の通話が始まった。

俺はそれを尻目に、テーブルの上のクッキーをかじる。あ、おいしいなコレ。

そうして、暫く経った頃、奏が大慌てで携帯を放り投げてリビングから出ていった。何かあったのかな?

 

「ぎゃああああああっ!」

 

突如、奏にしては甲高い声の叫びが轟き、此方の方へドタバタと駆け込んでくる音がする。

そして、リビングの扉が勢いよく開いた。

 

「お、おおお女、おんな、俺、おんなだっ!」

 

入ってきたのは、涙目のデカイ胸の美少女だった。大方、チャラ神のことを神だと信じれなかった奏が証拠を出せとでも言ったのだろう。

しかし、これで俺が男の英雄王になれる可能性は高まったわけだ。

とりあえず錯乱してる奏を宥めるか。

 

「落ち着け、女」

「誰が女だっ……え?」

 

奏は、何かに気がついたのかハッとする。そして、床に転がっている携帯を掴み取って神に怒鳴り始める。

次節、聞こえてくる神の声は、奏をからかっているのがおもしろいのか楽しそうな声だ。

 

「いいからさっさと男に戻して――ジョン万次郎っ!」

 

急に何をとち狂ったのか知らないが、奏がジョン万次郎と叫んで三点倒立をした。

これには、さしもの俺も驚きを隠せない。頭沸いてんのか?

 

「か、奏よ、何をしているのだ?」

「俺が聞きたいわっ!」

 

奏は逆立ちのまま、俺に絶叫する。シュールだな。

倒立をやめた後、床に投げ出された携帯を手にした奏は、神へ怒鳴るのを再開する。

そして、その後、奏ちゃんの胸が縮み男に戻り、その場にへたり込んだ奏はため息をついた。

そうして、また奏と神との会話は再開していく。

俺は、何もすることがないので、テレビをつける。そして、おもしろい番組を探すためチャンネルを変えていき、とあるバラエティー番組を観ることにした。

 

「なんじゃそりゃ!」

 

俺は背後で奏の声と、物が叩きつけられる音がしたため、後ろを振り返った。すると案の定、携帯を床に叩き付けている奏の姿が。

あのチャラ神は、人を不愉快にさせる達人だ。恐らく奏も、チャラ神への苛立ちに呑まれてしまったに違いない。

 

「奏、神との話は終わったのか?」

 

俺はクッキーを頬張りながら、奏に声をかけた。

 

「ギルガメッシュ君、ちょいとちょいと」

「何だ?下らん用ならば、即刻撤回せよ。我は今テレビを見ているゆえに忙しいのだ」

 

俺はクッキーを一気に飲み込むと奏のもとへ近寄る。

 

「その、ギルガメッシュの知っていることを全部教えてくれないか?」

「何だ、その様なことか。良いぞ、聞くが良い」

「じゃあ、呪いの詳細について教えてくれ」

 

俺は奏の質問に答えるため、神から送られてきた奏の呪い解除の指令書を『王の財宝』から取り出す。指令書は本来、神の僕とやらが持たされる筈だったみたいだけど、このとおり俺が奏に呼び出されてしまったため神が送ってきてくれたのだ。

この指令書には俺が求めていた情報も書かれていた。即ち、英雄王として俺tueeeなバトルが出来るかどうか。

そして、指令書によると、俺が戦えるような戦闘がこの世界ではあるらしい。

まあ、とりあえず奏に、この世界の確認を。

 

「とりあえず確認するが、甘草奏というのは世をしのぶ仮の姿で、真名は『ア・マグサ・ガナドゥール』で合っておろうな」

「誰だそれはっ!?」

「此の世界は、一日ごとに『表時間』と『裏時間』が繰り返されており、『裏時間』になると、人類と敵対する『魔導獣』という雑種共が一斉に攻めてくるのだろう?」

「なんだその中二も真っ青な設定は!」

 

なんだろうか……この話が致命的に食い違っている感じは。

一抹の不安を抱えながら、質問を続ける。

 

「奏が危機に陥ると、体内に宿る太古の戦士の意識が覚醒して、ぼくのかんがえたさいきょうのロボット『エルドラオン』が召喚されて――」

「いや、もういいや……なんかもういい」

「そうか?それはそうと奏、そろそろ寝なくて良いのか?」

「は?いきなり何言ってんだ。まだ早すぎるだろ」

「む?この世界は、因果変革体の奏が寝ると、裏時間になるのだろう?」

「ならねえよ!明日が来るだけだよ!」

 

これは一体どういうことだろうか。奏を見ると同じように考えている。

奏と神が俺に送ってきた指令書の内容の食い違い、これを鑑みた上で考えるに、まさかと思うが神が送ってきた指令書は別の世界の内容の指令書?

つまり、俺は俺tueeeなバトルの出来ない、普通の世界に来てしまったのか……?

どうやら、その仮説に思い至ったのは俺だけではないようで、奏も同じような考えを聞かせてくれた。

 

「おい、ギルガメッシュ。お前の知識が役に立たないというのは分かった。この家から出てい――ぜ、絶対選択肢!?」

 

こうして、奏は絶対選択肢によって、俺をこの家にほぼ強制的に居候させることになり、一晩を経て現在に至ったわけである。

 

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