姫ギルな我の周りには変な雑種共が多すぎる   作:招き蕩う黄金劇場

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ギル様が何の部活に入るか、察しのいい人は既に気付いていると思う。
それと今回の話から、どんどんギル様を原作っぽい性格に矯正していくよ!


六話 姫ギル様、入部のち覚醒

「少し時間を貰っても良いだろうか」

 

転入初日のお昼休み、校内をあてもなく歩いていると、神父服を着た黒髪の少年に声を掛けられた。

何処か既視感を少年に感じるが、よく思い出せない。

神父服……神父……マーボー。後少しというところまで出かかっているのだが。

とりあえず、何はともあれ返事をしないと。

 

「何だ、貴様は?この我の時間はそこいらの財よりも価値があるのだ。よもや下らん用であったのなら、その罪は重いぞ?」

「大丈夫だ。きっと君の時間の割に合うだろう」

「フン、まずは名を名乗れ。王への拝謁の場なのだ。一片たりともの無礼も許さん」

 

それにしても、校内で神父服って例え学校が自由な校風だとしても、些か自由すぎるんじゃないかと思うのだけど。

そんなことを考えていると、神父がお辞儀をした。

 

「失礼したな。私の名は言峰綺礼だ」

 

一瞬、思考がフリーズした後、回復する。

というか彼は一体、なんて名乗ったんだ?ん?言峰ぇー?言峰……マーボー……マジカル☆八極拳ッ!?

確かに神父服を着ているし、顔もfate/zeroやstay nightのマーボー神父を若返らせたような感じだけれども、まさかこの世界に外道神父がいるとは……。

ということは、やはりこの世界はfateの世界なのかな?いや、違うね……。チャラ神がいる時点でないわ。

俺は少しばかり呆けていた顔をキリッとさせ名を名乗った。

 

「綺礼か……。我は最古にして唯一の英雄の中の王、甘草儀瑠だ。して、用件とは?」

「ふむ、単刀直入に言おう。君に我らが崇高な集まり、

――愉悦部を共に……やらないか?」

 

なんか、やらないか?のイントネーションに危険な香りを感じた。

気のせいだったことを祈りたい。

それにしても部活ねえ。特にやりたいこともないし入部してみても良いかもしんない。

奏の呪い解除のサポートの仕事もあるけど、まあ些細なことだし。

俺は少し時間を経てから、口を開いた。入部しても良いですよ、と。

 

「愉悦部……甘美な響きよな。よもや愉悦を罪とし自らの欲を抑えることが善とされる世に、ここまで愉快な部があるとは。

気に入った。喜べよ、雑種。この我が入部してやる」

 

長い。ギル様口調変換システムが最近、だんだんうざくなってきた。もう普通に喋らせろや。

 

「本当に良いのか?儀瑠」

「良いぞ。しかし、我が飽きるまでだ。綺礼と言ったな。精々、我が飽きるまで興じさせるがいい」

「任せるといい。では、部室を紹介したい。連いてきてくれるか?」

 

俺は綺礼の問いに、首を縦に振って返した。

 

◆◇◆◇◆◇

 

愉悦部の部室は、生徒も教員もほとんど立ち入らないであろう学園の地下にあった。

元々は教室であったのだろう、愉悦部部室は、壁や扉のデザインなどを改造されており、今や『愉悦部☆』と書かれたプレートだけが教室であった名残である。

俺は、部室へ入った綺礼の後に続き扉に手を掛けて、中へと入る。

すると、綺礼が此方を振り返り言った。

 

「ようこそ、愉悦部へ。私たちは君を歓迎する」

 

私"たち"って何?部員って俺と綺礼の二人だけと、部室へ来るときに聞いた筈なのだが。

俺の疑問を汲み取ったのか、言峰がその疑問を解消してくれるものを連れてきた。

ワンワンオーと吠え、綺礼がモフるそれ……ミニチュアダックスフンド。

 

「綺礼、その犬は何だ?」

「ああ、紹介しよう。こいつは此処の番犬、名はクー・フーリンだ」

 

うわあ……青タイツ、ご不憫。

心の中で、ランサーに合唱していると、ミニチュアダックスフンドのクー・フーリンがワンと吠える。

まあ、ペットにつける名前としては格好いいものだし、い、良いんじゃないかな。

しかし、番犬にケルトの番犬の名前を付けるなんて……傑作だわ!

 

「ほう……ケルトの番犬の名を与えられているか」

「ああ、よくわかったな。それと君の後ろにある虫かごを見てみろ」

 

言われたとおりに、俺は後ろを向く。

そこには、黒いケース型の虫かごに入れられた、一匹のでっかいカブトムシ。

一瞬、名前を言ってはいけない例のあの虫や台所の魔王などの異名を持つ頭文字Gを思い浮かべてしまった俺は悪くない。

 

「そいつの名はハサン。ハサン・サッバーハだ」

「何だ、ただの虫ケラではないか」

「聞いて驚け。ハサンは黒光りG高速機動スタイリッシュ生命体の如く、5年もの歳月を生きているらしい」

「見直したぞ虫ケラ。そこまでの生への執念、気に入った!」

 

俺は高笑いをしながらハサンのいる虫かごに、側に置いてあった昆虫用のイチゴゼリーを入れてやる。

すると、ハサンがスタイリッシュにブーンとゼリーの所まで翔んでいった。

そして、ハサンがゼリーを食べようとしたところを、綺礼がハサンを引っくり返してしまう。

綺礼が、愉しげに笑いながら、いつのまにやら淹れてきた緑茶を飲みながら言った。

 

「ハサンが身を起こそうと悶える姿……正に愉悦」

「フ、フハハハ!成る程な。良いぞ。綺礼よ、それがお前の求める愉悦なのだな。良い。求めたいことを為す、それこそが娯楽の本道よ。そして娯楽は愉悦を導き、愉悦は幸福のありかを指し示す」

「君こそ、その年で愉悦のなんたるかを理解しているようだな。君を勧誘しようと思った私の目に狂いは無かった……」

 

何故だろうか、目の前に居る彼と話しているとだんだん他者の不幸が愉しくなってくる。

そうか、わかったぞ。俺が求めたかったのは、圧倒的俺tueeeではない、真の娯楽――愉悦だったんだ!

俺は、昼休みが終わるまで、綺礼と真の愉悦について延々と問答し続けた。




愉悦部のメンバー増やしたいな。トッキー出すか。

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